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STORY #1
職人の研ぎ澄まされた
感覚が生み出す、究極の美
金沢箔の伝統工芸士に聞く
「別格」のモノづくり
対談
株式会社箔一
伝統工芸士
(伝統的工芸材料 金沢箔)
山根勉
×
サントリー株式会社
ビールカンパニー
マーケティング本部
プレミアム戦略部
マスターズドリーム
ブランドマネージャー
下山弘晃
石川県金沢市は国内で生産される金箔の98%以上を誇る、金箔の一大産地。
その歴史は古く、加賀藩祖・前田利家公の命で製造が始まったと言われている。
別格のモノづくりをめざすマスターズドリームのブランドマネージャー、下山弘晃がこの日訪ねたのは、金沢箔の匠、株式会社箔一の山根勉氏。
世代の離れた2人がマスターズドリームを酌み交わしながら、古都金沢で長年受け継がれてきた職人の手技の凄さや、モノづくりのおもしろさ、難しさについて語り合った。
箔づくりはマニュアル化が難しい作業の連続
下山まずは自己紹介させてください。私はビールの美味しい瞬間、愉しい瞬間を多くの方に体験していただきたいとの思いでサントリーに入社し、ビールのマーケターの仕事に就きました。山根さんはどんなきっかけで箔職人になられましたか?
山根高校2年の時の担任に就職先として箔一を紹介されたのがきっかけです。私がフラフラしとったんで、「ここに入りなさい」と(笑)。担任と箔一創業者の浅野邦子が知り合いだったそうで、それがご縁ですね。入社時は箔の「ハ」の字も知りませんでしたが、そこから43年お世話になっています。家業を継ぐのが一般的な業界で、ご縁あって箔の職人にさせてもらい、伝統工芸士にまで育てていただきました。こんな経緯で、この業界に入ったのは私が初めてだそうです。長く続けられたことを思えば、この仕事が向いてたんでしょうね。
下山先ほど金箔の製造工程を見学させていただきましたが、とても興味深かったです。最初に見せていただいた1㎏の金の延べ棒がどんどん形を変えて薄くなって、最後は1万分の1㎜という薄さの金箔になっていくことに驚きました。金の延棒を溶かして機械で延ばし、紙に挟んで機械で打って延ばす、刃物で切りそろえるなど、一連の工程で修業時代に一番苦労されたのはどの作業でしたか?
山根全部難しかったですよ。箔づくりには、和紙で箔を挟んで打つ「縁付技法」という昔ながらの技法と、和紙の代わりにグラシン紙を用いる「断切技法」という現代的な技法がありますが、いずれの技法でも一番大事なのが和紙などのベースになる紙の仕込みです。その日の湿度や気温によって金箔の延び具合が変わってくるので、微調整しないといけないんです。それから箔を打つ作業も、手の感触であとどれくらい打つかを判断します。そういう作業はマニュアル化や文章化が難しくて、経験して覚えていくしかないんです。
下山やはり大変な世界ですね。仕事がおもしろくなったのは何年目くらいでしたか?
山根おもしろいと思えるまでには相当時間がかかりました。だけど小さなことでも自分でできるようになれば嬉しいですよね。そこからのめりこんでは挫折して、の繰り返しです。金箔に携わって今40年目ですが、本当に思い通りにできるようになったのは、ここ10年ぐらいの気がします。
職人に大切なのは、ひとつのことを深く掘り下げ、より良いものを求めていく「欲」
下山金箔とビールでは、業界も商品も違いますが、山根さんのお話を聞いて、モノづくりの現場で人の技量が重要な役割を果たすところは同じだなと感じました。
山根そう思いますね。前にテレビで見たんですけど、ビール工場ではつくり手の方が毎日試飲して、その人の味覚で判断を下したりされるんですよね?
下山はい。ビールの原料は農作物であり、また生き物である酵母も扱うため、ビールづくりは繊細で難しく原料の状態や配合、製法、酵母の扱い方など、どれか一つずれても目指す味からは遠ざかってしまいます。そのため醸造家が日々の官能検査のなかで毎日品質を確認し、狙いの味わいへつくり込んでいきます。狙いの味わいを実現するためには、やはり醸造家の技術と経験が欠かせません。
山根その点は我々にも共通するところですね。自然のものを使っているとマニュアルでは表せない判断基準が出てくる。そこのところをつくり手の感覚で判断できるようになれば「一人前」と言えるんじゃないですか。一年中、同じ品質を保ってつくり続けることが実は一番難しい。その辺は我々職人が一番頭を悩ますところなんだけど、だからこそ、おもしろい部分でもあります。
下山職人さんのこだわりが出るところですね。サントリーの醸造家も、やはりこだわりが強いです。マスターズドリームという名にもあるように、醸造家たちが「世界で一番うまいビールをつくりたい」という夢にむかって、昨日よりも美味しい中味をお客様に届ける一心でビールづくりに向き合っています。
山根つくり手には、一つのことを深く掘り下げていく性格、もっといいものをつくりたいという欲が大事な気がします。そういう職人気質の人は、年齢や職種に関係なく活躍されるんじゃないですか。下山さんのお話を聞いて、業界は違ってもこだわってモノづくりをされているところには相通ずるものがあるし、こだわりがある製品、作品っていうのは、やっぱりいいもんやなと思いました。
「ゆっくり味わって飲みたい。マスターズドリームはそんなビール」
山根実は私、お歳暮やお中元でいいビールを差し上げたいという時は、プレモルを贈るんです。下山さんにお会いするので、マスターズドリームも飲んでみたら、まさに別格。他のビールとは全然違う、と思いました。
下山ありがとうございます!今日はマスターズドリームをお持ちしましたので、ぜひ飲んでみてください!
