バーボンウイスキー・エッセイ アメリカの歌が聴こえるバーボンウイスキー・エッセイ アメリカの歌が聴こえる

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ザ・ボーイズ・オブ・サマー

1915年、メジャーリーグベースボール(以下MLB)のワールドシリーズで、ボストン・レッドソックスのひとりの若手選手がベンチをあたためつづけた。一度だけ代打での出場機会が与えられたが、併殺打に終わってしまっている。

しかしながらレッドソックスはシリーズ優勝の栄冠に輝き、その若手選手にも勝利チームの分配金が支払われた。これは彼の年棒よりも高額であったために、大いに喜んだ。

シーズンオフとなり、故郷ボルチモアに帰る。子供の頃から『悪童』と名を馳せていた彼が、このときはじめての親孝行をする。酒場を経営する父親のために、新しいバーを建ててプレゼントしたのだった。それ以降、シーズンオフになるとしばらくは彼も父親と一緒にカウンターの中に立った。

客たちは驚いた。大柄な若いバーテンダーに声をかけると、なんとメジャーリーガー、ベーブ・ルースだったからだ。


本格的なベースボールシーズンに突入した。太陽が中天へ向けて日増しに高く上がるにつれて、プレーヤーも観客も気持ちが高ぶっていく。

アメリカのベースボールに関する古い名著のタイトルには“The Summer Game”“The Boys of Summer”“A Season in the Sun”といった夏のワードが並ぶ。ナイトゲームが当たり前のようにおこなわれようが、そのスピリッツはとてもよく理解できる。

灼けつくような日差しの下、ムッとくる草いきれの中で白球を追い、バットを振り回すことが、真のベースボールプレーヤーなのだ。やがて大人になり、さらに歳老いてスタンドからゲームを観戦するとき、彼らが白球の行方を追うときの眼差しはずっと少年のままであり、頭上には眩い夏の太陽がいつも輝いていなければいけない。

さあ、ベーブ・ルースの話をはじめよう。傍らにジムビームのボトル、グラスと氷、そして冷たいソーダを用意していただきたい。生涯夏の少年でありつづけた彼のウイスキーにまつわるエピソードを辿るには、清涼感あふれるバーボンソーダを供とするのがベストというもの。


アメリカのプロスポーツのひとつに過ぎなかったベースボールを国民的人気スポーツへと高めた偉大な功労者として、ベーブ・ルースは尊敬されつづけて

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