61ペチュニアの育て方・楽しみ方

ペチュニアはどんな花?特徴や開花時期
ペチュニアは4月~11月にかけて花を咲かせるナス科ペチュニア属の花で、基本的に丈夫で育てやすい植物です。夏の暑さに強く、良い環境で育てれば春から秋まで花を長く楽しめますので、春のガーデニングで楽しむ花として人気が高い花の一つですね。赤、赤紫、紫、ピンク、青、白など多彩な花色があり、花模様や八重咲きタイプなど種類も豊富です。
和名は「衝羽根朝顔(ツクバネアサガオ)」で、日本には江戸末期に伝来されましたが、当時のペチュニアは湿気や寒さに弱く日本の気候では栽培が難しい花でした。ですが1989年、日本の気候に適応できるよう品種改良した「サフィニア」が誕生したことがきっかけで、園芸ユーザーの間に一気に人気が高まりました。現在は様々なガーデニング向けのペチュニアが開発され、ガーデニングの定番の花として愛されています。
目次
ペチュニアとサフィニアの違いは?

ペチュニア属品種のうち、ガーデニング向け品種の1つが「サフィニア」です。
つまり、サフィニアはペチュニア属ですが、ペチュニア属のすべてがサフィニアとは限りません。
ペチュニアは南米など暖かい地域から来たので、元来の品種は日本の寒さや湿気に弱く育てるのは少し難しい花でした。
1980年代にサントリーと京成バラ園芸が共同で、日本の気候で育てやすい新しいタイプのペチュニア作りに向けて品種開発を始め、育種家だけでなく、ウイルス病や組織培養などの専門家を交え、研究を重ねた結果、日本の気候でも丈夫で育てやすく、ボリューム感溢れる美しい花姿で、春から秋まで咲き続ける「サフィニア」が誕生しました。
そして1989年に「サフィニア」の花苗を発売、翌年の大阪花の万博で「サフィニア」は大ヒットしました。1991年にはドイツで開催された国際園芸展でグランプリを受賞、世界中で販売されるようになり、当時は「ヨーロッパの窓辺を変えた」と称されたこともありました。
そこから現在は、たくさんの花色や花型のサフィニアシリーズをはじめ、ガーデニング向けのペチュニアが揃っています。
「ヨーロッパの窓辺を変えた」サフィニアの風景


ペチュニアの花言葉と語源
ペチュニアの花言葉は「あなたと一緒なら心が和らぐ」や「心の安らぎ」があります。
ペチュニアの語源は「Petun」です。これはブラジル先住民の言語「Petun(たばこ)」で、ペチュニア属と同じナス科のたばこの花に似ていることが語源となったと言われています。
サフィニアの花言葉と語源
サフィニアの花言葉は「咲きたての笑顔」です。
サフィニア発売20周年記念の際に「サフィニアの花言葉」を公募し「次々に花を咲かせ、咲き続ける姿が毎日笑顔を振りまいているように見える」イメージからこの花言葉に決まりました。
サフィニアの名前の由来は、波うつように花が咲くイメージの「サーフィン(Surfing)」と「ペチュニア(Petunia)」を組み合わせて名付けられました。
ペチュニアの栽培環境は?苗や土の選び方は?

