箸やすめコラム
料理研究家・エッセイスト安井 レイコREIKO YASUI
料理研究家・エッセイスト。「簡単、キレイに健康に」をモットーに、誰にでもつくれるような簡単かつヘルシーでエコな料理を考えて広めている。その最たるものが“鍋料理”であるとして、「日本で一番鍋に詳しい料理家」の名のもと、鍋にまつわるあらゆる文化やレシピを調査・研究。その魅力を世界に発信すべく、精力的に活動中。生活に関するエッセイなども発表。各地での料理講習会や食育のイベント、トークショー、テレビ、CM、ブログなどで活躍中。
https://www.yasui-reiko.com
簡単につくることができて、野菜がたっぷり食べられる家庭料理のお助けメニュー、鍋料理。最近は、外食でしか食べられなかったような“本格鍋”も自宅で手軽に楽しめるようになりました。一方で、「味が単調で途中で飽きる……」といった不満を抱えている人も多いようです。
「まずは、鍋料理=和食という考えを一旦忘れましょう!市販の鍋つゆや家庭の調味料を上手に使えば、あらゆる料理にアレンジできます。コツをつかめば、自分流の食材やつゆの組み合わせを考えるのが楽しくなるはず」
そう話すのは、「日本で一番鍋に詳しい料理家」として様々なメディアで活躍する料理研究家・エッセイストの安井レイコさん。
さっそく安井さん直伝のアイデアを教わって、秋冬の鍋シーズンを存分に楽しみましょう。
ここ数年、スーパーの棚には様々な鍋つゆが並ぶようになりました。寄せ鍋やキムチ鍋などの定番から、とんこつ鍋、カレー鍋、塩レモン鍋……など、その種類の多さには目を見張るものがあります。
「味わいのバリエーションだけではなく、注目は一人鍋用の鍋つゆがとても充実していること。わが家ではこうした一人用の鍋つゆを2種類混ぜ合わせて、オリジナルの味をつくっています。
たとえば、キムチ味+とんこつ味を合わせれば、子どもたちも食べやすいマイルドな味付けに。寄せ鍋味と鶏白湯味を合わせると、コクのあるちゃんぽん風など、いろんな組み合わせを試してみると楽しいですよ」(安井さん)
では、鍋料理の時につい思ってしまう、「食べている途中で単一の味に飽きてくる」問題は、どうしたらよいのでしょうか?
「そういう時はドレッシングが便利です!水炊きをポン酢で食べるように、寄せ鍋など醤油ベースのあっさりとしたお鍋と、お酢がベースのドレッシングって実は相性がいいんです。
手元皿に好みのドレッシングを入れて、鍋の具材だけをすくってつけだれ風に和えるようにしていただきます。ノンオイル系はポン酢がわりに使えるし、ごま風味はあらゆる鍋と相性がいいです。意外かもしれませんが、マヨネーズを使ったサウザンアイランド味もクリーミーでお子さんたちに人気です」(安井さん)
このほかにも、ケチャップや豆乳なども手元のちょい足しアレンジによく使うのだとか。知っておくとすぐに試せる便利なアイデアです。
そして、鍋料理のお楽しみといえば、やっぱりシメ! いう人が多いですよね。しかし実際には、お腹がいっぱいでシメの雑炊や麺までたどり着けない……ということも。
「残った鍋つゆはシメだけではなく、いろんな料理に進化させることができるんです。たとえば、残りつゆに刻んだ野菜や豆乳を加えて、そこにパンを入れてとろけるチーズでとじれば、翌朝の朝食にぴったりなパンスープに。すき焼きの残りつゆは、ジューシーなお肉の出汁を生かしてトマト、生パスタを加えればイタリアンな一皿になりますよ」(安井さん)
さらに、変わりだねとして教えてくれたのは、醤油系の残りつゆに餅を入れてつくるみたらし餅! 出汁が効いた甘じょっぱいあんが絶妙なおいしさです。
今回教えていただいたアレンジアイデアは、どれも身近にある食材やちょっとした工夫でできるものばかり。今年の秋冬は、わが家流のアレンジを効かせた鍋料理で、心もおなかもあたたまるおうちごはんを楽しんでみてください。
材料:
醤油ベースの鍋の残りつゆ…1カップ程度、切り餅…2個、砂糖…大さじ2、醤油…小さじ2、片栗粉…大さじ1(大さじ2の水で溶く)
〈つくり方〉
① 切り餅を1/6〜1/8程度の角切りにする。
② 具材をすべて引き上げた鍋の残りつゆを火にかけ、沸騰したら餅を入れて、くっつかないように軽く混ぜる。
③ 餅がやわらかくなったら、砂糖、醤油、水溶き片栗粉を入れ、つゆの色に透明感が出てとろみがついたら出来上がり。
※この記事は2019年10月に掲載されたものを編集して再掲しております。プロフィールは初掲載当時のものです。