箸やすめコラム
ムシムシとした天気が続き、
夏バテ気味で「食欲がわかない……」
という人もいるかもしれません。
そんな時は、
ガラスの器で食卓を涼やかに演出してみませんか?
2019年07月05日
菅原 加代子KAYOKO SUGAHARA
「菅原工芸硝子 / Sghr(スガハラ)」の広報担当。PR業務と並行して、九十九里と青山のショップに併設したSghr caféのメニュー開発や、新製品の企画なども手掛ける。今回のプレゼントの一つ、蓋つきのガラス容器「シャポー」は、菅原さんのアイデアによって製品化されたものです。
皆さんはガラスの器をどんなふうに使っていますか?
飲み物を入れるコップやグラス以外だと、
冷たい麺、サラダ、フルーツなどを盛る器としては出番が多いものの、
逆に、「決まったもの以外にはあまり使ったことがない」という人も
多いのではないでしょうか?
「ガラスの器って、意外とどんな料理にも合うんですよ。
透け感があるので印象が軽やかで、
陶器や磁器など他の素材と組み合わせてもうまく溶けあって
食卓でケンカをしません。
ぜひ、より幅広い用途やシーンで使って欲しいですね」
そう話してくれたのは、
千葉県・九十九里に工房を構えるハンドメイドのグラスウェアメーカー、
「菅原工芸硝子 / Sghr(スガハラ)」の広報を務める菅原加代子さん。
全国各地を飛びまわり、つくり手の想いとともに
暮らしの中で使いやすく、心を潤すガラスの魅力を発信しています。
「暑さが続く夏場は、食欲が落ちてしまいがち。
そんな時も、目に涼やかなガラスの器がひと役買ってくれます」
と、菅原さん。
伝え手であると同時に、主婦として日々ガラスの器を使いこなす菅原さんに、
食卓での使い道が広がるコツを教えてもらいます。
ガラスの器=冷たいもの、というイメージが先行しがちですが、
実は、あたたかい料理に使えるガラスの器も多いのだとか。
実際にスガハラショップ併設のSghr caféを訪ねると、
カレーやパスタ、コーヒーなどがガラスの器で運ばれてきます。
どれも目に涼やかで、暑い夏でもなんだか食欲がわいてきます!
「ガラスは大きく分けると、
耐熱ガラスとそうではないものの2種類があります。
耐熱ではなくても、温かい料理(60〜70℃)は
概ね問題なく盛り付けられます。
ただし、継ぎ目や極端に厚さが異なる部分があるものなど、
形状や製法によっては熱が破損の原因になる場合もあるので注意が必要です。
気をつけなければならないのは、『急激な温度変化』です。
ガラスは、70℃くらいの温度差には一般的に耐えられます。
でも、キンキンに冷えたグラスに熱湯を入れると、割れてしまいます。
ガラスは熱に弱いというよりも、急冷や急な加熱に弱いということです。
ご家庭であたたかい料理や飲み物に安心して使っていただくためには、
あらかじめガラスの器を保温しておくことをオススメします。
ガラスにはあたたまりにくく冷めにくいという保温の性質もあるので、
例えば、盛り付ける前にガラスの器を湯につけておくと、
器の温度変化も少なく済み、あたたかい料理をあたたかいまま保つこともできます。
暑さが続くこの時期、冷たいものに限らず、
定番メニューにもぜひガラスの器を使って涼を感じてみてください」
当たり前すぎて見落としがちなのが、ガラスが「透明である」ということ。
中に入れたものが見えるというガラスならではの特徴を生かして、
食材の色や姿を見せる演出を楽しんでほしい、と菅原さん。
「例えば、メインディッシュにかけるソースや、かき氷のシロップなどを
ショットグラスのような小さなガラスの器に入れて並べると、
食卓がぐっとおしゃれになって華やぎますよ。
わが家ではよく、透明のティーボウルにちらし寿司を盛り付けます。
酢飯と具材を交互に重ねると、側面がパフェのように見えてきれいです。
あとは、バターケースにパウンドケーキやチョコレートをのせたり、
蓋つきの容器に常備菜を入れておいたり。
中身が見えるので冷蔵庫の中でも見つけやすくて、
そのまま食卓に出しても、器として様になるので便利です」
何気ないものでも、上品でこなれた雰囲気を醸し出すガラスの器。
見せる工夫で、いつもの食卓をマイナーチェンジしてみましょう。
透けるのは中身だけではありません。
ガラスの器を置くテーブルの天板やクロスなど、
「背景も透ける」ということを意識すると、
より多彩なガラスの表情を楽しむことができるといいます。
「木目調の天板か、白いクロスの上に置くのかで
同じガラスの器でも印象がずいぶん変わります。
他にも、器の下に植物の葉を敷くというのもオススメ。
シンプルな器にアクセントが生まれ、みずみずしい食卓を演出できます。
秋は紅葉したモミジ、冬は銀色がかったシルバーリーフといったように、
季節感を出すのもいいかもしれませんね」
さらに、光を透過するガラスは、「影」が楽しめるのも特徴。
器に施されたデザインや、中に入れたものの色や形が
影として背景に映しだされると、より美しさが際立ちます。
「朝の日差しのもとで使うのと、夜のダウンライトのもとで使うのでも、
影の出方やガラスの輝きが変わります。
ガラスの器をあまり持っていないという人は、
背景や光の加減を工夫して、いろんな表情を引き出してみてください」
ガラスの器ならではの軽やかさ、透け感を生かした
使い方のバリエーションを学んだ今回。
最後に、その透明感を保つためのお手入れのコツを教えてもらいました。
「ガラスの器は、きれいに洗わないとくすんだり、水垢がついたりして、
少しずつ輝きが失われてしまいます。
特に、洗いっぱなしで自然乾燥すると、白い塩素ジミが残る原因になります。
『洗ったら必ず拭く』ことを心がけましょう。
また、お皿などを重ねて収納する時は、
キッチンペーパーを1枚間に挟むと、器同士のあたりキズを防げますよ。
ガラスの器を楽しむには、毎日使ってこそ!
繊細だからと扱いをためらわず、ぜひ出番を増やしてみてください」
夏はもちろん、オールシーズン活躍するガラスの器。
さっそく今日の食卓に取り入れてみませんか?
※この記事は2019年7月に掲載されたものを編集して再掲しております。プロフィールは初掲載当時のものです。