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日本植物細胞分子生物学会 論文賞を受賞!

サントリー(株)は、植物の遺伝子の働きを抑制する方法に関する研究成果を発表した論文で、日本植物細胞分子生物学会2007年論文賞を受賞しました。この賞は、日本植物細胞分子生物学会の英文誌『Plant Biotechnology』に2006年に掲載された論文のうち、優秀な論文(今回は2件)に授与されるものです。
サントリー(株)は、青いバラの開発などで同学会の特別賞、技術賞を過去に受賞しております。今回の受賞は、商品化のための技術開発のみならず、その裏づけとなる科学的知見を優れた英語論文に発表したことが評価されたものです。

表彰状を持った女性
対象論文
RNAi suppression of the anthocyanidin synthase gene in Torenia hybrida yields white flowers with higher frequency and better stability than antisense and sense suppression.
Plant Biotechnology (2006) 23:13-18
著者
中村典子、水谷正子、宮崎潔、鈴木賢一、田中良和
論文要旨
新しい花色の品種開発は商業上必須である。また、花色は遺伝子が機能しているかどうかを一目でモニターできる指標として有用であり、以前から盛んに研究が行われてきた。
目的の性質を持つ植物を取得する上で、ある遺伝子の働きを抑制することがしばしば必要となる。酵母やマウスなどでは、遺伝子の働きを抑制するために、内在性遺伝子の置き換え(ノックアウト)が行われている。しかし、高等植物では、遺伝子のノックアウトはまだ困難なため、遺伝子の転写物(mRNA)を分解させることにより目的の遺伝子の働きを抑制することが一般的である。この方法として(1)アンチセンス法、(2)センス法(コサプレッション法)がこれまでに用いられてきたが、近年では(3)RNAi法がよく用いられるようになった。サントリー(株)は(2)のセンス法を用い、色素を合成する酵素遺伝子の働きを抑制して白色のトレニアを既に取得していたが、白色のトレニアが得られる頻度が低い上、その花色は安定しなかった。今回、青い花を咲かせるトレニアのアントシアニジン合成酵素遺伝子の発現を上記3種類の方法を用いて抑制し、いずれの方法が最も効率よく目的遺伝子の発現を抑制できるかを、花色が白くなる頻度を指標に比較した。それぞれ約100系統の独立した形質転換トレニアを取得し、(1)、(2)では花色が白くなった系統はほとんど得られなかったが、(3)では約半数の系統が白くなった。また、(3)で得られた系統の中には温室で3年以上安定的に白い花を咲かせる系統があった。(3)のRNAi法が遺伝子発現抑制のための強力な手法であることを示した。
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※部署名、役職名、写真は、制作(インタビュー)当時のものです。

※部署名、役職名、写真は、制作(インタビュー)当時のものです。

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