箸やすめコラム
Spring has come!
日に日に暖かくなってくる4月は、、日々の生活でもフレッシュな気分を味わいたくなるものです。
それは食卓もしかり。そこで今回は、毎年皆さんの食卓に小さな彩りを添える「あいあい皿」のこだわりを紐解きます。
語ってくれたのは長年あいあい皿に携わる京都の老舗陶磁器会社「たち吉」の市川美智枝さん。
つくり手が「あいあい皿」に込めた想いについて、じっくり語ってもらいました。
「あいあい皿」が生まれたのは2015年でした。
それまでにもたち吉ではさまざまなキャンペーン商品を製作してきましたが、一からブランドオリジナルのペア皿をつくるのは初めての試みでした。
企画をする上でまず念頭に置いたのは、金麦が大切にしてきた「日本らしい上質さ」「飽きない」「いろいろな食事にあう」ということ。
そして、具体的な形に落とし込む中で、金麦ブランドの象徴であり、古くから日本の伝統色として親しまれている「藍色」をベースにすることが決まりました。
ただ、ひと口に藍色といっても、日本には藍色をはじめとする青系の伝統色が60、70色以上あるんです。我々が器づくりに用いる技法〈染付/そめつけ〉も、青の濃淡でみせる表現のひとつ。
もともと染付は日本伝統の染め布〈藍染〉の色合いに似ていることから、そう呼ばれるようになったといわれています。
そこにヒントを得て、瑠璃色、紺青、浅葱色……といったあらゆる青の表情を宿す、藍→あい(相)→ペアの器「あいあい皿」が生まれました。
スタートから6年。今では金麦といえば「あいあい皿」といわれるほど、イメージしてくださるお客さまが増えていることを、心から誇りに思っています。
一方で、毎年続いているキャンペーンだからこそ、初めてのお客さまにはもちろん、2回目、3回目の方々にも常に新鮮さやワクワクを感じていただけるものづくりが欠かせません。
そのため、私たちが日々大事にしているのは、産地との情報交換や市場リサーチです。
提携産地からの新しい情報、また器を販売している様々なショップにもこまめに足を運び、そこに並ぶ器の色・形状・質感・サイズなどを見ることで、その時々のトレンドを収集します。
そうした情報収集をもとに毎年100種類近くのサンプルをつくり、サントリーさんと試作を重ね、お客さまにお届けする器をつくり上げていきます。
女性の手にフィットする器とは。
男性が料理をしたくなるようなデザインとは―。
お客さまの視点に立ち、ライフスタイルをイメージしながら、
「どんな料理にもあう汎用性と収納しやすさ(重ねやすさ)を考慮したつくり」
「手持ちの食器と組み合わせて使ってもアクセントになるトレンド感」
「料理を引き立てる主張しすぎないデザイン」を、
毎年の「あいあい皿」に反映しています。
製作過程で思うように発色しなかったり、器の景色(表情)を引き出すための細かな模様や細工に何日も試行錯誤したりと、一つの器が完成するまでの道のりはとても長いものです。
でも、SNSなどで皆さんが「あいあい皿」をいろんな使い方で楽しんでくださっているのを見ると本当にうれしくて、スタッフ皆、「次はどんな器をつくろうか」と意欲が掻き立てられます。
そして、今年も新作の「あいあい皿」をお披露目する時期になりました。
今回は選べる楽しさをさらにバージョンアップして、全8種類を展開します。
なかでも注目を集めそうなのが、これまでにない二つのニューデザイン。
一つは、金麦〈ゴールド・ラガー〉をイメージした初の“赤い器”です。
普段の食卓にすっと馴染み、それでいてワンポイントとして映える器に仕上げました。
もう一つは、手のひらにすっぽりと収まるかわいらしい“4枚組の豆皿”です。それぞれ形と色が異なります。
豆皿は2019年にも展開していたのですが、お客さまから「もっとバリエーションがあったらうれしい」というお声をいただき、今回つくることにしました。
4枚セットでもらえるってなかなかいいですよね。個人的にも今年のイチオシです。
ほかにも、昨年人気だった布目(ぬのめ)柄や、縞のそぎを施したもの、定番の深い藍色のお皿まで、例年以上に選べる楽しさ・ワクワクを感じていただけるラインナップが揃ったと自信を持っています。
私たちはいつもお手元に届いたときのお客さまの笑顔を想像しながら、感謝をこめて製作に取り組んでいます。
物質的なことやお金をかけることだけでは感じることのできない「日々の食卓にゆっくりと流れる大切な時間」を、金麦と一緒に刻んでいただけたら何よりです。
ぜひ、今年も楽しみに待っていてください!(市川さん談)