サントリー ワイン スクエア
1989年愛知県生まれ。同志社大学在学中、留学先のニュージーランドでワインに魅了され、2014年にソムリエ資格を取得。2017年「第8回全日本最優秀ソムリエコンクール」優勝。2018年「第4回A.S.I.アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール」優勝。2019年よりサントリーワイン・ブランドアンバサダー。京阪グループのフラッグシップホテルTHE THOUSAND KYOTOのシェフソムリエを務める。いま日本で最も注目されるソムリエの一人。
2020.12.01記事: 岩田渉(アンバサダー)
皆様、こんにちは!サントリーワイン・ブランドアンバサダーのソムリエ岩田です。
12月になり、2020年も残りあと僅か。
わたし自身は今年一年も様々な素敵なワインに出会い、その度にその地に想いを馳せて、どのような人がどういう産地でワインをつくっているのか?そんなことを頭に思い描きながら楽しくワインを飲むことができました。
そんな今回は、わたし岩田が今年出会った素敵なワインの紹介をさせて頂きます。その名も「ロバート ヴァイル ジュニア」です。
「ロバート ヴァイル」というつくり手はドイツだけでなく、世界的にも有名なラインガウを代表する偉大なつくり手の1人です。
辛口から甘口のワインまで、洗練された酸と充実したフルーツのボリューム、そして奥行きを与える独特なミネラル感が際立つリースリングは世界中の沢山の飲み手を魅了しています。
そのようなハイクオリティのワインをつくり続けていることから、王侯貴族(皇帝)からも寵愛を受けた歴史もあり、名実ともにトップに登り詰めると同時に、そのような評価の高さからドイツ国内だけでなく、世界の著名なワイナリーとも深い親交関係があります。
様々なヴィンテージに関わらず、毎年のように素晴らしいクオリティのワインをつくり上げるその一貫性の高さが、ソムリエや愛好家の我々にとっても絶大な信頼や安心感を与えてくれますね。
そんな高貴なつくり手であるロバート ヴァイルが手がけた、新たなチャレンジとして生み出されたワインが、今回紹介させて頂く「ロバート ヴァイル ジュニア」です。
「ジュニア」という名前が示すように、ワインとしては本家ロバート ヴァイルに比べてよりフレンドリーで親しみやすく、その心地よい飲みやすさがワインとしての大きな特徴です。
カジュアルなレンジのワインだからと言って、ワインメイキングに関しては一切の妥協はなく、ロバート ヴァイルと同様に、現当主である4代目のヴィルヘルム ヴァイルが直接監修し、その品質の高さをしっかりと保証しております。
またロバート ヴァイル ジュニアはラインガウの南に隣接するラインヘッセンというエリアのぶどうからワインがつくられています。
ドイツ最大のワイン産地であり、なだらかな丘がたくさん見られることから「千の丘陵地」とも呼ばれており、ドイツでも最も温暖なワイン産地の1つです。
そう言った自然の恩恵も受けているので、ラインガウに比べて多種多様なぶどう品種が植えられているのが、ラインヘッセンの特徴の1つでもあります。
ロバート ヴァイル ジュニアからもラインヘッセンが持つ品種の多様性を存分に楽しんでいただくことができます。
今回はその中から、「Weissburgunder=ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)」「Grauburgunder=グラウブルグンダー(ピノ・グリ)」「Spatburgunder=シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)」の3つの品種からつくられるワインを紹介させていただきます。
それぞれの品種の特徴が際立った、素敵なワインたち。
ぜひ今年の年末はロバート ヴァイル ジュニアで年を越すのはいかがでしょうか?
ロバート ヴァイル ジュニア ヴァイスブルグンダー 2018
透明感のあるグリーンがかったレモンイエロー。
香りは溌剌としていて爽快。
もぎたての青リンゴや洋梨を思わせるフレッシュなアロマに、レモンのコンフィや白いお花のような香りが調和する。生のアーモンドのニュアンスも。
軽やかなファーストアタックに、口の中が潤うような生き生きとしたクリスプな酸が真っ直ぐに流れていく、スマートにまとまった軽快な白ワイン。
おすすめのペアリングのお料理として、まずは地元でも愛されている伝統的な組み合わせの1つであるドイツのソーセージとザワークラウト。ペアリングの相性として最も安心するのがその土地の伝統料理と伝統食材、または料理を合わせるのが鉄板。ヴァイスブルグンダーの爽やかな酸味がソーセージのジューシーな肉の旨味を引き立て、ザワークラウトの心地よいフレッシュな味わいがそれを助長させる。ヴァイスブルストと言われる白いソーセージがおすすめ。
または、ベーコンやジャガイモ、チーズを合わせたキッシュも良い。
ロバート ヴァイル ジュニア グラウブルグンダー 2018
やや濃い目のレモンイエローの外観。
香りは芳醇で厚みを感じさせる、熟した白桃やアプリコットのようなアロマが支配的。
花の蜜のようなニュアンスや微かなハチミツのような甘いアロマやエキゾチックなスパイスのニュアンスも出てくる。
穏やかでふくよかなアタック。柔らかくしなやかな酸と完熟したアプリコットのようなフレーバーが一体となることで、丸みのあるようなボディを形成する。グラウブルグンダー特有の苦味がアクセントとなり、奥行きのある味わいを与える。
このグラウブルグンダーは滑らかなコクと柔和な食感を持ち合わせるので、合わせるお料理も似たような食感を持つものを。
ここでは、鶏肉とキノコを使ったクリーム煮などがおすすめ。クリームの質感とこのワインの舌触りが絶妙にマッチする。または、ほんのりとスパイスの印象やフルーツ由来の甘さが感じられるので、エスニック系のお料理とも◎。
キーマカレーなどのスパイシーなお料理のフレーバーとグラウブルグンダー由来の心地よい甘さが見事にマッチする。
ロバート ヴァイル ジュニア シュペートブルグンダー 2017
明るい淡目のルビーレッド。香りの第一印象は華やかでチャーミング。
フレッシュなラズベリーやクランベリー、イチゴのようなアロマが心地よく、ピュアで透明感を感じさせる。フレッシュなハーブやキノコ、土っぽいようなニュアンスも。
ジューシーで軽やかなファーストアタック。伸びやかで活力感のある酸が口中をリフレッシュする。キメの細かいタンニンがスムースなテクスチャーを与え、艶やかなボディを与える。余韻も長い、華やかでチャーミングな赤ワイン。
ここで一押しのペアリングが、お肉の中でも独特な風味を有する鴨肉。このジューシーなシュペートブルグンダーの心地よい酸とキメの細かいタンニンが鴨肉の食感とフレーバーとマッチすることで、その個性を最大限に引き立て、口中で絶妙なハーモニーを生む。我々日本の食卓にも馴染み深い、鴨ロースなどが特に良い。
または和牛のタタキを生姜醤油とともに食べるのもおすすめのペアリングの1つ。