どらごんすてむ・ごぶれっと
装飾性が高いヴェネチア製のガラス器は、16-17世紀を通じ、ヨーロッパの王侯貴族にもてはやされ、求められた。しかし本場ヴェネチアでは、クリスタッロを生かすフォルムが追求されたため、より軽快で洗練された器へと移行するようになる。「ファソン・ド・ヴニーズ[Façon de Venise]」(ヴェネチア様式)と呼ばれる豪奢なガラス器は、ヴェネチアを離れ、近隣諸国に流出したイタリアガラス職人たちによって、盛んに製作されたもの。本来ヴェネチア・ムラーノ島から出ることを禁じられていたイタリア職人たちも、好条件で雇用される王侯の元に流れ、各地で製作していった。本作は、こうした背景の中で作られた、「ファソン・ド・ヴニーズ」のステムゴブレットである。(『ガラスをめぐる4つのアプローチ―技法で見つめる西洋と東洋の名品』、サントリー美術館、2001年)
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