ペチュニアを育てる前のチェックポイントです。
「種」を蒔いて育てる方法もありますが、ここでは種より簡単で初心者にも育てやすい「花苗」を植える方法をご紹介します。花苗は植え込み時期となる3月~6月に園芸店やホームセンターなどで購入することができます。
栽培環境 | 日当たりや温度は?
半日以上、直射日光の当たる屋外で育てます。暑さには強いですが夏場の強い西日は避けてください。
大雨や台風などの激しい雨風には直接当たらないようにしてあげてください。
寒さにはやや弱いですが温暖な地域では冬越しできることもあります。鉢植えの場合は霜や雪を避けた0℃以上の場所へ移動していただくことがおすすめです。
苗の選び方 | どんな苗を選べばいい?
「良い苗」は、根本がしっかりしていてグラグラしない、茎が太い、黄色い葉がない苗です。虫がついてないかも確認しましょう。
土選び | 苗の植え付けには草花用の培養土を。
園芸店やホームセンターで売っている「草花用の培養土」が便利です。元肥が含まれていない土を使う場合は必ず元肥を混ぜます。
土を入れる量は、鉢いっぱいにせず、2~3cmほど下あたりまでが目安です。
鉢底に「鉢底石」を入れると、土の排水性や通気性が良くなります。
鉢・プランター | おすすめのサイズや号数ごとの大きさは?
1株の苗を植える鉢・プランターのサイズは、一般的に7号(直径21cm)~9号(直径27cm)くらいがおすすめです。サイズが大きすぎると土がなかなか乾かず生長が遅れることがあり、小さすぎると水切れや株が大きくならないことがあります。また、浅すぎる鉢は根が詰まりやすくなるため適度に深さのある鉢を選びましょう。
苗の植え付け | 鉢植えと地植えの違いは?

■鉢植えの場合
鉢の寄せ植えやハンキングで植えると空間を上手く活用したガーデニングが楽しめます。ビニールポットから苗を取り出し、枯れた下葉がある場合は取り除きます。「鉢底石」を鉢の4分の1くらい入れ、その上から土を入れます。鉢いっぱいに土を入れず、鉢の縁の高さより2~3cm低い位置までにして、ウォータースペースを作りましょう。鉢の縁ギリギリまで土を入れてしまうと、水やりの際に水が上から溢れ出てしまいます。
■地植えの場合
鉢植えに比べると水やりの頻度が少なくなるでしょう。庭全体の日当たりや排水性に注意して植え付ける場所を決めましょう。1平方メートルあたり5~6株の目安で植えこみます。花苗は育っていくにつれ大きく成長しますので、苗同士をくっつけず、適度な間隔をあけて植えてください。
ペチュニアの上手な育て方

基本の育て方を覚えてしまえばガーデニングは難しいものではありません。
上手に育てるポイントを加えれば、さらに豪華にたくさん花が咲く姿が楽しめます。
ペチュニアの基本の育て方3条
(1)園芸店やホームセンターなどで売っている花苗と、草花用培養土を用意します。
(2)花苗をプランター(鉢)などに植え込んで、半日以上直射日光の当たる屋外に置きます。
(3)土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりとお水をあげてください。
水やり | 乾と湿のメリハリが大切!

ペチュニアはやや乾燥気味の環境を好み、植え付けから2~3週間は特に水のやり過ぎに注意します。基本的には「土の表面が乾いたり鉢が軽くなった時」に鉢底から水があふれるぐらいたっぷりあげます。水のやりすぎは根や株が生長せず根腐れの原因になりますので、土が湿っている時はあげなくてよいです。
また、花が濡れてしまうと病気になる可能性がありますので水やりの際には花に水がかからないように注意してください。花びらに水滴が溜まったままの状態はよくありませんので水やりの際は株元に水を与えるようにしましょう。夏場は水分がすぐ蒸発してしまうので、朝と夕方の涼しい時に土の状態を確認して、乾燥しているときには1日に2回水やりしましょう。
肥料 | 成長力と開花力がアップ!
肥料を好むので、栽培中は肥料を定期的に与えましょう。ペチュニアを植え付けた約2週間後に、追肥の液肥を与えることがおすすめです。その後も開花期の間は、様子を見ながら2週間に1度、液肥を与えることでより丈夫に育ちます。ペチュニアの生育期には、肥料不足に気を付けることがとても重要です。
植え付け時に土に含まれていた肥料は、徐々に効き目がなくなっていきますので、花をたくさん咲かせるために、植え付けの約1ヶ月後から肥料を定期的に与えます。元肥が含まれていない土の場合は、植え付け時に土に元肥を混ぜ込んでおきます
植え付けの約2~3週間後から「液肥」を併用するとさらに開花パフォーマンスが高まります。
お手持ちの肥料に記載されている肥料の使用方法、濃度、頻度を参考にしてください。

