サントリー ワイン スクエア
1989年愛知県生まれ。同志社大学在学中、留学先のニュージーランドでワインに魅了され、2014年にソムリエ資格を取得。2017年「第8回全日本最優秀ソムリエコンクール」優勝。2018年「第4回A.S.I.アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール」優勝。2019年よりサントリーワイン・ブランドアンバサダー。京阪グループのフラッグシップホテルTHE THOUSAND KYOTOのシェフソムリエを務める。いま日本で最も注目されるソムリエの一人。
2021.05.24記事: 岩田渉(アンバサダー)
皆様、こんにちは!サントリーワイン・ブランドアンバサダーのソムリエ岩田です。
今回ご紹介させていただくつくり手はボルドーを本拠地とするフランス最大のワイン会社「カステル社」です。その中でも今回注目するのが、「伝統×トレンド」によって生まれる新時代のフランスワイン、「メゾンカステル AOCシリーズ」です。
カステル社の強みはなんと言っても、創業の1949年以来、長く信頼を置くフランス各エリアの契約農家から、最もその土地の個性を表現する、ザ・センス・オブ・プレイス(The Sense of Place)が詰まったぶどうを厳選すると同時に、それらのエリアを代表する伝統的なワインメイキングを駆使してつくりあげるカステル社にしかできないノウハウを集結したワインです。
そして、それに加えて、現代の嗜好のトレンドに合わせた、つまりはぶどう本来のフルーツのピュアな味わいに加え、優しい飲み口も特徴で、食事にも合わせやすいようなフードフレンドリーなワインばかりです。
紹介するワインはこちら。
・ミュスカデ セーヴル エ メーヌ
・ロゼ ダンジュ
・コート デュ ローヌ
・メドック
ロワール地方から白とロゼワイン。ローヌ地方とボルドー地方より2種類の赤ワインです。今回はそれらの産地の伝統的なフランス料理もご一緒に紹介させていただきます。まだまだ海外旅行が以前のようにいけない世の中ではありますので、このレポートを通じて少しでもフランスを旅行したような気分になっていただければ幸いです!
まずはフランスを代表する、ミュスカデ セーヴル エ メーヌです。
フランスにおけるシーフードワインと言えばこの白ワインです。
ミュスカデらしいフレッシュで清らかな酸と柑橘系のアロマに、シュール・リーという澱とワインを一緒に寝かせる伝統的な手法をとることで、トーストしたようなほんのりと香ばしいフレーバーに旨味成分が液体に中に溶け込んできます。地元では昔から牡蠣と一緒に食べたり、これからの季節であれば、その繊細な風味や食感が特別なスズキを使った伝統的な料理の「スズキと魚介類を合わせたマリニエール」です。
「メゾン カステル ミュスカデ セーヴル エ メーヌ」と「スズキと魚介類を合わせたマリニエール」
ロワール地方より少し北にいったブリターニュ地方の伝統的なソースの「マリニエール」。漁師風という名前のソースで、白ワイン、魚のだし汁、エシャロットを加えて煮込み、バターを加えた魚の旨味をしっかりと引き立ててくれるソースです。シュール・リーをしたミュスカデの心地よい酸味と旨味が、スズキの繊細な風味を引き立てながら、貝の凝縮した旨味を最大限に引き立ててくれる、この夏一押しのペアリングです。
また、ロゼ ダンジュもこれからの暑い夏にはぴったりなワインです。「マセラシオン法」という、豊かなアロマを抽出する伝統的な製法を駆使し、フルーツの純粋な味わいが魅力的なフレッシュ感あふれるロゼワインです。
「メゾン カステル ロゼ ダンジュ」と「豚肉のリエット」
こちらにおすすめなのが地元トゥールの名産物である「豚肉のリエット」です。
リエットは豚肉を中心としたお肉を脂と一緒に柔らかく煮込んだものをペースト状にしたもので、バゲットなどに添えて食べられる、ワインのアテとしては最高の一品です。
チャーミングなラズベリーやクランベリーのフレーバーにほのかに香るピンクペッパーのようなスパイスがアクセントとなり、豚肉由来のジューシーな脂の旨味と調和します。食前のアペリティフにこのリエットと楽しむのもおすすめです。
そして赤ワインはフランスを代表する二つのエリアのコート デュ ローヌとボルドーからメドックです。
まずコート デュ ローヌのワインは、この地方を代表する二つの伝統的な品種、グルナッシュとシラーをブレンドしてつくられます。暖かい産地ならではの熟した赤黒いフルーツの芳醇なフレーバーと優しい滑らかなタンニンがとても心地よいワインです。香りのアクセントに地中海特有のガリッグのようなハーブや甘草のようなスパイスのアクセントがなんとも印象的なワインです。
「メゾン カステル コート デュ ローヌ」と「ナヴァラン・ダニョー」
このワインには、私も個人的に大好きな「ナヴァラン・ダニョー」をお勧めします。こちらは仔羊のトマト煮込み。本来はだし汁を使わずに水だけで煮込むことで、より仔羊由来の風味がしっかりと感じられます。このワインが持つ繊細なドライハーブやスパイスのアクセントが仔羊の風味、旨味と絶妙なハーモニーを奏でてくれます。まさに伝統を感じるペアリングです。
そして最後はボルドー地方よりメドックです。フルボディでボルドーらしい骨格のしっかりとした味わいで、飲みごたえも十分に楽しむことができる、充実感あるワインです。伝統的にフレンチオークで熟成させることで、味わいには更なる奥行きや深みが増し、まさにガストロノミックなワインです。タンニンはきめ細やかで艶やか、滑らかで優しい口当たりも同時に感じさせる、「トレンド」も十分に反映したワインです。
ボルドーワインはウナギといったお魚やお肉でも仔羊に牛肉、非常に幅広い食材とも楽しむことができるのが、魅力の1つでもあります。
「メゾン カステル メドック」と「鴨マグレ肉のポワレ」
今回はお肉でも「鴨肉」をおすすめします。というのも、非常に緻密なタンニンと酸味のバランスに優れたワインでもあるので、まさにボルドーらしい「気品」がワインからも感じられます。そこに上品な風味と肉質を持ち合わせる「鴨マグレ肉のポワレ」を合わせ、ボルドーワインを煮詰めたソースを添えれば、なおその風味は引き立つに違いありません。
今はステイホームが謳われている時代ではございますが、家にいるからこそ、普段は作らないようなお料理に、あえて自宅でチャレンジするのも良いかもしれません。特にメゾン カステルの今回のラインナップは食事と楽しむことでその良さがより引き立つワインばかりであります。今はいけない海外旅行に思いを馳せながら、是非ご自宅でゆっくりとメゾン カステルのワインをお楽しみください!