サントリー ワイン スクエア

岩田 渉(いわた わたる)プロフィール

1989年愛知県生まれ。同志社大学在学中、留学先のニュージーランドでワインに魅了され、2014年にソムリエ資格を取得。2017年「第8回全日本最優秀ソムリエコンクール」優勝。2018年「第4回A.S.I.アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール」優勝。2023年「第17回 A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール」5位。2019年よりサントリーワイン・ブランドアンバサダー。京阪グループのフラッグシップホテルTHE THOUSAND KYOTOのシェフソムリエを務める。いま日本で最も注目されるソムリエの一人。

サントリーフロムファームの魅力とは

2023.04.20記事: 岩田渉(アンバサダー)

皆さま、こんにちは!サントリーワイン・ブランドアンバサダーのソムリエ 岩田です。

約2年ぶりの寄稿となりました、このWataru Report。皆さまはいかがお過ごしでしたでしょうか?この期間の間、サントリー日本ワインのポートフォリオもガラッと変わり、より日本ワインの魅力を楽しんでいただけるようになりました。

「FROM FARM」、本当に素敵な言葉だなと思います。ぶどうが育てられる環境は実に多様です。ぶどう畑の気候だけでなく、そこの水、土、そして人が加わることによって唯一無二の個性が表現されるワインがうまれます。「FROM FARM」は畑からぶどうづくりと向き合うサントリーの産地が見える、そしてつくり手が見えるワインたちです。
そんな日本の自然の魅力と関わる人の愛情が詰まった新しいサントリーの日本ワインたち。厳選されたぶどうからつくられる「シンボルシリーズ」から、登美の丘ワイナリー、そして塩尻ワイナリーのこだわりを楽しむことができる「ワイナリーシリーズ」。そして日本の多様な気候や環境の個性を瓶に詰め込んだ「テロワールシリーズ」。これだけでも、日本ワインが今、いかにダイバーシティに溢れているかを1つのつくり手だけでも楽しむことができます。

その中でも今回おすすめしたいのは「品種シリーズ」です。日本固有の品種である「甲州」そして「マスカット・ベーリーA」にフォーカスしたこれらのワイン。日本で生まれ育った品種だからこそ、我々日本の食卓寄り添う、そういったとても親しみやすいワインです。
ワインはもちろんそのまま飲んでも楽しむことができる飲み物ですが、その魅力を存分に味わうにはやっぱり食事が必要です。

「サントリーフロムファーム 甲州 日本の白」と貝類のお寿司とのマリアージュ

品種シリーズの甲州は様々なシーンで活躍するワインです。お出汁を基調としたお料理、例えばお椀やお浸しのようなものから、ワインの生き生きとした酸の味わいが活きる、カラッと揚げた甲殻類の天ぷらや、今の時期であればアスパラのフライなどまで、幅広いお料理に合わせて楽しむことができます。そんな中、個人的におすすめなのがお寿司。春は貝類が美味しい季節です。ツブ貝やホッキ貝、そしてホタテも今の季節であれば天然物を楽しむことができます。その独特な貝の凝縮した旨味を引き立てる甲州の味わいはこの季節ならではのペアリングです。またはケンサキイカの握りも甲州とおすすめです。甲州がもつ品種由来のほのかな苦味とイカの甘みがコントラストになるように、口中でその味わいが広がっていきます。甲州と合わせるのであれば、ぜひ塩で合わせて愉しんでいただきたいです!

「サントリーフロムファーム マスカット・ベーリーA 日本の赤」とタレ味の焼き鳥とのマリアージュ

一方、マスカット・ベーリーAは醤油と抜群の相性を誇ります。この品種には「フラネオール」という香りがあり、実はこの香り成分は醤油にも含まれているのです。我々日本人の食卓でおそらくもっとも料理に使われている調味料のひとつがこの醤油であり、その観点から見ると、マスカット・ベーリーAが最も我々の食卓に寄り添うぶどう品種なのです。この「品種シリーズ」はお手頃な価格で、親しむことができるのもその魅力の1つです。お料理も肩肘張って作ったような料理でなくても十分に楽しめます。ちょっと仕事で疲れたような日に、お惣菜屋さんで買ったタレ味の焼き鳥の盛り合わせと「サントリーフロムファーム マスカット・ベーリーA 日本の赤」を合わせてみてください。その疲れを癒してくれるような、ほっこりとしたペアリングを自宅でも簡単に楽しむことができるのです。

レストランで楽しむワインもとても良いと思いますが、自宅でも美味しく楽しむことができるのがこの品種シリーズの良さであり、ワインとは本来こういう飲み物だよなー、と私がワインの楽しみ方を知った当時の思い出を呼び起こしてくれます。
その他のシリーズも日本の美しい自然と関わる人たちの愛情が詰まったワインばかりです。それらはまた別の機会に紹介していきたいと思います。新しくなったサントリーの日本ワイン。是非この機会にお楽しみください!

ソムリエ 岩田渉

甲州のぶどう

<テイスティングコメント>
「サントリーフロムファーム 甲州 日本の白 2020」
穏やかでまさに「甲州」らしい香り。和柑橘を思わせるアロマから、和梨のような爽やかなアロマとともに、ほんのりと枇杷や熟した柿のニュアンス。丁子のようなスパイスやピーナッツシェル、そしてほのかなスイカズラのトーンが、よりアロマティックな個性を引き立てる。
口中に入れた瞬間に心地よく刺激するフレッシュな味わいが印象的で、酸が穏やかな甲州としてはかなり爽やかでみずみずしい。凛とした味わいとともに、フルーツの程よい充実感と奥行きを与えるほろ苦さが絶妙に調和する。

収穫間近のマスカット・ベーリーAのぶどう

「サントリーフロムファーム マスカット・ベーリーA 日本の赤 2020」
フレッシュでチャーミング、非常に明るいイメージを第一印象で感じさせる。
皮がぴんと張り詰めているような新鮮な赤いフルーツのニュアンスが主体。ラズベリーやクランベリー、野いちごのようなアロマに、ほんのりとブラッドオレンジの果皮やキニーネのようなスパイスが調和する。
香りの印象そのままにジューシーで活力感のあるみずみずしいファーストアタック。伸びやかで持続性のある酸、サラサラとしたタンニンがとてもフレンドリーな味わいを生む。