置き場所|日当たりと置き場所が重要
ペチュニアは日当たり、水はけ、風通しのよい場所がオススメです。ペチュニアは雨や湿気に弱いので注意しましょう。鉢の場合は病気の原因となる泥はねを防ぐために、少し高い場所に置くのがおすすめです。
摘芯(ピンチ) | ボリューム感ある株に!
植え付けから2~3週間は、伸びて鉢からはみ出した枝先をカットすると分枝が促進され、花数も葉の数も増えてボリューム感のある株に仕上がります。
株がまだ小さかったり葉が込み入っていない場合は先端を摘むだけで構いません。
摘芯をしなくても、他の日常管理がしっかりしていれば花は咲きますが、摘芯をすると咲いた時の花数と株のボリューム感が驚くほど異なります。
切り戻し |何度も満開を楽しむために!

◆切り戻し方法
全部の枝を鉢の外回りに沿う形でカットします。この時、必ず株元に葉を残さないと枯れてしまいますので、葉が付いている手前でカットするようにします。
ペチュニアは開花期間が長い花のため、枝先にしか花がつかず株元の花が少なくなったり、全体的に花数が減ってきたら、株に緑の葉が残っているうちに切り戻しを行なうと、また満開の花を楽しめます。その後再び花が少なくなってきたら同様に切り戻しを繰り返します。切った花は生け花として飾って楽しみましょう。
開花状況にもよりますが、梅雨に入る前または梅雨時に切り戻しをすると、蒸れを防ぎ梅雨を乗り越えやすくなります。
関東以西の温暖地域では、最後の切り戻しは遅くとも8月中が目安です。そうすると10月頃にもう一度、満開を楽しむことができるでしょう。
ペチュニアの育て方のポイント

ペチュニアの蒸れ対策
ペチュニアは雨や湿気に弱く、蒸れることで弱ってしまいます。高温多湿の時季(梅雨時や盛夏時)は株元が蒸れやすくなり、葉が枯れて(溶けたようになる)しまうことがあります。風通し良い場所で管理し、なるべく過湿にならないように気をつけましょう。
梅雨前に大きな葉や古い葉を間引いておくと効果があります。
また、枯れた(傷んだ)葉は早めに切り取りましょう。そのままにしておくと、カビ病を誘発する可能性があります。長雨や強雨も避けた方がいいでしょう。
■地植えの場合:雨が降った時の跳ね返った泥から病気が発生して枯れる恐れがあります。対策としては株のまわりにバークチップ(ウッドチップ)を敷いておくとよいでしょう。
■プランターの場合:雨天時は雨の当たらない場所に置くようにし、晴れ間が見えた際には充分に日光浴をさせるなど工夫してあげましょう。
ペチュニアの暑さ対策
ペチュニアは暑さに強いですが、高温になる夏場は強い西日が当たらない場所に置いてください。
熱を持ったコンクリートに直接置くのは避け、鉢の下にレンガやスノコなどを敷いてあげましょう。
夏場は日中に水やりを行うと、土中で水温が上がりお湯のようになってしまいますので、朝方にあげましょう。昼間にシュンとしている植物を発見しても慌てず夜に気温が下がってから水やりしましょう。
ペチュニアの冬越し
基本的には一年草ですが、関東以西の温暖な地域でその年の気象条件、夏越しの状態によっては冬越しができることもあります。ただし前年同様にきれいに花を咲かせてくれるとは限りません。病虫害を持ち越す懸念もありますので、翌春は新しい苗を栽培した方が管理しやすいです。
ペチュニアの病気と害虫
ペチュニアは育てやすい花ですが、梅雨の時期は高温多湿による蒸れを防ぐために、水やりはやや乾燥気味にし、土が湿っている時は水やりを控えましょう。
ペチュニアは葉のべたつきが害虫から身を守る役割をしますが、全く虫がつかないわけではないので、虫が付く前に市販の防虫剤で先手を打っておくと安心です。サフィニアの場合はエカキムシやアブラムシ、オンシツコナジラミなどにご注意ください。
虫がついた場合は見つけ次第すぐ市販のスプレータイプの薬剤を使うなど対処しましょう。
ペチュニアの種類
1989年に「サフィニア」が誕生してから日本の気候で育てやすいガーデニング向けペチュニア品種が様々と誕生しました。
ここでは初心者でも育てやすく、春から秋まで長く咲くサントリーフラワーズのおすすめペチュニア品種をご紹介します。
サフィニア | 波うつように咲きあふれるペチュニア


