活動内容
森と水の科学
サントリーでは、工場で利用する以上の地下水を森で涵養することを目標として、全国各地で森を守り、水を育む「天然水の森」活動を展開しています。しかしながら、どのような管理方法が涵養力の高い、健全な森につながるかは科学的に解明されていないのが現状です。
水科学研究所では、水文学や土壌学、植生学などさまざまな分野の研究者と協力し、環境の異なる森林において、一つ一つ試行錯誤しながら、最適な森の管理方法の確立と科学的検証を行っています。
持続可能な地下水利用
環境に負荷をかけることなく、持続的に地下水を利用するためには、その場所の水循環を詳細に把握することが必要です。水科学研究所では、第三者機関と協働して現地調査を行い、湧水の状況や水質の分析結果などと併せて評価し、さらに継続的なモニタリングを続けることで環境影響がないことを確認しています。これらの調査結果は、貴重な「天然水」の安全・安心を守り、将来にわたってお客様へお届けするために活かされています。
世界の水資源
世界には水が不足したり、安全な飲用水を十分に得ることができない国や地域が数多くあります。また、地球規模での気候変動が原因となって農作物へ被害が生じ、植物の生育地域が移動するなど、人々の生活や生産活動に大きな影響が及ぶ可能性があります。水と生き、水に生かされているサントリーにとって、世界の水問題は決して無関係ではないと考えています。水科学研究所では、東大水フォーラムなどと協働で世界の水問題の動向調査と水資源の評価を行い、社会への情報発信を進めています。
日本JST-カナダNSERC共同「持続可能な水利用」ワークショップにて(2013.10)
「ひとしずくの格差」を目に見えるようにする
水の嗜好研究
水は無味無臭なため、その嗜好性を研究するのは難しいことです。しかし、飲みなれた水が美味しく感じられるのは、微量な成分のバランスによって、水の味わいも異なるからだと推測されます。
水科学研究所では、このような水の味わいを研究するとともに、近年伸長し続けるミネラルウォーター市場において、水の嗜好性に影響を与える要因についても研究を進めています。
水の基礎化学
水にはミネラルや有機物など、様々な成分が溶け込んでいます。水科学研究所では、僅かな成分も検出できる高感度の機器を使って水の成分を調べ、それぞれの水の特徴を把握しています。
得られた分析結果は、天然水の森の水質状況の把握、地下水の流れの解析など、多様な分野に活用されます。また、水の特徴をさらに詳細に捉えることを目指して、新たな分析手法の開発にも取り組んでいます。
水と健康
人のからだのおよそ60%は水でできています。体内の水は、栄養素の運搬や老廃物の排出、消化や代謝などの反応の場の提供、そして発汗などによる体温調節、といった生命維持のために重要な役割を果たしています。そのため、からだの水分バランスや水の流れは、健康と密接に関係すると考えられます。
水科学研究所では、こうした“生体内水循環”と健康との関係を明らかにする研究に取りくむとともに、慶應義塾大学医学部との共同研究プロジェクト「生命をめぐる水」を進めています。