【目次】
・2018年振り返り
・2019年事業方針
・注力ブランド活動内容
・2018年実績・2019年計画
・サントリーグループの環境活動
【2018年振り返り】
2018年の国内飲料総市場は、夏場に多発した災害や猛暑の影響で物流の混乱が一部発生したものの、7月の単月出荷量が過去最多を2年連続で更新するなど、年間では前年を上回る対前年102%と推定されます。
そうしたなか、当社の国内事業の販売数量はメガブランドの強化や新規需要の創造に取り組むことにより、市場を上回る対前年104%となりました。
なかでも、「サントリー天然水」は、水源にこだわった冷たくて清らかである“清冽(せいれつ)なおいしさ”という独自のブランド価値のさらなる向上を図り、本体が好調に推移しました。加えて「サントリー 南アルプススパークリング」シリーズも大きく伸張し、ブランド全体の販売数量は対前年930万ケース増(9%増)となり、国内清涼飲料市場で2018年年間販売数量がNo.1※1になりました。
※1:飲料総研調べ
「BOSS」は、“働く人の相棒”というブランドコンセプトのもと、ヘビーユーザーとの絆を深める「深化」と、新たなお客様を創造する「進化」をテーマに、年間を通して様々なマーケティング活動を行いました。
ショート缶では、仕事の合間の休憩時間に“一服する・気分転換する”飲用スタイルを志向するヘビーユーザーに向けて、活動を展開し、再栓可能なペットボトルやボトル缶では、オフィス等でのデスクワークを中心とした“ちびだら飲み”の飲用スタイルにおいて、お客様の嗜好ニーズの拡がりに対応しました。特に「クラフトボス」シリーズは、これまで缶コーヒーになじみの無かった若い世代や女性からも大変ご好評いただき、発売2年目で2,700万ケース超えとなりました。
これらにより、「BOSS」ブランド全体の販売数量は、コーヒー飲料市場が当社推定で対前年微減となる中、対前年9%増の1億790万ケース※2と大きく伸張し、1992年の発売以来初となる、年間販売数量1億ケース超えを達成しました。
※2:本年1月11日発表2018年年間販売数量の「BOSS」ブランドの販売数量について、一部の商品が含まれていなかったため、数値を変更します。
(あわせてリリースNo.SBF0776も変更しています)
無糖茶カテゴリー(「伊右衛門」、「サントリー烏龍茶」、「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」)の販売数量はカテゴリー計で伸張しました。「伊右衛門」ブランドは、「伊右衛門」本体を春にリニューアルし、TV-CMをはじめとした積極的なマーケティング活動を行ったほか、トクホ飲料「伊右衛門 特茶」で、生活習慣サポートサービス「特茶プログラムはじまる!」キャンペーンを実施するなどブランド強化に注力しましたが、ブランド全体の販売数量は対前年95%の5,370万ケースで着地しました。
また、ロングセラーブランドの「サントリー烏龍茶」は、中国・四国エリアや東北エリアでの限定商品も展開し、販売数量は対前年101%の2,650万ケースとなりました。
これらの結果、当社の国内事業の販売数量は、対前年104%の4億6,220万ケースとなり、26年連続で前年を上回りました。
【2019年 事業方針】
2019年の飲料業界を取り巻く消費動向は、価値観の多様化や健康志向が進み、事業環境もますます変化のスピードが速まると考えています。
●多様化する価値観の顕在化
AIやIOTなど、テクノロジーの進化に伴う働き方やライフスタイルの変化とともに、お客様の価値観も多様化しており、飲料に対する嗜好やニーズは非常に速いスピードで変化しています。また、多様化していく価値観を互いに認め合う意識が高まりつつあります。
●ますます高まる健康志向と環境意識
「人生100年時代」と言われるなか、健康寿命に対する注目が集まり、自分自身で健康を管理する“セルフメディケーション”や、その手法の一つとなる“ヘルステック”という言葉が徐々に浸透してきています。また、環境意識の高まりを背景としたサステナビリティへの取組みの重要性もますます高まっています。
●世の中にあふれる、多くの不確実な事象
我々を取り巻く事業環境は厳しさが増しています。その背景には、世界各国での異常気象や価格競争の激化、原材料費や物流費の変動など、多くの不確実な事象があります。
こうした世の中の動きを捉えながら、当社は外部環境の変化を注視し、感知能力を高め、お客様起点での商品開発やサービス開発、マーケティング活動を推進していきます。2019年の国内事業において、飲料総市場が微減と推測されるなか、当社は年間販売数量4億6,220万ケースを目指します。(対前年100%)
具体的な活動は以下のとおりです。
(1)多様化する価値観に寄り添うお客様起点での商品開発&コミュニケーション