サフィニアシリーズの中でもっとも長く続いている定番となります。 花色、咲き姿ともに豪華そのもので、波うつように豪華に咲きあふれる咲き姿とビロードのような光沢感ある美しい花弁が人気です。
赤紫、赤、ピンク、青、紫、黄色、白など豊富な花色で、大輪タイプと中輪タイプがあります。
サフィニアアート | ユニークな花模様のペチュニア


花びらにピンク色のハート模様のある「ももいろハート」や、青紫のふち模様の変化も楽しめる「江戸しぼり」など、花弁に可愛い模様が入る印象的なタイプのサフィニアです。
ネーミングも可愛くてインスタグラムなどSNSでも人気です。程よい大きさが可憐な中輪タイプです
サフィニアプチ | 小さなお花があふれるように咲く可愛らしいサフィニア!


まるで桜のような小さなピンク色の花弁がとても可愛いタイプのサフィニアです。
まとまりやすく、どのサイズの鉢で育てても「もこもこふわふわ」に育ちます。暑さにも強く、花姿を変えずに咲き続けるので管理もらくちん。花径約1.5㎝の極小輪タイプです。
サフィニアブーケ | 花束みたいにまとまるペチュニア


花のブーケのようにキュッとまとまる愛らしい咲き姿が特長のサフィニアです。
ピンチ(摘芯)なしでもドーム状にまとまりやすい咲き姿なので、あまり広くないベランダやお庭などでもコンパクトに育てられます。可愛らしい小輪タイプです。
サフィニアフリル | フリルが美しい小輪八重咲きペチュニア


八重の花びらの重なりが、まるでフリルが重なったような美しいタイプのサフィニアです。
草姿バランスと輪サイズがほぼ同じため、単色はもちろん混色にしても大変美しい咲き姿を楽しめます。可愛らしい小輪タイプです。
すぐ楽サフィニア | 花付き2色植えのペチュニア


あらかじめ2色のサフィニアがポット植えされているので、そのまま植えるだけでボリュームのあるきれいな混色が楽しめます。色の組み合わせも、開花試験を重ねて色合い・草姿のバランスの合う組み合わせの2品種を厳選しています。
サフィニアシリーズの咲き方マップ
サフィニアシリーズごとの特性を視覚的にわかりやすいように示しました。ガーデニングの計画を立てる際に、どの種類のサフィニアが

ペチュニアの寄せ植えやハンギング、地植えなど
鉢植えはもちろん、ハンギング、地植えなど、いろんな育て方ができるのも魅力です。
花色も単色植えはもちろん、混色植えをしたり、他の植物との寄せ植えにしてもおしゃれです。
お客様からいただいた素敵なサフィニアの寄せ植え・ハンギングの写真やこれまでに植栽された地植えの写真などをご紹介します。
サフィニアの寄せ植え


サフィニアのハンギング


サフィニアの地植え


ペチュニアの花を飾って楽しむ


再び満開を迎えるために切り戻しを行なったら、切ったお花は室内の好きな場所に飾れば、お部屋の中も花のある空間になります。花瓶がなくても、ガラスのコップや食器、身近な小物にそっと活けただけでも絵になります。
ペチュニアの植栽
サントリーフラワーズのペチュニア「サフィニア」はアンデルセン公園(千葉県)やうめきたガーデン(大阪府)他、様々な場所で植栽されました。その一部をご紹介します。




いかがでしたか?おうちのベランダやお庭で気軽に育てられるペチュニア。気になるペチュニアがありましたらぜひチェックしてみてください。