箸やすめコラム
白州・山の水農場HAKUSHU YAMA NO MIZU FARM
山梨県北杜市白州町で、農薬や化学肥料を使わず、年間12〜13種類の季節のきのこを主軸に、有機野菜、お米、加工品などを生産・販売。同町内の旧甲州街道沿いにある農場直営のきのこ専門店のほか、自社オンラインショップ、山梨県立図書館内のカフェ、道の駅白州などで購入可能。
HP:https://www.yamanomizu.com
オンラインショップ:https://yamanomizu.shop
残暑の中にも、そろそろ空には秋の気配が感じられるようになりました。そうなってくると楽しみなのが、秋の味覚! 数ある旬の食材の中から、今回は手頃な価格で主菜にもおつまみにもアレンジしやすい「きのこ」をピックアップします。
そこで向かったのは、壮大にそびえる南アルプス・甲斐駒ヶ岳の麓、山梨県北杜市白州町にある「白州・山の水農場」。白州の豊かな自然に魅せられた水谷多呂さん・三重子さんが2003年に開いた同農場では、季節のサイクルに合わせて年間12〜13種類ものきのこを育てています。
「白州の天然水、澄んだ空気、寒暖差のある気候が、肉厚でおいしいきのこを育ててくれます。きのこは品種ごとに好きな温度も湿度も違って、見た目も味わいもそれぞれ個性的。育てていくほどに発見があって、ひと筋縄では行かないのがおもしろいところ。
栽培技術が進み、1年中出回るようになったものの、実は品種ごとに旬があるんですよ。なかでも秋のきのこは種類豊富で、香りとうまみが格別です」(多呂さん)
ということで、さっそく「秋の味の金麦」と共に味わいたい旬のきのこを使ったメニュー3品を教えていただきます!
※感染対策を徹底した上でインタビュー・撮影を実施しています。
まず1品目に教えてくれたのは、水谷家の子どもたちも大好物という「椎茸の肉厚フライ」。石づきを落とし、半月に切った椎茸を、トンカツと同じ要領で小麦粉、卵、パン粉の順に衣をつけ、180度の油でキツネ色になるまでカラッと揚げるだけ。
「フライにすると、衣の中で椎茸が蒸し焼きになり、肉汁をそのまま閉じ込めるのでうまみが外に出ず、とってもジューシーに仕上がります。今回は衣にパルミジャーノ・レッジャーノ(粉チーズ)を混ぜて、よりコクのある味わいに仕上げました。きっと『秋の味の金麦』にも合うと思います」(三恵子さん)
特にこれから出回る秋の椎茸は、肉厚で食べごたえが一層増すとのこと。定番の天ぷらとはまたひと味違った洋風の味わいが楽しめる一品です。
続く2品目は、生ならではのみずみずしい食感がアクセントに効いた「生きくらげのペペロンチーノ」。フライパンにオリーブオイルと薄切りにしたニンニク、鷹の爪を入れて弱火で熱し、香りが出てきたら食べやすい大きさに切った生きくらげを入れて炒め、そこに茹でたパスタを加えて塩、黒コショウで味をととのえます。
「生きくらげは9月半ばまでが旬。乾燥きくらげのコリコリとした食感とは違い、ゼラチン質のプリっとした弾力のある食感が特徴です。きのこは全般的に油と相性がよく、油と一緒にとることでビタミン類も効率よく吸収できます。旬のものはさっと塩・コショウで炒めるだけでも本当においしいですよ」(多呂さん)
そして3品目は、「乾燥きのこの中華風卵スープ」。鍋に水と乾燥きのこを入れ、沸騰したら火を止めて15分ほど置き、その後、顆粒の中華スープの素と薄切りにしたショウガを入れてひと煮立ちさせ、最後に溶き卵を加えれば完成です。
「乾燥きのこはさっと加えるだけで出汁にも具材にもなるのでとても便利。それに乾燥きのこは生のものに比べてうまみがギュッと凝縮されていて、出汁が出やすいんです。炊き込みご飯や茶碗蒸し、うどんなどにひとつかみ加えるとうまみがグッと増します」(三重子さん)
水で戻さずそのまま加えるだけの手軽さなのに、驚くほど濃厚なきのこのうまみが溶け出した一品。フォーなどの麺を入れるのもおすすめだそうです。
「旬のきのこはサッと調理するだけでふわっと香りが広がり、うまみも濃厚なので、きっと『秋の味の金麦』との相性がいいはず。どのメニューも簡単なのでぜひ試して欲しいです」と三重子さん。
おいしさに加えて、食物繊維やビタミン類が豊富なきのこは、夏の暑さで疲れた体をいたわってくれる食材でもあります。滋味あふれるきのこ料理とまろやかに仕立てた「秋の味の金麦」で、食欲の秋を存分に楽しみましょう!