今年も「サントリー天然水」、「BOSS」、ならびに「伊右衛門」「サントリー烏龍茶」等の無糖茶カテゴリーを柱に引き続き活動していきます。
昨年、大変ご好評いただいた「クラフトボス」や「サントリー 南アルプススパークリング」のように、時代に合致した働き方の提案や社会の課題解決への貢献を目指し、多様化する価値観に寄り添ったお客様起点での魅力的な商品の開発、新たなマーケティングコミュニケーションに積極的に取り組みます。
(2)お客様の健康習慣をサポートする商品、サービスの拡充
「人生100年時代」の到来を見据え、ますます高まる健康志向に応える新たな価値を持った商品の拡充を図ります。加えて、健康な毎日を送るために「何をやったら良いのかわからない」「やり始めてもなかなか続かない」といったお客様が抱える不安や悩みに寄り添い、日々の健康習慣をサポートする様々なキャンペーンやサービスを展開していきます。
また、自販機事業においても、健康増進や社会課題解決を目指し導入を進めているIOT自販機「グリーンプラス」や法人向けのサービス「宅弁」などを通じて、更なる付加価値、利便性の向上を目指します。
自販機市場は横ばいから微減の傾向ですが、当社は引き続き総合飲料サービスに注力しつつ、高付加価値戦略を推し進め、持続的な成長を図ります。
(3)不確実な事象への備えの充実、事業活動を通じたさらなるサステナビリティの推進
昨年発生した様々な予期せぬ天災など不確実な事象による物流影響等の新たな課題に向き合い、AIを活用し最適な生産計画を自動立案する新システムの運用開始や社内外のSCM体制の再構築等、お客様に安定的に商品をお届けするための対応策を強化します。また、環境・社会貢献活動など、これまでのサントリーグループ全体で長年、取り組んでいる活動に加え、事業活動を通じ、使用済みペットボトル有効利用の取り組みを強化するなど、持続可能な社会を次世代に引き継ぐためのサステナビリティ推進活動にもこれまで以上に注力していきます。
なお、今年度の注力ブランド、カテゴリーの活動内容は以下のとおりです。
■「サントリー天然水」
「サントリー天然水」は、水源にこだわった“清冽(せいれつ)なおいしさ”という独自のブランド価値のさらなる向上を引き続き図るとともに、独自のブランド価値を基盤として無糖カテゴリーに注力し、高付加価値商品による新たな市場創造に挑戦します。
また、「サントリー天然水」ブランドのさらなる成長を目指して、2020年には「南アルプス(山梨県)」、「阿蘇(熊本県)」、「奥大山(鳥取県)」に続く、新たな水源として、豊かな自然に囲まれ、良質な水に恵まれた長野県大町市に新生産拠点を新設します。エリア内には、生産拠点でありながら、「サントリー天然水」の「清冽なおいしさ」を様々なコンテンツを通じて五感で感じていただける、新しい体験型施設を構築します。
「サントリー天然水」は、安全・安心のため徹底した品質管理のもと「厳選された水源で育まれた清冽でおいしい天然水」をお届けするとともに、新たな価値の創造に挑戦し、清涼飲料市場におけるNo.1※1のポジションをより強固なものにしていきます。
■「BOSS」
「BOSS」は、引き続き“働く人の相棒”として、「BOSS」ならではの新商品及びマーケティング活動を展開します。
ショート缶では、“一服する・気分転換する”飲用スタイルを志向するヘビーユーザーのお客様に向けた施策を積極的に展開していきます。2月5日には、昨年7月に本格稼動したサントリーコーヒーロースタリー(株)海老名工場の高機能焙煎機で焼き上げた新焙煎豆を使用した「ボス THE CAN COFFEE 俺の微糖」の新発売、主力ショート缶コーヒーの一斉リニューアルとともに、キャンペーンを同時展開し、缶コーヒー市場の活性化を図ります。
「クラフトボス」は、「ブラック」・「ラテ」・「ブラウン」のさらなる成長に加え、新たなカテゴリーへの展開とともに、「クラフトボス」らしい新しい働き方の提案も行っていきます。
また、今年は濃縮タイプ飲料「ボス ラテベース」の育成にこれまで以上に注力し、“イエナカ(家庭内)”での楽しみ方、新商品、マーケティング活動を年間を通して展開します。
各カテゴリーをさらに強化し、「BOSS」ならではの価値をお届けすることで、“働く人の相棒”として、あらゆる働き方や世代を超えて愛されるブランドを目指していきます。
■無糖茶カテゴリー
「伊右衛門」は、2004年の発売以来、京都の老舗茶舗「福寿園」の茶匠が厳選した国産茶葉を使用した旨み豊かな味わいの緑茶として、多くのお客様からご好評をいただいています。今年は新たな商品開発やコミュニケーションを展開します。
また、トクホ茶No.1※3の「伊右衛門 特茶」にも引き続き注力し、お客様の健康習慣を後押しするきっかけとなるべく、ライフスタイルにより近づいたマーケティング施策を展開予定です。
