サマーフェスティバル2016 サントリー芸術財団

第26回 芥川作曲賞選考演奏会

The 26th Competition of Akutagawa Award for Music Composition

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芥川作曲賞について

「芥川作曲賞」は、作曲家・芥川也寸志氏(1925-1989)の功績を記念して、1990年、(財)サントリー音楽財団(2009年公益財団法人サントリー芸術財団に移行)によって創設されました。国内外で初演されたわが国の作曲家の作品の中から、もっとも清新で、豊かな将来性を内包する作品に贈られるもので、わが国では初めての公開の選考会で選定し、決定いたします。受賞作曲家には賞金を贈るとともに、新しい作品の創作を委嘱し、完成後にその初演を行うという、複合的でユニークな賞です。

協力=(一社)日本作曲家協議会、(一社)日本音楽著作権協会、
日本現代音楽協会

芥川作曲賞 過去の受賞者・受賞作品・委嘱作品はこちら

芥川也寸志

8/28(日)第26回 芥川作曲賞選考演奏会

15:00[開場14:30] 大ホール

座席表PDF(5.9MB)

第24回芥川作曲賞受賞記念サントリー芸術財団委嘱作品

鈴木純明(1970-):テューバと管弦楽のための《1920》*(2016)世界初演

第26回芥川作曲賞候補作品(50音順/曲順未定)

大西義明(1981-):トラムスパースⅡ〜2群による18人の奏者のための(2013-15)

  • 初演=2015年5月9日 ケルン・フィルハーモニー(ケルン/独)
  • Acht Brücken 2015(ケルン・アハトブリュッケン音楽祭)
  • 指揮:パブロ・ヘラス=カサド/演奏:アンサンブル・アンテルコンタンポラン

大場陽子(1975-):ミツバチの棲む森(2015)

  • 初演=2015年2月15日 日立システムズホール仙台
  • 仙台フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会 東北の作曲家によるオーケストラ新作展
  • 指揮:大井剛史/演奏:仙台フィルハーモニー管弦楽団

渡辺裕紀子(1983-):折られた…(2014-15)

  • 初演=2015年5月6日 ケルン音楽大学(ケルン/独)
  • Acht Brücken 2015(ケルン・アハトブリュッケン音楽祭)
  • 指揮:ケネス・ドゥレア/演奏:ケルン音楽大学オーケストラ

候補作品演奏の後、公開選考会(司会:柿沼敏江)
選考委員(50音順):小出稚子、法倉雅紀、三輪眞弘

  • 指揮:杉山洋一
  • テューバ:橋本晋哉*
  • 管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
  • 杉山洋一
  • 橋本晋哉
  • 新日本フィルハーモニー交響楽団

入場料:[指定席]一般 2,000円/学生 1,000円

作曲家からのメッセージ

フランスでは「レ・ザネ・フォル (狂乱の時代)」と呼ばれる1920年代。1929年の世界大恐慌を経て、ファシズムやナチズムが台頭し、再び大戦の時代へと向かっていく前の1920年代のヨーロッパは、美術や建築、音楽、映画等の諸芸術においてさまざまな潮流が現れた、華やかなりし時代であった。1920年代の芸術の繁栄は、終わりゆくヨーロッパ文化の最後の灯であったと言えよう。音楽だけを見てみても、ヨーロッパの中心では表現主義と新古典主義が、その周辺においては民俗音楽に基づく試みが、さらにロシア・アヴァンギャルドの動向等が挙げられ、アメリカにおいても多くの新しい可能性が開拓されている。
新作の《1920》では、1920年代に活躍した14人の作曲家(ストラヴィンスキー、ショスタコーヴィッチ、ヒンデミット、シェーンベルク、ベルク、ヴェーベルン、シュルホフ、ファリャ、レスピーギ、ヴァレーズ、プーランク、オネゲル、ワイル、アンタイル)の音楽が参照されている。さらにテューバ奏者の橋本晋哉氏との様々な思い出(例えば2003年にパリで聴いた、氏の演奏するヴォーン・ウィリアムズの《テューバ協奏曲》等)が発想となり、加えて1920年代と言えばジャズ、より正確に言えば「ヤッツ1」も登場する。ちょうどアメリカからヨーロッパにジャズが伝わるのが1920年代。ストラヴィンスキーやシュルホフは、ラグタイムやチャールストンを書き、ベルクの《ワイン》でも「ヤッツ」としてのタンゴがあらわれる。1920年代に大衆音楽が芸術音楽に果たした意義は大きく、本作品でも「ヤッツ」による、テューバと管弦楽の祝宴が繰り広げられる。
あれから100年という時が流れようとする今日において、新しい芸術の出現と交流を期待しつつ作曲を進めていった。この初演に関わるすべての皆様に、心からの感謝を申し上げたい。

