目指すは箱推し。ファンを巻き込むサントリーのブランド戦略とは?
目指すは箱推し。ファンを巻き込むサントリーのブランド戦略とは?

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目指すは箱推し。ファンを巻き込むサントリーのブランド戦略とは?

23.05.31

様々なフィールドで活躍するサントリーの社員=サントリアンにスポットを当て、「挑戦」をテーマにインタビューしていく特集企画。第3回目は、サントリーファンとのコミュニティ「マル・デ・シャイン」を運営するサントリーホールディングス株式会社コーポレートブランド戦略部の濱田智子さんにインタビュー。

「マル・デ・シャイン」とは、「まるで社員」のようにサントリーを心から愛してくれるファンの方と社員が直接交流することで、個々のファンの声に耳を傾け、その思いに向き合うプロジェクト。サントリーを好きでいてくれるファンの方々と真摯に向き合うことで、サントリーの事業や企業活動に活かしていき、サントリーファンを増やしていきたい。そんなサントリーの想いを濱田さんの活動から探ります。

サントリーの未来を「シャイン」と一緒に考える

2019年にスタートした「マル・デ・シャイン」プロジェクトでは、サントリーが取り組んでいる様々な活動を「まるで社員」のように、サントリー社員の仲間となってともに活動してくれる一般の方を募集しています。その内容は多岐にわたり、製品づくりはもちろん、水を育む活動や、芸術・文化・スポーツを通じて生活に潤いを提供する取り組みなど、サントリーをもっとよくしていこうという活動をしています。この「マル・デ・シャイン」の運営を一手に引き受けているのが、濱田智子さんです。

濱田さん:「マル・デ・シャイン」はサントリーのファンの方をより解像度を上げて解明してみようという目的から始まりました。数は多くなくとも、熱狂的にサントリーを好きでいてくれる人たちがいる。それはどんな人たちなのだろう? なぜそれほどサントリーを好きになってくれているのだろうか? それがわかれば、もっとサントリーのファンを増やせるし、私たちサントリーの活動にも活かせるのでは──。それが「マル・デ・シャイン」のミッションでした。

お気づきかと思いますが、「マル・デ・シャイン」も「まるで社員」のダジャレです(笑)。せっかくファンの方とつながることができるコミュニティなので、「まるで社員」のような気持ちで、サントリーを愛する仲間として、これからのサントリーを考えてもらう場にしたい──。

「マル・デ・シャイン」では会員の方を、社員をもじって「シャイン」と愛着を込めて呼んでいます。そんな遊び心も持ちながら、コミュニティづくりを行ってきました。

さまざまな入り口から熱狂的な「サントリー」ファンに

立ち上げて4年目を迎える「マル・デ・シャイン」は、現在全国に約6000人もの「シャイン」の方々がいらっしゃいます。様々なイベントで、そんなシャインのみなさまとリアルやオンラインで交流を深めてきました。

濱田さん:イベントやインタビューなどでお話させてもらうと、シャインのみなさんはとても個性的で、フットワークが軽いことに驚かされます。積極的に人生を謳歌しようという雰囲気が伝わってきます。

バックグラウンドやサントリーに興味を持ってくださったきっかけも多様です。「白州」が好きで山梨で結婚式を挙げたという方や、府中出身で地元のラグビーチーム「東京サントリーサンゴリアス」を応援しているうちにサントリーが好きになって、いまでは飲み物はサントリー一択という方までいらっしゃいます。

多くの企業がファンコミュニティづくりに取り組んでいますが、その実現は簡単ではありません。ファンとの絆が真に深まるファンコミュニティにするために、濱田さんはどのようなことを心がけているのでしょうか。

濱田さん:最初は会員数を増やすことを意識していたのですが、それよりも大事なのは、いかに深い絆を結ぶことができるかだと気づきました。景品を配ったり、打ち上げ花火的なイベントで集客するよりも、無理をせずコツコツと関係性を深めていければいい。その結果、少しずつでも人数が増えればと考えています。

シャインの声を「傾聴」して得た気づき

最近では、イベントを通してサントリーのことを知ってもらうだけでなく、シャインの声をもっと「傾聴する」ことに力を入れています。

濱田さん:「サントリー」という会社に対して、シャインの方は今どんな風に感じているのか。サントリーのどこが好きで、もっとこうした方がいいと思っていることは何か。ウェブアンケートやグループインタビューをすることで、リアルな声をじっくり聞いていきたいと思っています。

