サントリー ワイン スクエア
シャトー ラグランジュの桜井楽生です。
3月に入り、ボルドーでは平均気温が10℃に近づいてきました。あと2週間もしないうちに、生育が早いメルロから萌芽が始まります。
去る2月13日、ワイン・パリ&ヴィネクスポ・パリに合わせて、ベルサイユ宮殿にてコマンドリー・デュ・ボンタン(ボンタン騎士団)主催の晩餐会が開催されました。毎年恒例のこのイベント、シャトー毎にテーブルが用意され、それぞれがビジネスパートナーやお客様を招待します。この日は約600人ものワイン業界関係者が世界各国から集まりました。
メイン料理の子羊に合わせて提供されたワインは、シャトー ラグランジュ2009とシャトー モンローズ2010。そして、その後チーズに合わせて出されたのはシャトー ラフィット2005。私たちのワインは錚々たる格上シャトーの横に並べられたわけですが、シャトー ラグランジュ2009は多くの招待客の方々に強い印象を与えました。ディナー後には「ラグランジュがこの日最高のワインだった!」「購入できる在庫は残っていないか?」という声を多方面からいただくことになりました。
シャトー ラグランジュ2009。プリムール発売時にはワインジャーナリストの評価が高くなかったワインです。しかし、私たちは「ラグランジュの素晴らしいテロワールを映し出し、最高のワインを生み出す」という信念をぶらさずつくったこのワインに、自信がありました。私たちがつくるワインは、常にテロワールが主役。偉大なサンジュリアン村のテロワールをきれいに映し出し、長期熟成で益々華開くのがラグランジュのスタイルだと思っています。その姿を、今回多くの業界関係者に体感いただけたのは大変嬉しい事でした。もし、皆さまが今後どこかでこのワインに出会う機会がありましたら、ぜひ試してみて下さい。力強さとエレガンスを兼ね備えた「サンジュリアンの典型」とも言われるラグランジュのスタイルを、存分に感じていただけると思います。
さて、セラーではアッサンブラージュが終わり、2023年の赤ワインは「シャトー ラグランジュ」、「レ フィエフ ド ラグランジュ」となって、樽熟成が続いています。
昨年は、一言でいえば「つくり手の技量が試された年」でした。6月の高温多湿によって、病害リスクが高まりました。また、房がしっかりと付いた多産の年でした。気温は常に高めで推移し、雨も適度に降りました。このような複雑な年は、防除(薬剤散布)、除葉、グリーンハーベスト、そして収穫・・・各作業の微調整や判断の積み重ねが最終品質に大きく影響します。我々技術者としては腕の見せどころです。
ぶどう栽培は、毎年毎年、同じ作業を繰り返しているように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。日々自然と向き合い、不確実な天候を予測し、分析ではわからないことや目に見えないものを感じ、作業に反映させるのです。ラグランジュは400年近い歴史がありますが、それでも、毎年のぶどう栽培は新たな挑戦です。昨年は、これまで蓄積してきた経験と技能を、現場作業に良い形で反映させることができたと手ごたえを感じています。品質及び収穫量において、満足いく結果が得られました。
シャトーラグランジュ2023のブレンドは、カベルネ84%、メルロ16%。カベルネ・ソーヴィニョンが80%を超えたのは3年連続。サントリーの経営権継承後に植えた大量のカベルネが樹齢40年近くにまでなったお陰で、私たちは素晴らしいテロワールの力を以前にも増して引き出せるようになりました。
シャトー ラグランジュのインスタグラム、フェイスブックページでは、日々情報発信をしていますので、ぜひご覧ください。
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桜井楽生(さくらいらくさ)
登美の丘ワイナリー醸造責任者(2009~2012)、ボルドー大学研究員(2012~2015)、ワイン生産研究本部課長を経て、2020年よりシャトー ラグランジュ駐在。2022年より副社長。ワイン醸造技術管理士(エノログ)
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