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今日より明日、もっと美味しいビールを届けるために
〜醸造家は今日もビールの夢を見るか〜

2017年10月27日
今日より明日、もっと美味しいビールを届けるために 醸造家は今日もビールの夢を見るか今日より明日、もっと美味しいビールを届けるために 醸造家は今日もビールの夢を見るか

STORY #3

今日より明日、
もっと美味しいビールを
届けるために
〜醸造家は今日も
ビールの夢を見るか〜

醸造家の日々の活動を昇華させたビール。それが、マスターズドリーム。
伝統的な製法に学びを得ながら、独自の創意工夫で研究開発に貢献した醸造家・丸橋太一。
修行も、孤独も、より多くの人に美味しいビールを飲んでもらうため。
男が見出した「革新」には、歴史が裏打ちする物語があった。

「ビールづくりに人が手を加えられるところって、実はかなり少ないんです」

大規模な生産設備だけでなく、研究・開発のための「ミニブル」(ミニブルワリー。小規模な醸造設備)をも備えるサントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野。ここに置かれたビール商品開発研究部で部長を務める丸橋太一は、以上のように話す。

マスターズドリームのほか、ザ・プレミアム・モルツ〈ジャパニーズエール〉香るエールなどの新商品開発に携わってきた丸橋。彼の「醸造に人の手が加えられるところはほとんどない」という言葉は、決して謙遜を込めて述べているわけではない。

「ビールの原料の1つである麦芽は、大麦のみずから芽を出そうとする力があるからこそ、麦芽になります。この麦芽のエネルギーを活かして麦汁をつくり、その麦汁は酵母に発酵してもらう。......つまり、ビールは自然の力を借りてつくられているものなんです」

さらに丸橋は「お料理でいえば、味が足りないときに塩コショウを入れることができますが、ビールはそれができないんですね」と、人工的な味付けができないと続ける。では、自然の恩恵を受けながらつくられるビールに、人は、醸造家は、何ができるのか?

新たな商品を企画、開発するにあたり、例えば発酵では、酵母の状態を確認しながら条件を整えることがある。その際、気温などの外的要因によって、あらぬ方向に発酵したり変化したりするため、こうしたリサーチは暗く冷たい地下室で行われることが多い。

「1日10時間、地下室にこもり、それを1週間ほど続けることもあります。それくらい手塩にかけて酵母の面倒をきちんと見てあげないと、彼ら(酵母)は美味しいビールができるだけの働きをしてくれません」

孤独な作業で一抹の寂しさを感じる反面、酵母が愛らしく見えるとも語る。
丸橋が顕微鏡を通して酵母を見れば、活力のない酵母の見分けはすぐにつくし、さらに元気になってもらうためにはどのくらいの温度の中に置いてあげれば良いか、ということまでイメージできるのだという。

自然の力を大きく借りるビールづくりにおいて、酵母をはじめとした原材料が最大限の力を発揮できるように「見守る」ことは、醸造家の大きな仕事の1つであるということだ。

醸造家に不可欠な「自信」と「夢」

伝統的な製法に学びつつも革新し続けるために、醸造家にはさまざまな知識が必要とされる。「製法の面では、たとえばビールとはまったく異なる自動車産業の技術などを見聞きして『ビールづくりに活かせないか』と考えることもあります。また、有名なレストランなどへ行き、美味しいとは何かを考えたりもしますね」(丸橋)

醸造家の生い立ちを想像すると、農学、栄養学、あるいはここまで記したような発酵学などを修めた人物像が思い浮かぶ。こうした醸造家がたしかに存在する一方で、飲食料品に関連するわけではない学問を習得した者もいる。丸橋は、その代表例といえるかもしれない。

「学生の頃の私は、癌の転移の研究をしていました。もちろん、卒業後にその方向へ進んで人を救いたい、ということも考えていましたね。ただ、研究室の仲間とビールを飲む時間がとても好きでした。今も思うのですが、ビールのように飲み飽きずに愉しむことができて、なおかつ人を元気にしてくれる飲み物って、ないじゃないですか。そこで好きなビールをつくってみたい、と思い立ち、面接でひたすら『ビールが好き』と言い続けてサントリーに入社しました」

そして入社後、初めて配属されたのが生産の最前線であるサントリー〈天然水のビール工場〉群馬。初めの頃は驚きの連続だったと、丸橋は振り返る。

たとえば、工場見学に行けば大きな装置が目立ち、人の姿を見かけることは少ない。学生時代から見学に赴いていたという丸橋は、ビール業界は自動化された世界、とのイメージを持っていたといい、しかし実際に自分がつくり手の立場になってみると、その裏側では多くの人が走り回っていることを知る。それが、1つ目の驚きだった。

さらに、驚きを感じたのが、想像以上のハードワークだった点だ。仕込、発酵、濾過など、あらゆることを「厳しく」叩き込まれたといい、ときには無理難題を上司から突きつけられることもあった。

「まだ配属されて間もない頃だったと思いますが、発酵しているタンクを上からずっと見ていろ、と命じられたんです。『そこでお前は何が見えるのか、何をできると思うのか、よく考えながら見ろ』とね」

