サントリー社員 谷真海に聞いてみた!「みんなちがって、みんないい」
サントリー社員 谷真海に聞いてみた!「みんなちがって、みんないい」

DEI

サントリー社員 谷真海に聞いてみた!「みんなちがって、みんないい」

21.12.08

「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」は、そのまま訳すと「多様性と包含性」。性別、年齢、障がい、国籍などの外見的な違いや、価値観、ライフスタイル、性格、嗜好などの内面の違い、それぞれの違いを受け入れ、尊重し、認め合い、活かしていくことを意味しています。近年では、これに「エクイティ(公平性)」が新たに加わり、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(以下DEI)」という考え方に変わってきています。多様な人材を包括できる組織づくりだけでなく、公平性を保ち、個々の能力を積極的に引き出す仕組みや風土をつくり上げることを意味しています。

2021年、東京で行われた世界的なスポーツ大会。その大舞台の招致活動に関わり、大会開会式の旗手、そしてパラトライアスロンに出場したサントリーCSR推進部に在籍する谷真海。仕事と子育てと両立しながらアスリートとしても活躍する谷に、今世界中で注目されているDEIの重要性などについて、話を聞きました。

【谷 真海(たに・まみ) プロフィール】

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サントリーホールディングス株式会社CSR推進部。宮城県気仙沼市出身。旧姓・佐藤真海。早稲田大学在学中に骨肉腫によって右脚膝下を切断。卒業後サントリーに入社し、走り幅跳びで2004年アテネから3大会連続で世界の大舞台に出場。2013年には東京大会の招致活動において、最終プレゼンテーションでスピーチを行う。2016年からはトライアスロンに転向し、翌年9月の世界選手権で優勝し、日本人初の世界一に。結婚・出産などを経ながらアスリートとして活動を続け、東京大会の代表として4回目の出場・日本選手団の旗手も務めた。選手としての競技活動に加え、パラスポーツの普及にも精力的な活動を行っている。

谷真海インタビュー:サントリーでの活動

──サントリーでは、普段どのような仕事をしていますか?

谷:「次世代育成支援や東北復興支援などを行っています。これまでに2万人を超える子どもたちや学生と直接触れ合い、自身の体験をベースとした出張授業やワークショップを行うなど、子どもたちの“サポーター”として活動しています。」

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──子どもたちと直接触れ合うことで、何か感じることはありますか?

谷:「出張授業やワークショップの後、参加した子どもたちから「何か新しいことにチャレンジしてみたい」「すぐに諦めてしまわないで限界に挑戦したい」というような前向きな言葉をいただいた時には、子どもたちの背中を押すお手伝いができたのではないかと、とても嬉しく思います。このような機会で、アスリートとして得た経験や“スポーツの力”を多くの人と共有することは、私自身の競技に向かう力にもなっています。」

──仕事と子育てを両立しながら、アスリートでもあるということ、とても大変だと思いますが、両立は難しいのではないでしょうか?

谷:「私にとっては、どれも誇りを持てる素晴らしいこと。どれひとつ大変だとは思っていません。母となり、スポーツ選手として復帰したのは簡単なことではなく、時間的にもすごく苦労した部分がありましたが、理解ある家族と職場のおかげで両立できています。日本ではまだ少ないですが、世界を見渡せば出産して戻ってくる女性アスリートはたくさんいて、その方たちをロールモデルにして励みにしています。大変な部分がありながらも、母としてチャレンジしたからこそ家族と共有できた経験がたくさんあり、すべてが宝物です。」



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※2017年撮影

谷真海インタビュー:DEIの重要性

──これまでの経験を通して、「DEI」の重要性について、どのように考えていますか?

谷:「2012年ロンドン大会に出場した時、ソールドアウトの会場に感動しました。一方で日本のチャレンジド・スポーツ(障がい者スポーツ)の環境・理解は、遅れを取っていると感じていたので、2020年大会が日本での開催と決まった時には、アスリートとしてこのムーブメントを受け継がなければいけないと思いました。
社会を変えるきっかけはさまざまで、スポーツがすべてではないと理解していますが、それでも、自国開催は、課題を解決する上で、とても意義があったのではないかと捉えています。ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)そしてインクルージョン(包含性)、それらの調和や重要性を言葉で伝えるには限界があると感じていましたが、この大会を通じて、少しでも触れてもらえた部分があるのではないかと思っています。 ただ、ここはあくまで転換点で、ゴールではありません。DEIを進めていく大きな通過点でなくてはならないと感じています。私たちアスリートの努力も必要ですが、ここからはみんなで実行に移していく段階。企業、学校、地域などで少しでも意識と工夫を進めていく、それこそが、東京大会のレガシー(遺産)になるのではないか思っています。」


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──世の中の一人ひとりが「共生社会」を考えるときに、何から始めればいいと思いますか?

