奨励金の新しい形。サントリーが若手チャレンジド・アスリートを応援する理由
奨励金の新しい形。サントリーが若手チャレンジド・アスリートを応援する理由

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奨励金の新しい形。サントリーが若手チャレンジド・アスリートを応援する理由

24.01.16

サントリーグループは「人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、『人間の生命(いのち)の輝き』をめざす」という目的を掲げ、創業精神「利益三分主義」のもと様々なかたちで社会貢献活動を行っています。障がいを受けた方々が取り組むチャレンジド・スポーツの支援もその一環として取り組んでいます。

東日本大震災復興支援からスタートした「チャレンジド・スポーツ プロジェクト」

サントリーでは、2014年に「サントリー チャレンジド・スポーツ プロジェクト」を立ち上げました。アスリート・競技団体への奨励金支給やチャレンジド・スポーツ各競技の体験イベント開催のほか、公益財団法人日本パラスポーツ協会、一般社団法人日本車いすバスケットボール連盟をパートナーとして、チャレンジド・スポーツの魅力を伝え裾野を広げる活動に幅広く取り組んできました。

当初は岩手県・宮城県・福島県の3県を中心に活動を行ってきましたが、これまで培ってきた経験や知見を活かし、2022年から活動エリアを全国に拡大しています。

プロジェクトは主に以下の4つの活動で構成されています。

  • 全国のアスリートや競技団体を対象とした「チャレンジド・スポーツ アスリート奨励金」
  • 小中学生を対象とした車いすバスケットボール体験会「ドリーム・アスリート」
  • 大学生と共創する情報発信プロジェクト「パラスポデザインカレッジ」
  • 医療・福祉系の大学との連携事業「車いす操作スキル講習会」

2023年第一期は全国73名のアスリートを応援

このプロジェクトの中核となっているのが①の「チャレンジド・スポーツ アスリート奨励金」です。奨励金の対象は、47都道府県、10の政令都市の障がい者スポーツ協会から推薦された未来を担う若手アスリートたち。そんなアスリートと各協会・競技団体に対して奨励金を給付します。本奨励金制度は2022年9月に立ち上げ、第一期となる2023年は全国73名のアスリートと37団体へ総額2750万円の給付を行いました。

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奨励金の対象者は“若手”であること。全国各地の金の卵を発掘!

チャレンジド・スポーツ プロジェクトの担当者であるサントリーホールディングス株式会社CSR推進部の宮治河奈さんは、対象者要件のひとつが“若手”であることについて説明します。

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「若手とは25歳以下、もしくは競技を始めて10年未満という意味です。もちろん、それまでの成績も関係ありません。ですから第一期は小学生から40歳代と幅広い年齢の方が選ばれています。

採択者の推薦は各協会にお願いしています。その理由は、地域に根ざし、アスリートや競技を取り巻く環境をよく知る協会だからこそ、サポートを必要とするアスリートや競技団体を見出すことができると考えているからです。今後も各協会とのリレーションシップをより深め、この奨励金の価値を高めていきたいと考えています」

実際には、どのようなアスリートが選ばれ奨励金を活用しているのでしょうか? 2023年度の第1期「チャレンジド・スポーツ アスリート奨励金」に選ばれた3人の選手に話を伺いました。

目標は「東京2025デフリンピック」での活躍│デフバドミントン 片山結愛さん

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片山結愛(かたやま・ゆめ) デフバドミントン/2003年生まれ/香川県

片山結愛さんは生まれつきの難聴で、右耳に人工内耳、左耳に補聴器を着けて生活しています。小学校3年生からバドミントンをはじめ、高校3年生のときには県大会で準優勝するほどに。そんなときに知ったのがデフバドミントンの存在です。

「バドミントンはシャトルを打った音でコースやショットの種類を判断して動きます。初めてデフバドミントンを体験したとき、その“音”に頼れないことにギャップを感じました」

思っていたようにできない、パートナーとの連携も難しい。だからこそ「面白い」と夢中になりました。すぐに頭角を現すと日本代表入りへ。強くなるとともに主戦場が世界になると、宿泊費や交通費など出費もかさみました。奨励金はそんな大会の参加費や遠征費として、またガッドなどの消耗品に充てられています。