「サントリー烏龍茶」は食事中の飲料としての提案を、「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」は引き続き家族で楽しめる水分補給飲料としての価値を高め、市場において確固たるポジションを築くべく、今年もより一層、マーケティング活動を強化します。
※3:インテージSRI・トクホ茶市場・2014年1月-2018年12月 「伊右衛門 特茶」累計販売金額 業態:スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア 計
【2018年実績・2019年計画(販売数量)】(シロップ製品は8オンス換算)
(単位:万ケース、%)
2018年実績 | 前年比 | 2019年計画 | 前年比 | |
---|---|---|---|---|
サントリー天然水 | 11,730 | 109 | 11,980 | 102 |
BOSS※2 | 10,790 | 109 | 10,960 | 102 |
伊右衛門 | 5,370 | 95 | 5,370 | 100 |
GREEN DA・KA・RA | 3,770 | 124 | 3,770 | 100 |
サントリー 烏龍茶 | 2,650 | 101 | 2,650 | 100 |
PEPSI | 2,020 | 92 | 2,010 | 100 |
特定保健用食品・ 機能性表示食品 計 |
2,330 | 90 | 2,390 | 102 |
国内飲料 計 | 46,220 | 104 | 46,220 | 100 |
※2:本年1月11日発表2018年年間販売数量の「BOSS」ブランドの販売数量について、一部の商品が含まれていなかったため、数値を変更します。
■サントリーグループの環境活動について
サントリーグループは、「人と自然と響きあう」という企業理念のもと、自然の恵みに支えられている企業の責務として環境経営を推進し、持続可能な地球環境を次世代に引き継ぐためにさまざまな環境負荷低減活動を行っています。サントリー独自の「2R+B」戦略に基づいた、容器包装の取り組みのほか、水源涵養林として高い機能を持つ森を育てるサントリー「天然水の森」の活動など、様々な活動を続けています。
●容器包装について
・「2R+B」戦略
ペットボトル開発において、樹脂使用量の削減と再生素材の使用により徹底した資源の有効利用を図りつつ、可能な範囲で石油由来原料を再生可能原料で代替していく考え方(Reduce・Recycle+Bio)です。Reduce(使う量を減らす)ではボトル本体だけでなく、ラベルやキャップを含めた徹底した軽量化を推進、Recycle(再資源化して使う)ではわが国で初めてボトル to ボトルのメカニカルリサイクルシステムを構築、Bio(植物由来の資源を使う)では「サントリー天然水」(550ml)に植物由来原料を30%使用したペットボトルをすでに導入し、植物由来原料100%使用ペットボトルの開発にも取り組んでいます。
・使用済みペットボトルの有効利用を目指した取組み
リサイクル事業者各社と連携して、B to B(ボトルtoボトル)促進に向けてリサイクルペットボトルをさらに積極的に導入していきます。そして、協栄産業(株)と共同で開発し、昨年稼動させた「FtoPダイレクトリサイクル技術」を活用し、まずは、中期目標として2025年までに国内清涼飲料事業における当社全ペットボトル重量の半数以上に再生ペット素材を使用していくことを目指し、更なる循環型社会の実現にむけた地球環境の保全活動を一層強化していきます。
●水の取組みについて
・「天然水の森」活動と「水育」
サントリーグループでは、工場で汲み上げる量以上の地下水を育むため、工場の水源涵養エリアで水を育む森づくり「天然水の森」活動を2003年から行っています。その規模は全国14都府県、20箇所、総面積およそ9,000haですが、工場で汲み上げる量の2倍の地下水を生み出す広さに拡げるべく、2020年目標として、12,000haに拡大することを掲げています。また、子どもたちに水の大切さを伝える次世代環境教育「水育」は、国内での活動だけでなく、ベトナムでも実施しており、海外でも水に関する様々な活動が始まっています。
・「AWS」認証取得と「CDPウォーター」選定
サントリー食品インターナショナル(株)は「水と生きる」を「Promise/社会との約束」に掲げ、上記のような様々な“水”に関わる活動を長年展開してきました。2018年1月には、「サントリー天然水 奥大山ブナの森工場」が、工場周辺流域の持続可能な水利用に関する「Alliance for Water Stewardship(AWS)」認証を日本で初めて取得しました。また、同1月、「CDPウォーターセキュリティ2018Aリスト企業」に3年連続で選定されました。
以上