箸やすめコラム
井出トマト農園IDE TOMATO FARM
神奈川県藤沢市で90年以上続くトマト農家。藤沢と富士山麓2つの自社農園で、15品種の大小さまざまなトマトを苗の育成からパッケージまで一貫生産。IoTを活用し、減農薬で安心・安全なおいしいトマトを日々研究中。また、トマトそのものの味が楽しめるオリジナルの加工品も人気。農園のホームページや併設の直売所などで購入できます。
https://www.idetomato.com
初夏の清々しい風の中にも、少しずつ夏の暑さを感じる日が増えてきました。この季節に合わせて爽やかに仕立てた「夏の味の金麦」をより楽しんでもらうため、今回は金麦とともに暑い夏に食べたくなる野菜「トマト」の魅力をご紹介します。
お話を伺ったのは、神奈川県藤沢市で90年以上“トマトひと筋”を貫き、定番から個性派まで約15品種のトマトを生産している「井出トマト農園」の代表・井出寿利さん。おいしいトマトを作るため人一倍研究熱心な井出さんに、トマトのおいしさの秘密、夏にトマトが食べたくなる理由、そしておすすめの食べ方を教えてもらいます。
※感染対策を徹底した上でインタビュー・撮影を実施しています
トマトといえば夏野菜の代名詞で、夏に旬を迎えると思いがちですが、井出さん曰く「トマトは高温多湿な夏の暑さが大の苦手で、本来のおいしい食べごろという意味での旬は2月〜5月」とのこと。
「でも、夏野菜と呼ばれるのも、ある意味間違いではないんです。トマトは97%が水分というみずみずしさが特徴で、乾いた体を潤してくれます。さらに、抗酸化作用のあるリコピン、β-カロテン、ビタミンCなどが豊富なので、暑さや紫外線で酸化しやすい夏の体を内側から癒してくれます」(井出さん)
たしかに、もぎたてのトマトを試食させてもらうとひと口で体に水分が染み渡り、シャキッと目が覚めるような感覚です!
さて、ここからはそんな夏にぴったりなおすすめのトマト料理3品を教えていただきます。
まず1品目は「夏野菜とタコのラタトゥイユ」。
作り置きにも便利な煮込みです。こちらに使うトマトは、中玉トマト・フルティカ。
「フルーティでハーブとも相性のいいという点がラタトゥイユにぴったりなんです」(井出さん)。
トマトのほか、ナスやパプリカなどの夏野菜と、タコをひと口大に切り、ニンニクを入れたオリーブオイルで炒めます。濃厚な自家製トマトケチャップ、塩、ハーブでシンプルに味付けしたら完成。フルティカ・トマトの甘みがしみ出た煮汁はバケットにつけて余さず食べたい!
続く2品目は「エビとトマトのカレー」。
こちらはトマトの水分だけで仕上げていくので、水分が多めの大玉トマト・桃太郎をたっぷり使います。桃太郎は果肉も柔らかく煮崩れやすいので、ざく切りしたトマトはあっという間にカレールーと馴染みます。
「ポイントは隠し味の豆板醤。ほどよい辛みがあって、ソテーして加えたエビとの相性も◎。トマトのうまみをピリッと引き立ててくれます」(井出さん)。
そして3品目は焼いたトマトの甘みが楽しめる「トマトの肉詰め」。
「この料理では、トマトを煮溶かすカレーと違って、トマトの『形』を残すことが大切なので、皮がしっかり目で果肉が厚い中玉トマト・レッドヴィラをチョイスしました。果肉も真っ赤なので仕上がりもきれいですよ」(井出さん)
中身をくりぬいたトマトに、すりおろした玉ねぎと酒・塩・コショウで味付けした豚ひき肉のタネを詰め、オリーブオイルをひいたフライパンで両面を焼きます。焼き色がついたら、くりぬいたトマトの中身としょう油、砂糖、白ワインを加えて蒸し焼きに。仕上げにバターをひと片加えたら完成! トマトと肉のうま味が溶け合ったところにバターしょう油のコクが漂い、やさしい風味ながら食べごたえもある一品です。
生で食べることが多いトマトですが、今回教えてもらったように、加熱したり他の食材と合わせたりすることでさらなるトマトのおいしさが広がりそうです。
また、味わいや栄養面ではもちろん、色あざやかな見た目は食欲が落ちがちな夏の食卓にぴったり。ぜひ、爽やかに仕立てた「夏の味の金麦」とともに、これからの暑い夏をおいしく楽しく乗り切りましょう!