「天然水の森」の生き物

クマタカ

本ページには動物の写真が含まれます。

「クマタカ」の名前の由来は大きなタカ。翼を広げると大人が両腕を広げたほどになります。森の生態系ピラミッドの頂点に位置し、生態系のバランスを整える役割を果たします。

鷹斑(たかふ)模様が美しい森の王者

クマタカは、翼と尾羽にある白黒の縞模様(たかふ模様)が美しい鳥です。餌は小さなネズミ類からタヌキ、ヤマドリ、ヘビなど幅広く、上空を飛翔しながら獲物を見つけると急降下したり、高い木の枝にとまって獲物が通るのをじっと待ったりします。その際、「天然水の森」の整備のためにつくっている幅2.5メートルほどの森林作業道が、恰好の狩場となっています。

日本の森林生態系の頂点に位置するため「森の王者」という呼び名もあり、近年、日本の森が大きく育つにつれて、その数も増加しています。

ちなみに、クマタカより一回り大きいイヌワシの「イヌ」は、「ワシの中では小さい」という意味の名前です。クマタカと違い草原で狩りをするワシなので、草原が姿を消しつつある中で、絶滅のリスクが急上昇しています。

クマタカ
イヌワシ

頂点の役割は「森の人口調整」

クマタカや、イヌワシ、コウノトリなど、生態系ピラミッドの頂点に位置する生き物たちは、ピラミッドの下位に位置する動物を狩ることで、それらの動物が過剰に増えすぎるのを防いでいます。

かつて日本の生態系の頂点にはオオカミがいました。しかし、オオカミを滅ぼしてしまったために、いま日本の森では獲物だったシカが増えすぎています。その結果、シカが草や低木、木の樹皮などを食べ尽くし、生態系に深刻な被害をもたらしているのです。

残念ながら、ニホンオオカミと同じ遺伝系を持つオオカミはもはや存在しません。一度滅ぼしてしまった生き物を、自然界に戻すことは非常に難しいのです。クマタカやイヌワシがオオカミと同じ道を辿らないように、「天然水の森」では「ワシ・タカ子育て支援プロジェクト」を実施しています。

森の生態系ピラミッドの画像
「ワシ・タカ子育て
支援プロジェクト」の活動を見る

「天然水の森」の取り組み

各地の「天然水の森」では、森の生態系ピラミッドの頂点であるワシやタカなどの猛禽類が、子育てできる豊かな森を目指し、森林整備や人工巣台の設置など、さまざまな取り組みを行っています。

クマタカの狩場づくり

「天然水の森 赤城」には、かつてクマタカが狩りをしていた渓畔(※渓流沿いの土地)に草木が生い茂り、狩場として機能しなくなった場所がありました。

そこで私たちは、草木を刈り払い、隣接した杉林を群状に皆伐し、跡地に広葉樹を植樹するなどの整備を行いました。今では、狩りに訪れるクマタカの姿が見られるようになっています。

渓畔林の現在の様子

この活動に携わる専門家

山﨑 亨

アジア猛禽類ネットワーク 会長

藤井 幹

(公財)日本鳥類保護連盟 調査研究室 室長

「天然水の森 赤城」の活動を見る

タカと共生する工場へ

「天然水の森 北アルプス」の一部であり、「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」にも隣接する「国営アルプスあづみの公園」のアカマツ林が、公園に残されていた過去の記録から、かつては多くのタカの営巣場所だったことが分かりました。

そこで2019年冬、営巣に適したアカマツを選び、その周辺の広葉樹を伐採し、選んだアカマツに人工巣台を設置するなど、営巣環境の整備を行いました。

人工巣台を設置している様子(適切な安全対策を講じています)

この取り組みが実り、2022年初夏、オオタカが営巣を始め、3羽のヒナたちが無事に巣立っていきました。

この活動に携わる専門家

遠藤 孝一

(公財)日本野鳥の会 理事長

藤井 幹

(公財)日本鳥類保護連盟 調査研究室 室長

株式会社愛植物設計事務所

日置 佳之

鳥取大学 特任教授

合同会社MORISHO

「天然水の森 北アルプス」の
活動を見る

「天然水の森」には他にもたくさんの生き物が暮らしています

鳥類、哺乳類、昆虫類、土を育む生き物などをご紹介します。

「天然水の森」の生き物を見る