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豊かな森が育んだ良質な天然水は、私たちサントリーのものづくりの源です。ビールもウイスキーも清涼飲料もおいしい水がなければ生み出せません。まさに、サントリーは水に生かされている会社。だからこそ、地球や人にとってかけがえのない水を守り、大切に使い、やがて自然に返していくことは私たちの当然の使命なのです。
その使命を果たすために必要なのが、水の動きや働きに対する理解を深めること。その役割を担っているのが水科学研究所です。水の研究を進めることによって、将来にわたって水資源を守っていくためにはどうすれば良いかが分かってきます。100年先の子どもたちにおいしくて安全な水を届けるにはどうしたらいいのか──。そういったことを考えながら、私たちは日々研究をしています。
私たちが常に注目している「水の循環」。水蒸気が上昇して雲になって雨が降り、地面に浸み込んだ地下水が川となって海へと注がれ、その水は再び蒸発して雲となり雨となって自然界を循環し続けます。その循環の中で特に私たちが関心を寄せているのが、目には見えない地下水の動き。それを「見える化」し、コンピュータ上で再現する研究に力を入れています。地質や水の浸み込みやすさ、井戸の水位など、様々なデータをもとに地面の下の様子を描きます。この「見える化」が、将来にわたり水資源を守り続けることに役立つと考えています。
私は以前、2021年に竣工したサントリー第4の水源地「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」の工場長を務めていました。だからこそ、こうした研究の大切さがよくわかる。この工場が立地する大町市は水質、水量ともに最高の場所です。そういう場所に巡り合えたのも、こうした研究・技術が役に立ったからだと思います。さらに、水源地の涵養活動※もこの研究の成果があるからこそ効率よく計画できる。この技術が確立したら日本だけではなく、干ばつなどに苦しむ海外でも役立てていきたいと思っています。
※涵養活動とは、植林や間伐などを行い森林を保護し育てることで水源を守る活動のこと。
水は自然界だけではなく、私たち人間をはじめ、さまざまな生物とも交わっています。ヒトが口にした水も体内をめぐり、細胞を潤しながらやがては排出されていきます。私たちの生命活動を支える生体内の水の循環は、自然界をめぐる大きな水の循環の一部でもあるのです。最近では、ミネラルウォーターの出荷量も右肩上がりに増えるなど、「水」は生活に浸透していますから、水と健康との関わりなどの研究も皆さんに関心を持ってもらえるのではないでしょうか。
「自然界の水循環」や「生体内の水循環」への理解は、総合酒類食品企業としての事業活動を続けるためには欠かせません。製品開発に直接結びつく研究だけではなく、そのもととなる現象を理解しようというのが私たちの研究のコンセプトです。そういった基礎研究だからこそ、飲料だけに限らず、健康食品や化粧品などにも幅広く応用が利き、新しい価値を提供することができるのです。
得られた研究成果は事業活動に役立てていくとともに、広く社会に発信して普及も進めたい。そのために各方面の有識者に協力を仰ぎ、科学的なエビデンスを取りつつ、独りよがりの研究にならないよう気をつけています。
水と生きるSUNTORY──。
このコーポレートメッセージそのままに、私たちは会社の生命線である「水」に関する理解が進むよう研究を続け、未来の子どもたちにおいしくて安全な「水」を引き継いでいきたいと考えています。
※部署名、役職名、写真は、制作(インタビュー)当時のものです。
※部署名、役職名、写真は、制作(インタビュー)当時のものです。