サントリー ワイン スクエア
1989年愛知県生まれ。同志社大学在学中、留学先のニュージーランドでワインに魅了され、2014年にソムリエ資格を取得。2017年「第8回全日本最優秀ソムリエコンクール」優勝。2018年「第4回A.S.I.アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール」優勝。2023年「第17回 A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール」5位。2019年よりサントリーワイン・ブランドアンバサダー。京阪グループのフラッグシップホテルTHE THOUSAND KYOTOのシェフソムリエを務める。いま日本で最も注目されるソムリエの一人。
2023.12.01記事: 岩田渉(アンバサダー)
皆様、こんにちは!サントリーワイン・ブランドアンバサダーのソムリエ 岩田です。
今回は先日のWataru Report#27でも取り上げさせていただいた、本年度の日本ワインコンクールで素晴らしい成績を納めた「サントリーフロムファーム 津軽 シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング」をご紹介いたします。
「10年かけて日本最高峰の瓶内二次発酵スパークリングワインをつくりたい」
そんな思いを胸に、始まったこのスパークリングワインプロジェクト。
それが少しずつ形になっていき、本年度の日本ワインコンクールでのスパークリングワイン最高部門賞を獲得した結果に繋がったのだと思います。
日本ワインの世界では青森の津軽というと、山梨や長野に比べると「新しい産地」というイメージが強いかと思いますが、実は1875年からワインの試験醸造が津軽で始まったとされております。1886年には全国6位の欧州系ぶどうの栽培量がありましたが、フィロキセラによって壊滅的なダメージを受けて以降、現在の津軽のイメージと密接につながるりんご栽培へと転作していきました。
サントリーの取り組みとしては1980年代後半から、このスパークリングワインのぶどうが育てられる弘前市においてシャルドネやピノ・ノワールの契約栽培を開始し、地元の栽培農家の皆様と手を取り合いながら、品質の高いぶどうを栽培し続けております。
ピノ・ノワール
シャルドネ
津軽地方の魅力と言えば、その気候です。
本州の最北端に位置する青森県の津軽地方はまさにその緯度の高さのメリットを存分に活かすことができます。緯度が高いことによって、収穫前に当たる夏は日照時間が長くなり、十分なぶどうの生育期間が得られるとともに、収穫期となる9月以降は一気に冷涼な気候となるなど、スパークリングワイン用のぶどうを栽培する環境としてはとても良く、さらには「津軽富士」とも呼ばれる岩木山の麓に広がる畑は火山灰土壌が堆積した土地となっており、水はけも良好です。
これらの恵まれたテロワールがあることによって、品質の高いスパークリングワイン用のベースワインを作ることができるのです。
そしてスパークリングワインの品質を最大限引き出すため、収穫時期や醸造にも多くの工夫を用いることで、津軽らしいテロワール、そして瓶内二次発酵スパークリングワインらしい、上質さ、そしてエレガンスを兼ね揃えるワインとなるのです。
フレッシュで甘やかなりんごのアロマが印象的で、爽やかで凛とした酸がとても心地よいスパークリングワイン。それらはまさに津軽らしい土地を彷彿とさせるような、テロワールが詰まった味わいであり、そこへ緻密できめの細かい泡が溶け込み、上質な食感を与えるとともに、ブリオッシュやビスケットのような香ばしい複雑なフレーバーが多層的な味わいをも作っていく・・・
津軽のぶどうを使い、日本一のスパークリングワインを目指している、その意気込みやパッションが詰まったワインであり、津軽だからこそ、この味わいを表現できるのだと思います。
2020年には弘前市とJAつがる弘前、そしてサントリーで3者協定を締結し、さらなる高品質な津軽産ぶどう、そしてワインの拡大へと進んでいます。
日本一という称号は、いつか通過点となり、このまま世界へと羽ばたくスパークリングワイン産地となるような、ポテンシャルを秘めた地が津軽であり、それを証明し続ける「サントリーフロムファーム 津軽 シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング」。
今回は日本ワインコンクールで金賞を受賞した2020年だけでなく、同時に発売された1年熟成の長い2019年ヴィンテージのシャルドネ&ピノ・ノワール スパークリングと、ピノ・ノワール スパークリング ロゼ(共にワイナリーショップ及び公式オンラインストア限定販売)もテイスティングしました。
是非皆様もこの機会に手に取って一度味わってみてください!!