[鈴木純明]

(注)1.当時ヨーロッパに輸入されたジャズは、ドイツ語圏を中心に「ヤッツ」と呼ばれ、アメリカ文化への熱狂を揶揄する言葉ともなった。

プロフィール

鈴木純明

鈴木純明

1970年東京都生まれ。東京藝術大学大学院作曲専攻修了。パリ国立高等音楽院作曲科で学ぶ。文化庁派遣芸術家在外研修員(’99〜’01)、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)研修員(’02〜’03)。第18回日本交響楽振興財団作曲賞、ガウデアムス国際音楽週間’99、第31回ブールジュ国際電子音楽コンクール等に入選、第24回芥川作曲賞受賞。現在、東京藝術大学音楽学部作曲科准教授、桐朋学園大学講師。

大西義明

大西義明

1981年北海道函館市生まれの作曲家、指揮者。16歳より渡米。コロンビア大学作曲家修士及び博士課程修了。作曲をファビアン・レヴィ、フレッド・レーダール、トリスタン・ミュライユ、論文指導をジョージ・ルイス、指揮をジェフリー・ミラースキー各氏に師事。2004年と2008年、札幌のパシフィック・ミュージック・フェスティバルに作曲コース生として参加。一柳慧、細川俊夫各氏に師事。作品はドイツ・ベルリンのEdition Gravisより出版されている。2011年ガウデアムス賞(オランダ)受賞。第24回芥川作曲賞ファイナリスト。

大場陽子

大場陽子

1975年生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了。第67回日本音楽コンクール第1位など受賞。「音楽のある空間づくり」をテーマに様々なスタイルの公演を行う。近年は、自然界から発想を得た作品制作に取り組んでいる。作曲家グループ「クロノイ・プロトイ」メンバーとしても活動し、企画公演に対してサントリー芸術財団より「第9回佐治敬三賞」を受賞。宮城県鳴子温泉郷在住。

渡辺裕紀子

渡辺裕紀子

1983年長野県生まれ。桐朋学園大学修了後、渡墺。グラーツ音楽大学大学院を経て、2014年よりケルン音楽大学コンツェルトエグザメン課程に在籍。これまでに野村国際文化財団、ロームミュージックファンデーション、DAADより奨学金を得る。2013年文化庁新進芸術家海外研修員。オーストリアにてÖ1 Talentebörse作曲賞受賞。作曲を原田敬子、間宮芳生、ベアート・フラー、ヨハネス・シェルホルン各氏に師事。

杉山洋一

杉山洋一(指揮)

1969年生まれ。桐朋学園大学作曲科を経て渡伊。指揮者として2000年のアンサンブル・モデルンのツアーを皮切りに、ウィーン・モデルン、パリの秋等の音楽祭で、オーケストラ・ミラノ・ムジカ、クラングフォーラム・ウィーン等の現代音楽オーケストラを指揮。東京では都響、東京シンフォニエッタ、東京混声合唱団、四国二期会「ファルスタッフ」他を指揮。作曲家としては、ヴェネチア・ビエンナーレ、東京混声合唱団などから委嘱を受けている。「東京現音計画#01:コンポーザーズセレクション1・杉山洋一」が、第13回佐治敬三賞を受賞。

橋本晋哉

橋本晋哉(テューバ)

1971年生まれ。チューバ、セルパン奏者。パリ高等音楽院第3課程修了。サントリー芸術財団サマーフェスティバル2008及び2010、コンポージアム2009、HIROSHIMA HAPPY NEW EAR 19で協奏曲のソリストを務めるほか、「秋吉台の夏」現代音楽セミナー、東京オペラシティリサイタルシリーズ「B→C」、NHK-FM「名曲リサイタル」に出演。一方、フランスの古楽器「セルパン」も奏する。洗足学園音楽大学講師。「東京現音計画(2014年佐治敬三賞受賞)」、松平敬との「低音デュオ」で活動。

新日本フィルハーモニー交響楽団

新日本フィルハーモニー交響楽団

1972年指揮者・小澤征爾のもと楽員による自主運営のオーケストラとして創立。97年より墨田区のすみだトリフォニーホールを本拠地とし定期演奏会の他、地域に根ざした演奏活動も特徴的。2010/2011シーズンよりダニエル・ハーディングが“Music Partner of NJP”を務めている。その他、久石譲とは04年から“新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ”を立ち上げ、幅広い人気を集めているほか、映画『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』等では管弦楽を担当。 2016年9月よりドイツ歌劇場で研鑽を積んだ指揮者・上岡敏之が音楽監督に就任する。
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