まるで禅問答のような世界である。

なぜ、先が見えない中で、辛いことを続けなければならないのか――その理由を教えてくれた先輩がいた。

「『今はものすごく大変だと思うけど、苦労した分だけ将来、自分がつくりたいビールができたときに役に立つから......だから絶対に手を抜くな』と言われたんです。そこで気づいたのが『自分は今、修行中なんだ』ということ。醸造家という〝家〟のつく仕事を目指す以上、修行があるのは当たり前だよな、と思いましたね」

苦しい日々を不屈の精神で乗り越え5年が経った頃、丸橋の「修行」は新たなステージに入る。会社からドイツ・ミュンヘン工科大学醸造学科への派遣を命じられたのだ。

「最初はドイツ語がまったくわからない状態で行ったので、そこが最初の壁になりました。そんな中、ドイツでビールづくりをする醸造家たちと話して大きな刺激になったのが、誰もがビールづくりに対する自信と夢を持っていることでした」

ドイツへ行くまでの丸橋も、うまいビールをつくらなければならない、という責任感は持っていた。しかし、自分がつくりたいビールは何かと深く考え、その結果「こうしたビールをつくることができた」と言えるまでの自信はなかったのだという。

以降は、確かな自信を持てるよう、さらに技法の習得や研究へと励むわけだが、何が丸橋をこのような思考へと変えたのか? それは、ドイツの人々のビールへの愛情と文化が根底にある。

「ビールを飲むことが、ドイツで暮らす人たちの最大の愉しみなんですよね。ビールがあればそこに人が集まり、みんなで囲む。そして醸造家たちは『自分たちがこのビール文化を紡いでいかなければ、愉しみを奪ってしまう』と心の底から思っているんです。だから、自分がつくりたいビールはこうだ、こういうビールをつくるんだ、といったことをきっぱりと言うんです」

〝プラス1年〟で何を革新できるのか?

丸橋がドイツで伝統的な技法を学んでいた頃、日本のサントリーでは新たなプロジェクトが進行していた。マスターズドリームの企画開発である。

マスターズドリームを世に出すにあたって開発された銅製循環型ケトル。「もちろん、設計からオリジナルです。銅の管で麦汁を炊くといっても、ただ炊いただけでは美味しさはつくれない。条件設定にも苦労しましたね」(丸橋)

2009年に帰国した丸橋は商品開発研究部に配属され、マスターズドリームの開発に携わることとなる。

「商品開発、と一言でいってもさまざまなパターンがあるんです。マーケティングのセクションがお客さまのご意見を基に新商品を企画・提案する、という場合もありますし、ザ・プレミアム・モルツ〈ジャパニーズエール〉香るエールの開発は私たちから発案しました。従来のザ・プレミアム・モルツとは異なる香りを表現できないか、との視点によるものでしたね」

「弊社でも他社でも、どんな市場に、どういったお客さまに、と考えながら商品開発するのは一般的だと思います。しかしマスターズドリームは、まずはそれらを考えず自分たちが本当に美味しいと思えるものをつくろう、というのがはじまりでした。だから、最初に『この方向で行こう』と決めたのではなく、試行錯誤を繰り返し、ディスカッションを繰り返しながら、あの味にたどり着いたといったイメージですね」

冒頭の丸橋の言葉にある通り、ビールづくりは原材料の力による部分も大きい。マスターズドリームの場合は、「ダイヤモンド麦芽」(チェコのビールで伝統的に使われる麦芽。上質かつ深いコクを生み出す)を使っているが、それだけで美味しいビールができるわけではない。

決して意のままに操れるわけではない、しかし良質な麦芽のうまみを最大限に活かすために考え出されたのが、「銅製循環型ケトル」だった。

ピルスナービールの本場であるチェコでは、かつて仕込(麦汁をつくる工程)を銅釜で行っていた。銅製循環型ケトルはそれにヒントを得たものだが、丸橋ならではの「革新」もここに込められている。

「銅釜で仕込むだけであれば、昔の製法を真似しているだけになってしまい、それ以上の美味しさ引き出すことが出来ません。『銅釜で美味しさを引き出せるなら、銅釜の効果をもっと引き出すような設備がつくれないのか』を考える。そこで、銅管の中を麦汁がぐるぐると循環する銅製循環型ケトルを開発しました」

まったくの新しい設備であるがゆえ、製作する業者とは侃々諤々の議論を交わしたという。また、実験用の小さなスケールで仕込ができても、生産のためのスケールアップをすると麦汁の均一性が保たれない、などといった課題も発生した。銅製循環型ケトルは、こうしたハードルを乗り越え完成し、特許を取得したものである。

ヨーロッパの伝統的な製法に学びを得ながらも、独自の創意工夫を試みる丸橋。そこには、より多くの人に美味しいビールを飲んでもらうための哲学があると話す。

「伝統を守る大切さを感じる一方で、進化がないとお客さまに飽きられてしまうという危機感も常に持っています。老舗の料理店で『100年注ぎ足したたれ』ってありますよね。でも私は、100年目より101年目のたれの方が絶対に美味しくできると思うんですよ。1年を経ることで、味わいや香りに深みを出せるはずですから。では、その〝プラス1年〟の間に私たちは何ができるのか? より美味しくするための努力は、そこで行った革新の積み重ねなのだと思います」

丸橋は、今日のビールを昨日よりも美味しくするために、試行錯誤を続けている。

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