天然水の森 きょうと西山
この森は、「サントリー 〈天然水のビール工場〉 京都」の水源涵養エリアに位置しています。
このページでは「天然水の森 きょうと西山」の取り組みをご紹介します。
ナラ枯れへの対策
各地の放置された里山で、秋でもないのに紅葉のようにナラやカシなどの葉を染めて枯れてしまう「ナラ枯れ」が広がっています。ここ「天然水の森 きょうと西山」も例外ではありません。
ナラ枯れは、「カシノナガキクイムシ(※樫の長木喰い虫。以下カシナガと略す)」という甲虫が、産卵のために木に穴を掘る際、木を枯らすナラ菌を植え付けるために起こります。
ナラ枯れを起こした木の根元には、カシナガの侵入により排出された木くずが見られます。
しかし、カシナガが一方的に悪いわけではありません。この虫は、もともと森の中で大きく育ったコナラなどを枯らして、森の若返りを促していたのです。
ところが、薪炭などの燃料用に育てられていたコナラなどの林が、ガスや電気の普及で放置されるようになりました。そして大きく成長したコナラ林は、カシナガの絶好の餌場になってしまったのです。
私たちは初期対策のひとつとして、感染した木に、専用の粘着シート(通称「カシナガホイホイ」)の粘着面を内側にして巻きつけ、巣穴から出てくる新成虫を閉じ込め、感染の拡大を抑制する対策を取っています。
調査を続けていると、ナラ枯れの被害はコナラ全体の3〜4割程度に収まっているようで、現時点ではコナラは全滅しないと見られています。今後も調査を続け、その都度、対策を講じます。
下の写真は、「カエンダケ」というキノコです。立枯れしたコナラやミズナラの根元近くに発生することが多く、ナラ枯れの広がりとともに、よく見られるようになりました。触ることすら危険な猛毒きのこなので、見つけた際は要注意です。
この活動に携わる専門家
徳地 直子
京都大学 教授
台風被害からの復旧
2018年9月に非常に強い勢力で関西を直撃した台風21号により、「天然水の森 きょうと西山」は、倒木や土砂崩れなどの甚大な被害を受けました。
被害が大きな場所を調査し、倒木の処理(土留め利用など)を主に実施。土砂崩れなどの被害が広がらないように、対応しました。
協定地の詳細情報
- 所在地
- 京都府長岡京市奥海印寺
- 面積
- 約193ha
- 協定年月
- 2012年3月以後、段階的に面積拡大
- 協定期間
- 30年
「京都モデルフォレスト協会」の活動の一環である「西山森林整備推進協議会」活動の枠組みの中で、長岡京市森林組合が複数の土地所有者を仲介。同森林組合と長岡京市、サントリーが森林整備協定を締結。
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