カクテルは大きくショート、ロングに分類される。そしてロングの中に、コールドとホットのふたつのタイプがある。
ショート | |
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ロング | コールド・タイプ |
ホット・タイプ |
シェークやステアをして、主にカクテルグラスに注いで出されるものが多い。カクテルグラスの中には氷が入っていないため、時間をかけないで、できるだけ冷たいうちに味わう。
タンブラーやロックグラス(オールド・ファッションドグラスともいう)に氷を入れた状態で味わうコールド・タイプと、お湯割をはじめとしたホット・タイプのカクテルがある。こちらはショート・カクテルと比べて、ゆっくりと味わうタイプだが、それでもコールドは氷が溶けないうちに、ホットは冷めないうちに味わったほうがおいしい。
ロング・カクテルは使用する材料やつくり方などによってコールド、ホットの広義の分類の他に、さまざまタイプがある。その主だったもの(用語)をいくつかここに紹介する。*五十音順
エッグノッグ Eggnog/酒、卵、砂糖、牛乳を入れてつくる。日本ではブランデーベースが一般的。
ホットとコールドがある。アメリカ南部のクリスマス・ドリンクで、子供も味わえるようノンアルコールでも飲まれる。いまは世界的ドリンクとして、季節を問わないカクテルになっている。
クーラー Cooler/スピリッツやワインに柑橘系のジュースを加え、炭酸飲料で割ったもの。モスコー・ミュール、ワイン・クーラーなどがある。
コリンズ Collins/スピリッツにレモンジュースと砂糖を加え、ソーダ水で満たす。処方はフィズ(後述)に似ているが、グラスが大きく、一杯の量が多い。呼び名はこのカクテルを生んだとされるイギリス人、ジョン・コリンズ氏に由来。
サワー Sour/サワーとは「酸っぱい」。スピリッツに酸味と甘味を加えてつくる。レモンジュースを使ったウイスキー・サワー、ブランデー・サワーが有名。アメリカではソーダ水を使わないが、他の国々ではソーダ水やシャンパンなどを使うこともある。
ジュレップ Julep/ミントの葉と砂糖を使用し、スピリッツやワインをベースに爽やかな香り立ちの甘味のあるカクテル。現在はバーボンウイスキーをベースにしたものが一般的で、アメリカのケンタッキーダービーの公式飲料として世界的に知られる。ジュレップの語源はペルシャ語のグルアーブ(gulab/グルはバラ、アーブは水)。昔、バラの花を蒸溜したこの化粧水、つまりローズウォーターがアラビア語圏に広まりジュラブ(julab)と呼ばれ、15世紀頃に英語に取り入れられる。さらに18世紀、新天地アメリカに渡ってジュレップと訛り、芳香性のある飲料を指し、やがてミントの葉を使ったシャープなカクテルに使われだしたといわれている。
スリング Sling/スピリッツにレモンジュース、好みで甘味を加え、水、ソーダ水または湯で割る。
シンガポール・スリングが有名。ドイツ語のシュリンゲン(schlingen/飲み込む)が転訛したとされる。
トデー Toddy/大きめのタンブラーかロックグラスに砂糖を入れ、少量の水または湯で溶かし、好みのスピリッツを注ぎ、水または湯で割ったドリンク。ホット・トデーの場合は、シナモン、クローブ、ナツメグなどのスパイスとともにレモンスライスを入れる。ウイスキー・トデーがよく知られている。トデーとは、昔、スコットランドはエジンバラの上流階級が、近郊にあるトッドの泉の水を加えてウイスキーを飲んでいたことに端を発していると言われている。
ハイボール Highball/最もポピュラーな飲み方。日本ではウイスキー&ソーダが有名だが、あらゆる酒がベースとなり、またソーダ水だけでなくジンジャーエール、トニックウォーター、コーラなど割るものも幅広い。
フィズ Fizz/主としてジンがベース。コリンズと同じような処方。フィズは、ソーダ水の炭酸ガスが立てる「シュッ!」という音からきた擬声語といわれる。リキュールベースのフィズが飲まれるのは日本だけで、海外では一般的ではない。
ホーセズ・ネック Horse's Neck/タンブラー(とくに背の高いグラス/トールグラス)に螺旋状にむいたレモンをかけ、好みのスピリッツとジンジャーエールで割る。ブランデーをベースにしたものが一般的。
ミスト Mist/ロックグラスにクラッシュドアイス(細かく砕いた氷)を入れてつくるドリンク。ミストとはグラスの表面がミスト(霧)状になった様子。ウイスキー・ミストがよく知られている。
フラッペ(Frappe)も同様だが、こちらはカクテルグラスかソーサー型シャンパングラスを使い、酒はリキュール、またストローを2本添える。
リッキー Rickey/スピリッツ、ライムまたはレモン、ソーダ水が基本。飲み手がマドラーでフルーツの果肉をつぶしながら味わえる。1883年、アメリカのワシントンD.C.にあったレストラン&バー『シューメーカー』で、常連客だったカーネル・ジョー・リッキー氏がライウイスキー・ベースで考案し、当初は彼の名にちなんで「ジョー・リッキー」と呼ばれた。
バーボンウイスキー、ブランデー、ラムなどいろいろなスピリッツで楽しめるが、ジンベースの「ジン・リッキー」が最も広く愛されている。