箸やすめコラム
料理の仕上げは秘密の調味料……
ではなくて盛り付けにあり!
食材の彩りが豊かになるこのシーズンに合わせて、食器の色とお料理との相性を探ります。
2020年05月08日
城 素穂MOTOHO JOH
フードスタイリスト。大学卒業後、デザイン事務所、スタイリストのアシスタントを経てフリーに。フード、インテリアのスタイリストとして活動していた2008年、食の場について学ぶためベルギーに渡り、アントワープのレストランで食ともてなしを学ぶ。帰国後、再びスタイリストとして活動。世界各国を旅した経験からインスピレーションを得て生まれるスタイリングで、雑誌、書籍と幅広く活躍中。著書に『大人のもてなし』(講談社)。
料理の仕上げは秘密の調味料……
ではなくて盛り付けにあり!
実は、器と料理には相性があります。
それを知って上手に使えば食卓がぐっとおいしそうに素敵になります。
食材の彩りが豊かになるこのシーズンに合わせて、今回はお皿の“色”に注目。
食器の色とお料理との相性を探ります。
サラダ、煮物、パスタにシチュー。お料理の色や形はさまざまなのに、使うお皿がいつも一緒になってしまう、ということはありませんか?
一目惚れして買ったキレイ色のお皿も、何を盛ってよいかわからず、食器棚を彩るだけなっていたり……。
野菜や果物、せっかくキレイ色の食材が揃う季節ですから、器も彩り豊かに食卓に並べてみませんか?
そこで今回は、スタイリストの城素穂さんに、色をテーマに「お皿とお料理の相性」について教えてもらいました。
1. 素材の色とお皿の色を合わせて楽しむ
真っ赤なトマト、みずみずしい果物、フレッシュなグリーンの野菜。
旬の食材を生かした料理は、カラフルに仕上がります。
その魅力を引き立てるには「お皿もキレイ色で」と城さん。
「私自身、普段もキレイな色のお皿が好きでよく使います。
たとえば、トマトのマリネを薄いピンクの器に、緑鮮やかな野菜の料理を淡いグリーンの小鉢になど、お皿と同系色のお料理を合わせると、調和してキレイです」
今日はテーブルに白いテーブルクロスも敷いて、お皿と料理の美しい色彩をぐっと引き立てました。
「キレイな色の器に盛るお料理は、あまり手を加えすぎず、食材のそのものの色が生きているものがいいですね」
2. 濃暗色の皿が茶色いおかずをおいしく見せる
でも、おかずといえば旬のカラフルな料理ばかりではありません。
日本の食卓の定番といえば……そう、茶色いおかず!
キンピラや唐揚げ、肉じゃがなどの定番おかずは、白いごはんにもぴったりで、みんなも大好き。
でも、食卓はどんより地味になってしまいます。
そんな茶色いおかずを、城さんは黒や紺の器に盛るのだと言います。
「茶色いおかずを白いお皿に盛ると、料理がいっそう地味に見えてしまうのですが、濃い色のお皿だと、料理の茶色が一転、おいしそうに見えるんです」
なるほど、おかずの茶色よりも濃い紺や黒の器に盛ることで、料理の色がぐっと明るく鮮やかに感じられて、おいしそう。
「しかも、濃い色の器は高級感も感じさせるので、食卓の印象が、ぐっと上がると思いますよ」
3. 白いスープ皿でシンプル料理を引き立てる
キレイ色のお皿、シックな濃い色のお皿とご紹介しましたが、もうひとつ、城さんがオススメする器は、白いスープ皿です。
「白いお皿って、没個性になってしまいがちで苦手なのですが、スープ皿は、使い勝手が良いのでおすすめです。
ポイントは少し深さがあって、リムがあること。
スープやポトフなどの汁物はもちろん、パスタや豆とソーセージの煮込みなど、どんなお料理でも合います」
シンプルな白いスープ皿の使い勝手の秘密は、その深さゆえにお料理をキレイに盛れること。
食べる時も、パスタなどが広がったり散らかったりすることなく、キレイにおいしく、食べることができるわけですね。
器選びは料理を引き立てて、おいしく食べてもらうためのいわば、料理の最後の仕上げです。
さて、今晩のおかず、どんなお皿に盛りましょう。
「あまり難しく考えず、まずは朝と晩で使うお皿を変えてみるということからやってみるのもいいと思います」
と、城さん。最後に、城さん自身がテーブルをスタイリングするときにどんなことを考えているのか、教えてもらいました。
「そのテーブルのあるシーンを想像するんです。
どんな人が食べるかなとか、どんな食事の雰囲気になるかなとか。
旅先で見たテーブルを思い出してイメージすることもあります」
そんなふうに自由に楽しく料理と器の組み合わせを考えていくことが、おいしそうでステキな食卓になるのかもしれません。
※この記事は2018年5月に掲載されたものを編集して再掲しております。プロフィールは初掲載当時のものです。