サントリーワイン・ブランドアンバサダー 岩田渉
SUNTORY FROM FARM 津軽シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング 2020 グリーンエティケット
淡いグリーンがかったレモンイエローの色調に、無数のきめの細かい泡が持続的に上がっていく。
香りの第一印象は、瓶内二次発酵で作られたスパークリングワインらしい、フレッシュさと複雑さを感じさせてくれる。
津軽らしいりんごの香りに包まれるアロマが主体であり、赤りんごや青りんごの熟した香りから、爽やかさを際立てる、グレープフルーツなどの、柑橘系のゼストのニュアンス。そして24ヶ月の熟成期間がもたらす、香ばしく焼いたビスケットからワイルドイーストの香りなどもスワリングとともに出てくる。白いお花やコリアンダーシードのようなスパイスのアクセントも感じられるなど、さまざまな香りのニュアンスに富むアロマ。
口にワインを含むとともに、軽やかで爽快感のあるドライなアタックを感じ、口中を心地よくリフレッシュさせてくれる。
おすすめ料理:ホタテのカルパッチョ、キスの天ぷら
SUNTORY FROM FARM 津軽シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング 2019
このワインもグリーンエティケットに似たようにグリーンがかった軽やかな黄金色を纏う外観をもつ。
香りの第一印象はより複雑で、ボリューム感を感じさせる奥行きある多層的なアロマが主体。
赤りんごや黄色いりんご、ほんのりとアップルパイに近いようなフルーツの豊かなアロマとともに、グレープフルーツの皮のような爽やかでやや苦味を思わせるようなシトラス系フルーツのアクセント。より香ばしいビスケットやジンジャーブレッドのタッチとともに、白いお花の華やかなフレグランスも加わる。よりニュアンスに溢れるような複雑なアロマ。
津軽らしい爽やかで凛とした酸の印象がありながら、シャンパーニュのような威厳のあるような緊張感のある味わいと違い、日本ワインらしい親しみ溢れるニュアンスも持つ味わい。豊かな果実味とともに、そこに溶け込む泡が調和し、とてもスムースな食感を与える、余韻も長い本格的なスパークリングワイン。
料理:ローストチキン、焼きタラバガニ
SUNTORY FROM FARM 津軽ピノ・ノワールスパークリング ロゼ2019
ピノ・ノワールを100%使ったロゼのスパークリングワイン。瓶内二次発酵も36ヶ月と長く、非常に複雑なワインである。
外観は淡いサーモンピンク。きめの細かい持続性のある泡がゴージャスな雰囲気を作り上げる。
甘美な赤いフルーツのアロマのラズベリーやチェリー、そこにピンクグレープフルーツや赤い蜜りんごのアロマも加わり、よりワインの香りの豊かさが引き立つ。カリッと焼き上げた食パン、ブリオッシュ、アップルタルト、それらの充実したトーストの香りと、ピンクペッパーやコリアンダーシードのようなスパイスも。
充実感、満足感溢れる味わいがワインを口中に含むと口一杯に広がるとともに、それら豊かなボディを下支えする津軽らしい伸びやかで爽やかな酸が上品に溶け込み、心地よい調和を生み出す。
ムースのような細かい泡、そしてピノ・ノワール由来の軽やかな苦味がアクセントとなり、味わいにさらなる深みを与える。スパークリングワインらしい気品、そしてロゼワインらしい骨格を持ち合わせる、飲みごたえのあるスパークリングワイン。
料理:オマール海老のラビオリ、鶏の水炊き