【目次】
■2023年振り返り
■2024年事業活動方針
(1)基幹ブランド活動
(2)自販機事業活動
(3)サステナビリティへの取り組み
■2023年振り返り
2023年の国内清涼飲料市場は、価格改定の影響を受けたものの、人流回復や記録的な猛暑などにより、販売数量でほぼ前年並みで着地したとみられます。
その中で、当社は対前年比102%と総市場を上回り、シェアを拡大することができました。基幹ブランドの「サントリー天然水」と「GREEN DA・KA・RA」が過去最高の年間販売数量となるなど国内販売数量全体においても過去最高実績を達成しました。
「サントリー天然水」は、引き続き水源にこだわった活動を展開することに加え、“未来の水をいま、森から育む”というメッセージと共に「ウォーター・ポジティブ※1」の大切さを啓発する活動を開始しました。その結果、ブランド計の販売数量は1億3千万ケースを超え、過去最高を記録した前年実績を更新し、国内トップの飲料ブランド※2としての地位を確立しています。
※1 サントリーグループでは、取水量以上の水を水系に育むことを「ウォーター・ポジティブ」と考えています
※2 年間販売数量において(当社推計)
「BOSS」は、“働く人の相棒”として「BOSS」ならではのマーケティング活動を展開し、クラフトボス、ショート缶が堅調に推移しました。
「クラフトボス」シリーズでは「甘くないイタリアーノ」や「ソイラテ」を発売し、コーヒーの可能性を拡げる提案を行ないました。ショート缶では、「ボスカフェイン」の発売や、コンテンツとのコラボレーション企画を展開し、新たな層のファンを獲得しました。
「サントリー緑茶 伊右衛門」は、『つくり込まれた、清々しき緑茶』をテーマに、味や香り、緑の水色にこだわり、積極的なマーケティング活動を行ないました。また、機能性表示食品の「伊右衛門 濃い味」は年間通して好調に推移し、大きく伸長しました。
「健康茶」は、「伊右衛門 特茶(特定保健用食品)」にて、有効性のエビデンスであるヒトによる長期飲用試験結果を示した新コミュニケーションをスタートしたことによりトレンドが改善したことに加え、機能性表示食品の「伊右衛門 濃い味」、「サントリー烏龍茶OTPP」も引き続き好調に推移した結果、2023年の健康茶カテゴリーの販売数量は2割増となりました。
「GREEN DA・KA・RA」は、「本体」、「やさしい麦茶」を中心とした積極的なマーケティング活動に加え、猛暑も追い風となり、特に「本体」が伸長したほか、新商品の「やさしいルイボス」が好調に推移しました。年間販売数量は5千万ケース超えを達成し、過去最高実績を更新しました。
【2023年販売数量実績】(単位:実箱、万ケース、%)
■2024年事業活動方針
2024年も原材料高騰が続く見通しで、清涼飲料業界を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続くと推測されますが、引き続き基幹ブランド中心に活動を展開し、お客様のニーズを捉え、その半歩先の提案を行うことで、お客様の生活に潤いを提供していきたいと考えています。また、飲料のラベルカスタマイズに着目した「TAG」サービスをはじめ、これまでの飲料ビジネスの領域にとらわれないイノベーティブな提案も積極的に挑戦していきます。
(1)基幹ブランド活動
これまでと同様に、「サントリー天然水」、「BOSS」、「伊右衛門」、「GREEN DA・KA・RA」などの基幹ブランドの強化と「伊右衛門 特茶」をはじめとした健康茶カテゴリーなどの高付加価値商品群による需要創造に取り組みます。中でもナショナルブランドの緑茶飲料の地位挽回に向けて、発売20周年を迎える「伊右衛門」ブランドに注力していきます。
・「サントリー天然水」
「サントリー天然水」は、水源にこだわった、冷たくて清らかな「清冽なおいしさ」という独自のブランド価値の訴求に加え、「水のサステナビリティ」に関する啓発活動を強化し、国内トップの飲料ブランドとして、さらなる価値向上を図っていきます。特に「サントリー天然水」の「本体」では、製品、工場、店頭活動、コミュニケーションなど、あらゆるお客様接点で、“未来の水をいま、森から育む”というメッセージと共に「ウォーター・ポジティブ」の大切さを啓発し、「サントリー天然水」のさらなるブランド価値向上を目指すとともに、より一層の安定供給体制の構築を図っていきます。また果汁入り飲料や炭酸飲料、無糖炭酸水など「サントリー天然水」ブランドの新たな価値を提案していきます。
・「BOSS」
「BOSS」は、これからも“働く人の相棒”として、あらゆる働き方や世代を超えてさらに愛されるブランドを目指し、新商品の開発および「BOSS」ならではのコミュニケーション、マーケティング活動を通して新たな価値を積極的に提案していきます。
「クラフトボス」は、今年もコーヒー、紅茶、フルーツオレなどの多様なラインアップのもと、さまざまな活動を実施します。なかでも中核となるコーヒー本体の活動強化と、コーヒーの新たな需要創造に向けた新商品提案により、「BOSS」ブランドのさらなる価値向上を目指します。ショート缶は、引き続きヘビーユーザーとの絆を強化する施策を展開し、一服の価値を広く提案していきます。また、「割るだけボスカフェ」は、“イエナカ(家庭内)”の定着における時短&豊かさニーズにお応えすべくマーケティング活動を展開します。