「デフリンピック競技はパラリンピック競技よりも認知度が低い。私が活躍することで、同じ境遇の子どもたちにスポーツをする楽しさを伝えたい」

と片山さん。また「サントリーの方が試合観戦に来てくれたのが嬉しかった」と、応援者が増えたことにも喜びを感じています。世界でも実績を残し始めた片山さん、これからの目標は2025年の「東京デフリンピック」での活躍です。

目指すは「パリ2024パラリンピック」出場│シッティングバレーボール 波田みかさん

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波田みか(はた・みか) シッティングバレーボール/2001年生まれ/東京都

小学校1年生のときにバレーボールを始めた波田みかさん。足に骨肉腫が見つかったのは小学校6年生のときでした。人工関節となり障がいを持つことは避けられない……そんななかで父が娘のために見つけた新しいスポーツがシッティングバレーボール。手術前に強豪・東京プラネッツ女組(めぐみ)に見学へ赴き、手術とリハビリを経て2015年1月の退院後に入部すると、それからチームの、そして日本代表の中核になっていきました。

「初めて映像を見たとき、最初に感じたのは『なにこれ! 面白そう』でした。いざ始めてみると、お尻をつけて動くことの難しさ、そして奥深さがありました。それは映像ではわからないこのスポーツの醍醐味なんですよね」

ただ知名度が低いことから競技人口が増えない、ゆえに強くなれないことも目下の悩みのひとつ。奨励金はシッティングバレーボール協会の普及活動にも活用され、奄美大島での体験会も実施できたとのこと。また波田さんの活動では交通費に充てることで、練習の機会が増えたと話します。

2023年10月に開催された「杭州アジアパラ競技大会」では旗手を務め、日本代表への思い、「パリ2024パラリンピック」出場への思いも強くしたという波田さん。3月からはパラリンピック出場枠をかけた日本代表の戦いが始まります。

目標は「ロス2028パラリンピック」出場│パラ卓球(肢体) 金野駿さん

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金野駿(かねの・はやと) パラ卓球(肢体)/2000年生まれ/埼玉県
Photo by Moto Yoshimura

2023年11月、東京で開催された「第15回全日本パラ卓球選手権大会(肢体の部)」、決勝トーナメント一回戦敗退となった金野駿さん。この結果を「卓球を始めて、一番悔しかった」と話します。この試合で優勝すれば日本代表に選出され、世界大会への出場切符が手に入ります。そしてそこで活躍すれば目標であるパラリンピック出場へ近づくことができるからです。

毎日2時間以上、週末は4時間以上の自主練習を行い、そのうち週に3~4回はコーチと一緒に練習をしている金野さんですが、奨励金はコーチのレッスンフィーの一部、そして地方大会に参加するための遠征費に充てました。これまで地方大会は年に数回しか参加できませんでしたが、2023年は月1~2回、参加できたことで実戦経験を積めたといいます。投じた時間はすべて「全日本で優勝するため」でしたから、悔しさはひとしおでした。

「コーチに敗因は技術ではなく精神面と指摘されました。これからは勝ち切るメンタルを作りたい」

一方で、地方遠征では新しい仲間と知り合えたことが大きな収穫となったと話します。現在の目標は2028年開催の「ロス2028パラリンピック」出場です。このとき金野さんは28歳。どんなプレーが見られるのか、楽しみです。

チャレンジド・スポーツ プロジェクトはすべてが次世代への種蒔き

チャレンジド・スポーツ プロジェクトは、サントリーの企業理念で大切にしている「利益三分主義」「やってみなはれ」を体現できると宮治さんはいいます。

「このプロジェクトは多くのパートナーとともに、ていねいに時間をかけて、より良いものへと成長させていくものと考えています。次世代のために、いま種を蒔き始めたばかりです」

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「奨励金については蒔いた種から芽が出て、果実になるのは10年後かもしれないし、20年後かもしれませんが、粘り強く取り組みます。そして、いつしか多くのアスリートが存分に活躍できる土台ができたらと思います」

2024年1月23日、奨励金に採択された第2期のアスリートと団体が発表されます。チャレンジド・スポーツのこれからを担うアスリートたちにご注目ください。

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