箸やすめコラム
村上華子HANAKO MURAKAMI
ヨガインストラクター。国際薬膳師、薬膳料理研究家。薬膳とヨガの教室「季結び庵(ときむすびあん)」を主宰。ヨガと中医学の知識を融合し、季節の移り変わりに寄り添ったボティワークと食をWebやイベントなどで発信中。
https://www.instagram.com/tokimusubian/
秋の爽やかな空気とともに、食欲が増してくる今日この頃。おいしく食べたい、でも健康にも気を配りたい! というわけで今回は、日頃から心身のメンテナンスを欠かさない、ヨガインストラクターで薬膳料理研究家としての顔も持つ村上華子さんに、気軽なヨガと献立の工夫で秋の晩酌をヘルシーに楽しむヒントを教えていただきました。
※感染対策を徹底した上でインタビュー・撮影を実施しています。
季節ごとの気候の特性と、それに伴う体調の変化に合わせたヨガや食生活を心がけているという村上さん。秋はどのようなことに気をつけているのでしょうか。
「秋は、夏の間に溜まった熱や湿気が体の中から抜けてくるので、胃腸が元気になって自然と食欲が湧いてくる季節です。と同時に、空気が乾燥してくるので鼻や喉などの不調を感じやすくなる時期でもあります。
そこで、私が秋のテーマに掲げているのが、『うるおい』です。ヨガの呼吸法を意識したり、梨や蓮根といった中医学的に体を内側からうるおしてくれる旬の食材を積極的に摂ったりして、呼吸器まわりをいたわり、体を乾燥させないように内側からのケアを心がけています。」(村上さん)
村上さん曰く、中医学では心と体は相互に作用しあっているため、呼吸器まわりを“うるおす”ことで心も落ち着き、これからの時期に感じやすいといわれるセンチメンタルで愁いを帯びた気分をやわらげる効果が期待できるそう。
ということで、まずは村上さんおすすめの、秋の心と体をゆるめる簡単なヨガのストレッチと呼吸法を教えていただきました。
1つ目は、壁を使って行う「ウォールツイスト」。壁を背にして20〜30cmほど離れて立ち、ゆっくりと上半身を壁に向かってねじり、胸の高さで両手を壁につけます。そのまま上半身を壁に近づけて、そこでゆっくり3〜5回呼吸します。
「上半身がグーっと開いて、呼吸とコリに影響する胸まわりや前鋸筋(ぜんきょきん)が刺激されるポーズです。私はキッチンでお湯を沸かしている間とか、家事の合間のちょっとした時間にこのストレッチで体をほぐすことが多いですね。」(村上さん)
2つ目は、ソファの上でもできる、緊張をほぐすのに有効な「片鼻呼吸法」。はじめに、気持ちのいい呼吸を促すための準備として、肺の気が集まるとされる鎖骨下のツボ・中府(ちゅうふ)に指先を当て、鎖骨を外端から内側へさするようになぞります。
左右の鎖骨を2往復程度なぞったら、片鼻呼吸法へ。薬指と親指で左と右の鼻を交互に押さえながら呼吸することで、自律神経がととのい、リラックスできるそう。
「左から吸って右から吐く。次は、そのまま右から吸って左から吐く。ここまでが1セット。何度か繰り返すと気持ちが落ち着いてきます。秋はぐっすり寝るのも楽しみな季節なので、寝る前にこうした呼吸法を取り入れて、安眠を促すのもおすすめです。」(村上さん)
ただし、飲食直後のヨガは体に負担がかかるのでNG。必ず食後2時間程度はあけてから行いましょう。
心身をリラックスさせるヨガを教えていただいたあとは、村上さん的「金麦晩酌」の様子も見せていただきました。ふだんの晩酌は、家族との食事とは別に、仕事終わりにささっとできるおつまみを用意して、ひとりの時間を楽しむことが多いそう。
「お酒を飲む時は、ヘルシーなおつまみを合わせることが多いですね。“うるおい”を心がけている秋には、蒸し料理をよくつくります。今日は、旬の鮭、きのこ、蓮根、仕上げにかぼすをのせて蒸したものをメインに、副菜はうるおい食材の梨を、蕪、大根と合わせてビネガーサラダをつくりました。……うん、まろやかな金麦の味も引き立ってる! おいしくできました。」(村上さん)
聞けば、このほかにも焼き餃子を蒸し餃子に、春巻きを蒸し春巻きに、果物は蒸してコンポートに……と、村上さんの秋の食卓は蒸し料理ざんまいのようです。
いかがでしたか? 日常の延長線で気軽に取り入れられるヨガと献立の工夫は、秋の夜長の晩酌をよりリラックスして楽しむ手立てになりそうです。それぞれのお気に入りの空間で、ゆっくりじっくり、まろやかに仕立てた「金麦」を味わってみませんか。
「多国籍のグラス&茶器」
西洋民芸店や中華街などで買い集めたグラスや薬膳茶器。晩酌で使うのはもちろん、飲みながら並べて眺めてニマニマするのも好き。