・「伊右衛門」
「サントリー緑茶 伊右衛門」は、今年発売20周年を迎えるブランドの節目に「本体」を大刷新し、圧倒的な進化を図るとともに、年間を通じて最注力ブランドとして、マーケティング活動を強化します。
また、新たな需要創造に向けた新商品提案やコミュニケーションなどを積極的に展開し、新しい価値創造へのチャレンジを続けていきます。
大変ご好評いただいている、機能性表示食品の「伊右衛門 濃い味」についても、引き続き育成していきます。
・「健康茶」
サントリーの健康茶は、人生100年時代を見据え、さまざまな健康課題に合った商品やサービスを展開することで、健康的な生活習慣をサポートしたいと考えています。
“脂肪を代謝する力を高め、体脂肪を減らすのを助ける”「伊右衛門 特茶(特定保健用食品)」では、引き続き有効性試験結果を活用したコミュニケーションを継続し、お客様に確かな納得感をお伝えしていきます。さらに、当社の豊富な健康茶ラインアップを活かした統合的な活動を展開していくことで、高付加価値商品としての健康生活提案を行っていきます。
・「GREEN DA・KA・RA」
「GREEN DA・KA・RA」の「本体」は、スポーツドリンクとしての機能感と、果実などの素材を使ったすっきり飲みやすい味わいの両立を強みに、独自の価値をより一層強化していきます。「やさしい麦茶」は、昨年ご好評いただいた発芽大麦を起点に、商品価値強化およびコミュニケーション活動に注力していきます。また「やさしいルイボス」は、ルイボスティーらしい豊かな香り立ちとすっきりとした飲みやすさを進化させ、無糖茶市場・ノンカフェイン市場の活性化に貢献していきます。
【2024年販売数量計画】(単位:実箱、万ケース、%)
(2)自販機事業活動
2023年の自販機市場は販売数量が前年割れと推測される中、当社はオペレーションのさらなる効率化、法人開発の強化、小売店としての魅力度向上に取り組み続けた結果、自販機チャネルにおける販売数量は前年を確保しました。オフィス向けに提案している「社長のおごり自販機」をはじめ、法人の経営課題解決に向けたさまざまなサービスを展開することで、大きな成果を獲得しています。
2024年は、4月よりサントリーフーズ(株)の自動販売機事業をサントリービバレッジソリューション(株)に統合し、当社グループの自動販売機に関する事業を一元化します。地域に密着した自動販売機サービス網を持つオペレーター様への営業機能と、飲料自動販売機だけでなく幅広いサービスを持つ直販営業の機能を連携させることで、これまで以上に質の高いサービスをお客様に提供できる体制を構築していきます。
(3)サステナビリティへの取り組み
サントリーグループは、容器包装の環境負荷低減の取り組みや水源涵養林として高い機能を持つ森を育てるサントリー「天然水の森」の活動など、さまざまな活動を続けています。
・ペットボトルのサステナブル素材比率
サントリーグループは、2012年に国内清涼飲料業界で初めてリサイクル素材100%のペットボトルを導入※3したことを皮切りに、従来よりもCO2排出量を低減する世界初の「FtoPダイレクトリサイクル技術」を開発※4するなど、長年にわたって技術革新を進め、積極的に「ボトルtoボトル」水平リサイクルを実用化・推進してきました。
昨年は、引き続き「ボトルtoボトル」水平リサイクルに注力したほか、「サントリー天然水」2Lのペットボトル全数に植物由来素材30%使用のペットボトルを導入するなどした結果、国内清涼飲料事業における全ペットボトル重量のうちサステナブル素材(リサイクル素材あるいは植物由来素材)比率は53%となりました。また、飲料業界として2030年に「ボトルtoボトル」水平リサイクル率50%を目標としている中、当社は昨年実績で2本に1本以上が100%リサイクルペットボトルとなり、業界を牽引することができています。
2024年も「ボトルtoボトル」水平リサイクルの推進、啓発活動などのコミュニケーションに注力し、前年以上にサステナブル素材を使用していくことを目指します。
※3 メカニカルリサイクルとして
※4 協栄産業(株)など4社で共同開発
・「サントリー 天然水の森」活動と「水育(みずいく)」
サントリーグループでは、水源涵養機能の向上と生物多様性の再生を目的とした活動である「サントリー 天然水の森」を2003年にスタートさせました。現在では、15都府県22ヵ所、約12,000ヘクタールにまで拡大し、国内工場で汲み上げる地下水量の2倍以上の水を涵養しています。活動を進めるに当たっては、多様な分野の専門家や地域の皆さまのご協力を得ながら、30-100年先のビジョンの実現に向け、流域の地下水を育む森づくりを続けています。また、天然水工場の水源涵養エリアに位置する「サントリー 天然水の森」や地元の小学校において次世代環境教育「水育」を展開する他、行政や地域の皆さまと協力して、流域における地下水位など水資源のモニタリングを継続的に取り組んでいます。これらの活動は、サントリー食品インターナショナル(株)が事業を展開する海外各国でも徐々に拡がっており、昨年はイギリス、ニュージーランドにて「水育」を開始しました。さらに今年からはスペインにて水源涵養活動を開始しました。今後も、それぞれの生産拠点の特性に合わせ、サントリーグループ一体となり、活動を推進していきます。
以上