むらさきいろふじまきえびん
江戸期のガラスへの絵付けには、焼付けが必要となるエナメル彩よりも、本作のように、漆で定着させる蒔絵の技法が応用されることが多かった。またシンプルな絵柄が多く、このように精緻な筆使いによる洗練された蒔絵は数少ない。藤の花房が、優美に三方へと枝垂れる。文献によれば、江戸で初めて紫色ガラスを吹いたのはびいどろ師・萬右衛門で、宝暦年間(1751-1764)のことだという。共箱に「文政八年十月林某」の墨書がある。(『サントリー美術館プレミアム・セレクション 新たなる美を求めて』サントリー美術館、2018年)
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