ウオツカ、ジン、ラム、テキーラ(Vodka Gin Rum Tequila)をベースにしたカクテルをいくつかご紹介する。すべてバーでよく飲まれている人気の高いスタンダードカクテルばかり。スピリッツと呼ばれるこれらの酒は、レモンやライムをはじめとしたジュースとミックスされることが多い。
ここに紹介した以外にも、魅力的な味わいのものがたくさんある。
*カクテルはアルファベット順
Black Russian ブラック・ルシアン/ロング(ロック・タイプ)、ビルド
ウオツカにコーヒーリキュール「カルーア」をミックスした色調から"黒いロシア"と名付けられた。
アルコール度数は高めながら甘いコーヒー風味の口当りがよく、飲みやすい。これに生クリームを浮かべるとホワイト・ルシアンになる。
Bloody Mary ブラッディ・メアリー/ロング、ビルド
カクテル名は16世紀半ば、カトリック復興のためにプロテスタントを迫害し、"血塗られたメアリー"と呼ばれた英国女王メアリーⅠ世との説が有力。ウオツカとトマトジュースのシンプルなレシピだが、レモンを絞ったり、塩やコショウで自分好みの味に調整するとよい。
Moscow Mule モスコー・ミュール/ロング、ビルド
"モスクワのラバ"という名だが、生まれたのはハリウッドのレストラン。ミュールにはキックの強い酒の意味もある。とはいえそんなに強いカクテルではない。ウオツカにライムジュースとジンジャーエールを加えた、爽やかな甘さで人気が高い。
Salty Dog ソルティ・ドッグ/ロング(ロック・タイプ)、ビルド
"しょっぱい奴"という英国で船の甲板員を指すスラング。グラスの縁を塩でスノースタイルにし、氷を入れ、ウオツカとグレープフルーツジュースを注ぐ。塩味と酸味が効いたさっぱりとした味わい。
Screwdriver スクリュードライバー/ロング、ビルド
"ネジまわし"というカクテル。イランの油田で働いていたアメリカ人技師がウオツカとオレンジジュースをネジまわしでステアしたことに由来すると言われている。やさしい口当り。
Gimlet ギムレット/ショート、シェーク
19世紀末、英国海軍の軍医、ギムレット卿が将校の身体を気遣い、ジンにライムジュースをミックスして飲むことをすすめた。そのジン&ライムが本国でシェークしてフォーマルな形となり、ギムレットと呼ばれるようになった、という説が知られている。シュガーを少し加えるのが一般的だが、切れ味のよさが魅力。
Gin Rickey ジン・リッキー/ロング、ビルド
ジン、ライム、ソーダ水。すっきりとした酸味が特長。グラスに入れたライムをつぶして、好みの酸味に調整して楽しむカクテル。
Gin & Tonic ジン・トニック/ロング、ビルド
ジンとトニックウオーターのシンプルなミックス。爽やかな味わいで、バーでは挨拶代わりの“とりあえずの一杯”として定番中の定番。18世紀にイギリス・東インド会社のインド駐在員のマラリア対策として飲まれはじめたといわれている。
Martini マティーニ/ショート、ステア
"カクテルの王様"でタフな辛口カクテル。ジンとドライ・ベルモット(白ワインにハーブ類を浸漬)の比率は飲み手の好み。3対1、4対1が一般的だが、ジンのストレートに近いほどのエクストラ・ドライ・ファンもいる。オリーブを添えるのが特長で、どのタイミングでオリーブを口にするか、永遠の論議がつづく。
White Lady ホワイト・レディ/ショート、シェーク
白い貴婦人。ジンにオレンジリキュールのホワイト・キュラソー、レモンジュースの白いカクテル。
柑橘系の風味が特長的ですっきりとした口当り。男性にもファンが多い。
Cuba Libre キューバ・リブレ/ロング、ビルド
1902年、スペイン植民地だったキューバ独立運動時の「ビバ!クーバ・リブレ!」(自由なキューバ万歳)の合言葉から名づけられた。ラム&コークにライムジュースを加える。甘口で飲みやすい。
Daiquiri ダイキリ/ショート、シェーク
ラムベースの代表的カクテル。19世紀末、キューバのダイキリ鉱山の技師たちが暑さしのぎにつくったとされているが、異説もある。ラムにライムジュースと少量のシュガーだけだが、甘酸のバランスがよく、さっぱりとした味わい。さらにマラスキーノ(チェリーリキュール)とクラッシュドアイスを加え、シャーベット状にしたフローズン・ダイキリも人気が高い。
Hot Buttered Rum ホット・バタード・ラム/ロング、ビルド
ラムとバター、角砂糖、お湯というレシピのホットドリンクで、寒い日、風邪気味のときに最適。好みでレモン、クローブ(丁字)を浮かべる。
Mojito モヒート/ロング、ビルド
「モジート」との表記は英語読み。スペイン語ではモヒートと発音する。ラム、ライムジュース、シュガーにミントの葉。ミントの葉はつぶす。モヒートはジュレップの仲間だが、ミントの葉をスマッシュ(smash/つぶす)したものにレモンやライムのジュースを加えた飲み物のこと。爽快な味わいで、近年とくに人気が高い。
Nevada ネバダ/ショート、シェーク
ラムとライムジュースの相性は最高だが、これらにグレープフルーツジュースと少量のシュガー、微量のアンゴスチュラ・ビターズ(ラムとリンドウの根の成分を配した苦みの強いリキュール)をミックスしてつくる。すっきりとした酸味とほのかな甘味のバランスがいい。
Brave Bull ブレイブ・ブル/ロング(ロック・タイプ)、ビルド
"勇敢な雄牛"。テキーラとコーヒーリキュールのミックスで、男性的な風味とともにアルコール度数は高め。じっくりと味わいたい。ウオツカベースのブラック・ルシアンのテキーラ版。
Margarita マルガリータ/ショート、シェーク
テキーラベースの代表格。1949年、アメリカのジャン・デュレッサー氏作。不幸にして亡くなった彼の恋人、ミス・マルガリータを偲んでつくられた。オレンジリキュールとライムジュースを加え、塩でスノースタイルにする。切ないような酸味の感覚にファンが多い。
Matador マタドール/ロング(ロック・タイプ)、シェーク
"闘牛士"。名は勇ましいが、風味はフルーティーで女性向き。イケメンでしなやかな動きで魅了する闘牛士のイメージなのかもしれない。パイナップルジュースの甘味、ライムジュースの酸味が溶け合って、口当りがとてもよい。
Mockingbird モッキンバード/ショート、シェーク
名はメキシコからアメリカ南部に生息する"ものまね鳥"。メキシコの酒テキーラにペパーミント(グリーン)とライムジュースの風味が爽やかにマッチして、しかもグリーンの色彩が鮮やか。女性におすすめ。
Tequila Sunrise テキーラ・サンライズ/ロング、ビルド
メキシコの日の出をイメージしたとされる。オレンジジュースとグレナデンシロップの織り成すオレンジと赤の色調が、朝焼けの空のグラデーションを想起させる。ミック・ジャガーが愛し、またメル・ギブソン主演の同名映画などでも知られている。