そして、その声を社員につなぐことで、会社全体にサントリーを愛してくれているシャインの声を活かしていきたいです。

社員や会社とシャインをつなぐハブになる──。それが濱田さんの役割でもあります。

濱田さん:より多くの部署にシャインの方をつなぐ機会を増やすのが今の目標です。直接シャインの方とお話すると、数字やアンケートからは見えない新しい発見がありますし、頭で想像していることとは違ったりすることにも気づかされます。私自身、シャインの方とリアルに接することで、たくさんの貴重な経験をさせてもらっています。

例えば、インタビューやアンケートなどをお願いすることが負担かもしれないと気になるのですが、シャインの方からは「サントリーの社員と直接話せること自体にすごく価値があるから、どんどん声をかけて」と言っていただいたり。

また、「商品がどんな想いでつくられているのか、その裏側を知ることで商品への愛着が増すし、つくり手である社員を身近に感じることができる。結果、サントリーという会社そのものがもっと好きになっていくんだよね」という言葉も非常に印象に残っています。商品だけではない、裏側のストーリーが+αとなって、サントリーとシャインの方々との距離がさらに縮まるんだと実感しました。

そんなふうに私が体験したり感じたりしたことをほかの社員にもぜひ共有したい。これほど愛してくれているファンがいる企業であることを、シャインのみなさまの生の声から直接感じてほしいですね。

社員とシャインをつなぎ、新しい価値を生み出す

社員とシャインをつなぐ具体的な取り組みのひとつが、グループインタビューです。最近の事例ではお酒の新商品を開発している部署が、シャインのみなさまを対象にグループインタビューを実施しました。

濱田さん:実際にグループインタビューでシャインの方々と直接話した社員からは「多くの方が飲食に興味をお持ちで、その発言や価値観にはものづくりのヒントになることが多かった」「普段の業務ではなかなか出会えない方々の意見に大きな刺激をもらえた」というような感想が寄せられました。

こちらから一方的に質問をするのではなく、シャインの方からもいろいろな質問や意見が飛び交い、お互いが大好きなお酒やサントリーについて「熱を持って語り合う場」になりました。その熱量がより愛される商品づくりの原動力になっていくと思うと、私自身もワクワクしています。これから社内広報にも力を入れて、このような事例をどんどん増やしていきたいですね。

サントリーのすべてが好き! な「箱推し」に

サントリー社員とシャインが深く交流できる場があることは、社員だけでなくサントリーファンのシャインの方々も積極的に楽しんでくれています。

濱田さん:シャインの方々は、本当にサントリー社員のような気持ちで、サントリーをよりよくしたいと心から思ってくれています。ですから、「もっとサントリーの社員と話したい」「サントリーのこんなことについて社員に直接伝えたい」と、積極的に関わってくれようとしてくれるのがうれしいですね。

最初はサントリーのウイスキーが好き、ビールが好きなど、それぞれ別の入り口からサントリーに興味を持ってくださるんですが、「マル・デ・シャイン」の活動を通して、「サントリーの全部が好き!」という「箱推し」になってくださるんです(笑)。

実は私自身もサントリーの「箱推し」。商品も好きだし、個性的な社員たちがそれぞれ楽しそうに働いている会社が好き。サントリーの全部が好きということでは、シャインの方たちと想いは同じです。

これからもサントリーファンであるシャインの方々と一緒に、コミュニティを盛り上げて、大好きなサントリーをもっと素敵な存在にしていきたいと思っています。

▼関連リンク

「マル・デ・シャイン」の入会はこちらから!

サントリーホールディングス株式会社
コーポレートブランド戦略部

濱田智子はまだ・ともこ

1982年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学経済部を卒業後、2006年にサントリー株式会社に入社。秘書部、広報部、サントリーウエルネスでの化粧品販促担当、デジタルマーケティング部に配属。その間2度の産休・育休を経て、2022年に現在のコーポレートブランド戦略部に着任。サントリーWEBサイト、ファンコミュニティ運営など、日本国内向けの企業ブランディングを担当。

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