二人では……乾杯!
山根うん、やっぱり美味しいね(笑) コクがあるのにすごく飲みやすい。
下山マスターズドリームは苦味、コク、甘味、香りが調和する「多重奏で、濃密。」な味わいが特長です。製造には狙いの味わいを実現するために、わざわざゼロから開発した銅製の釜、銅製循環型ケトルを使っています。銅は熱伝導率が高いので、より厚みのある味わいと、芳ばしさが引き出されます。
山根先ほど、水にもこだわっているとおっしゃったけど、だから飲みやすいんかなあ?
下山マスターズドリームで、お客様にお届けしたかったことは、ビールで日常をもっと豊かに、愉しんでほしいということです。ビール大国チェコに目を向けると、休みの日はビールを何杯も飲んで豊かな時間を過ごす、そういう愉しみ方がなされていました。そこで私たちは、単に刺激、キレというビールではなく、じっくりと、何杯飲んでも心地よく飲み続けられる味わいをめざしました。それから泡にもこだわって素材や製法を工夫しているので、クリーミーな「神泡」を感じていただけるかと。
山根はい、感じました(笑)。確かに泡がとろっとしてる。こういうビールは、ガバガバ飲んでのど越しを愉しむというより、バーのカウンターでじっくり味わいながら心地よい余韻を愉しむのも良いかもしれません。あるいは週末、「今週も無事に終わった」という気分のときに、いい料理、いい魚と合わせて家で飲むのもいいかもしれんね。
下山ぜひ!マスターズドリームは「素材の美味しさを引き立て、食事にも合うビール」とのお声もいただいています。お客様に特別な存在、別格のビールとして愉しんでいただければ嬉しいですね。
金箔のグラスでマスターズドリームを飲む、ひとときの幸せ
下山箔一さんは金箔だけでなく、金箔を使った製品も製造されているのがユニークですね。日用品、装飾品、美術品、食品、建材と金箔が多用途に利用されていることに驚きました。
山根箔一創業のきっかけは、まさにそこなんですよ。昔、金箔は仏壇にしか使われていませんでしたが、それを日常に広めたいとの思いから1975年に創業されました。箔はあくまでも材料なんです。作品や製品に使われて初めて価値がでます。普通、箔の職人は自分たちがつくった箔がどこで使われているか、なかなかわからないものですが、うちの会社は金箔を使った商品づくりも目の当たりにできるので、職人としてはモチベーションが上がります。
下山今回、マスターズドリームのキャンペーンにも箔一さん製作の、金箔をあしらったグラスが登場します。とても美しい、別格のグラスになっていてとても感動しました。
山根ありがとうございます。職人がグラスひとつずつに金箔を振りかけていく「散らし工法」でつくっています。ハンドメイドですから、それぞれが世界に一つだけのグラスになります。
下山ぜひ、このグラスでマスターズドリームを飲んで、ビールを飲む時間をもっと贅沢に、もっと豊かに愉しんでいただきたいです。最後になりますが、山根さんは今後挑戦したいことはありますか。
山根あと数年で定年を迎えますが、体が動く限りこの仕事を続けたいですね。なにしろ金箔業界では、私が「若手」に入るくらい、職人の高齢化も深刻です。産業として存続するには若い人の育成も必要ですし、伝統技法を軸にしつつ、今の時代に合う方法を考えていく必要もあります。業界全体が盛り上がって続いていってほしいので、私もそのための努力をしたいです。
下山本日はありがとうございました。
山根 勉 : Tsutomu Yamane
1961年 石川県金沢市生まれ 高校卒業後、箔一に入社。浅野志津雄氏(現・箔一相談役)に師事し洋箔、銀箔の製造を経て、金箔の製造に従事。2015年金沢箔の伝統工芸士に認定
箔一の職人が、グラスひとつずつに金箔を振りかけていく
伝統技法「散らし工法」で制作されたペアグラスが当たります。
特別なグラスで、マスターズドリームをお愉しみください。
職人の研ぎ澄まされた感覚が
私たちが「醸造家」と呼ばれる理由
今日より明日、もっと美味しい
手間がかかる麦芽だからこそ
爽やかな熟成香と爽快な余韻が広がる
伝統の有田焼をモダンでラグジュアリーなブランドに
大学駅伝の名将、原晋。
「夢を語るときに飲みたい
ビールがあります」
マスターズドリームとは
効率や生産性ではなく、素材や製法にとことんこだわり、
ただうまさだけを追い求めた「醸造家の夢」のビール。
醸造家の夢と情熱と信念の結晶として生まれたビールです。