谷:「東京大会で想像を超えるプレーを見ていただいて、障がいのある人の見方や意識がみなさん変わったのではないでしょうか?大げさなことではなく、近年、企業の中での障がいのある人の雇用率も増えてきたと思いますし、サントリーでも障がいのある人の雇用率は年々増えてきています。
私は、障がいの有無だけでなく、いろいろな価値観、考え方、立場、を含めてさまざまな人が混ざり合って調和していくというのが理想だと思っています。学校でも、普通の学級に障がいのある人が一緒になって学ぶ環境があることが大事だと思います。コミュニケーションによって生まれる自然な輪を、柔軟な発想をもって、みんなでつくっていくというのが大事かなと思います。」

──これまでも、競技や言葉を通じて“チャレンジすることの重要性”を伝えてきましたが、東京大会では、どのくらい伝えられたと感じていますか?

谷:「私自身、子どもの時、そして大学生で足を失った時も、スポーツに力をもらって挑戦する気持ちを持てました。コロナ禍では、“スポーツの力”について、発言しにくい時期や自信をなくす時期もありましたが、東京大会で、“スポーツの力“を再認識することができました。障がいの有無もそうですが、スポーツには、人種、国籍、文化、あらゆる違いを超える力があると信じています。日本での開催、そしてすべてのアスリートの活躍など、子どもたちにとって、これほど世界を目指すということを身近に感じる機会はなかったのではないでしょうか。自分の力を信じて、できない理由を探すのではなくどうしたらできるのかを考えること、自分自身に残されたものを最大限に活かすこと、などの大切さを感じてもらえたのではないかと思っています。」

──今後に向けて、どのような活動をしていきたいですか?

谷:「今後も、いろいろな活動を通じて、障がいがある人、ない人のブリッジをしていく役割ができたらと思っています。一人ひとりが秘めている可能性があるということ、そして“スポーツの力”を一人でも多くの人に伝えていく。夢に向かって挑戦する素晴らしさ伝えていけたら良いと思っています!」


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サントリーグループのパラスポーツ支援活動「サントリー チャレンジド・スポーツ プロジェクト」

インタビューを終えて

社員として、アスリートとして、母として、社内外で目まぐるしく活躍しているので、なかなかオフィスで会える機会はありませんが、声をかけるといつも元気に、トレードマークの笑顔で応えてくれます。三足のわらじは、とても苦労が絶えなかったと想像しますが、常に前向きに高い目標を持ち活動する谷の姿は、いつもサントリーの従業員の背中を押してくれています。
金子みすゞの詩の一節「みんなちがって、みんないい」が当たり前になるような社会に向けて、今後も障がい者と健常者のブリッジになりたいと語ってくれた谷。そしてサントリーには、谷のほかにも、パラ卓球選手や、視覚障がい者のガイドランナーなど、さまざまな従業員が、生活と仕事のバランスを保ちながら個々の事情に応じて働ける制度を活用し、いきいきと活躍しています。すべての従業員が、ワークライフバランスを実現しながら、新しい価値を創造できるように、仕組みや風土をつくり上げることが、まさにDEIの考えだと感じました。

DEIの具体的な取り組み

サントリーは、2011年からダイバーシティ経営を掲げ、多様な個性やバックグラウンドを持つ従業員が存分に能力を発揮し、いきいきと働ける組織を目指しています。新たな価値を絶えず創造していくためには、国籍や年齢などにとらわれることなく、多様な人材、多様な価値観を積極的に取り入れ、活かすことが重要であるとの考えのもと、2012年には4つの重点領域(国境を越える、性別を超える、ハンディキャップを超える、年齢を超える)を設定しました。

グローバルな人材採用、女性やシニア人材の活用、LGBTQに関する活動の推進、コラボレイティブセンター設立など、多様な従業員が「やってみなはれ」を発揮できるよう、従業員の属性の多様化を推進し、違いを受け入れ、活かす組織づくりに取り組んでいます。

サントリーの部署「コラボレイティブセンター」とは

サントリーでは、特例子会社という枠組みではなく、「コラボレイティブセンター」の名称で社内の一部署として組織を設けています。知的障がいのある社員が、多くの社員と接点を持てるような業務を担うことを推進しています。キャリア形成の観点では、一人ひとりの特性を尊重しながら、個人の可能性を最大限引き出すことを大切にしています。

「コラボレイティブセンター」の活動を詳しく見る

※こちらの映像は、2019年以前に撮影されたものです

サントリーは、DEIという考え方のもと、グループ全従業員が自信と誇りを持ち、自らの心を解き放ち自分らしくいきいきと働ける職場、仲間の個性や多様性を強みとして活かす組織の実現に向け、さまざまな取り組みを行っていきます。

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