LINE
Tweet
Facebook

40あしたの花インタビュー 假屋崎省吾さん〈後編〉

あしたの花インタビュー 假屋崎省吾さん〈後編〉

やってみる!ってことです


―――假屋崎さんは子供の頃から園芸に親しみ、そこから華道へ、さらには様々なデザインへと世界を広げてこられました。子供の頃から花に親しむことについてのお考えをお聞かせください。

今、子どもたちにお花を教える花育という活動をしています。服部先生が食育を考え出して全国に広めていった様に、花育をもっと広めていかなくてはいけないと思っています。
人によってそれぞれやり方があると思いますが、私の花育の場合は、
(1)まず花を手に取ります。花びらのところや葉っぱのところに、何か発見をしてもらい、それを絵に描いてもらうのです。
(2)そして器になるものを家から持ってきて、器にいけて工夫をしてもらいます。
(3)次に、みんなに見てもらい、それに対していろいろな意見を言ってもらうのです。
すると、美意識も高まり、コミュニケーション能力も高まるのです。

発見をすること、工夫をすることが大切です。子どもたちにとってたくさんのチャンスが生まれます。みんなに見てもらうとき、見る側には良いところを見つけるようにしてもらいます。良いところを見つけるというのは、人間関係を作る上でも大切なことなのです。

イベントなどで地方に行くと、地元で花を作っている生産者さんと子どもたちと一緒に交流してもらいます。すると子どもたちは、自分の地元ではこんなに素敵なものを作っているんだと誇りに思うようになります。花育とは、この様な「花」の経験を通じて知識や教養を深め、心の豊かな人間を育てることにもつながると感じています。

―――手にとって観察する、絵を書くという方法はとても新鮮ですね。假屋崎さんの花育は、子どもたちだけでなく、私たち大人にとっても、花のハードルを下げてくれるように思いました。

サンパラソル、この花は切ればどんどん花が咲いてきます。それをちょっとした小さな器に飾るだけでも素敵です。香水瓶、お猪口やラーメンどんぶり、それこそペットボトルの蓋でもいいのです。それを洗面所や枕元、玄関などに飾って家庭の中で楽しむ。普段そこには無かった花の色、香り、カタチが、とても素敵なライフスタイルに演出してくれます。

お花は「高嶺の花」ではないのです。本当は誰でもご家庭で楽しめます。一人でも多くの人が、傍から見るだけではなく、生活の中で楽しむということがとても大切なことだと思うのです。

あしたの花インタビュー 假屋崎省吾さん〈後編〉

サンパラソルをお手入れする假屋崎さん。「切った花をお部屋にちょっと飾るだけで素敵なんです!」

―――私も自宅でお花を育てていますが、平日は毎朝出勤しなければならないので、水やりくらいしかできていませんでした。
今は新型コロナの影響でほぼ毎日家にいるので、土の中まで見て黄色い葉っぱを取ったりと、こんなに花と向き合えたのは初めてです。

いいですね。新型コロナの影響で、私も個展やイベントなどが中止になってしまい、花教室も休校にせざるを得なくなり、その分自分の時間がたくさんできました。おかげで15年前に家を建てたときに植物を植えてから初めて、刻々と変化する庭のバラを楽しむことができました。この時期、これまでは仕事で長期外出が多く、家に帰ってくる頃にはほとんど散ってしまっていたんです。

今はお花を楽しめるだけでなく、4匹の犬と2匹のネコと遊んだり、料理を作ったりと、とても健康的な毎日です。
こんな時だから、家族との共同作業も素敵なことだと再認識します。料理を作るのも良いですし、園芸を一緒にやってみるのも楽しいです。お花だけではなく、実を結ぶものもありますから(笑)。

―――サントリーフラワーズでも野菜苗を発売していて、本気野菜〈純あま〉というミニトマトは大変好評です。

野菜はいいですね。苗を購入して、種を蒔いて育てるのがすごく楽しみになります。手入れをすればするほど育ち、実り、たくさん収穫できます。自分で手を掛けるわけですし、農薬を使うわけではないので、形が悪くても安心していただけます。そういう園芸がどんどん増えているのはとても素晴らしいことだと思います。マンションやアパートでもベランダを使ったりして育てることができますからね。

お花も、サフィニアみたいに、広い面積がなくても咲かせられ、長持ちするものがたくさんありますしね。

―――園芸が手軽に始められることを、もっと多くの人が知ってくれたら素敵ですね。最後に、園芸ビギナーの皆さんへアドバイスをいただけますでしょうか。

とにかくやってみる!
やってみて、合うもの、合わないものがあるでしょう。最初は経験をしないと、どんなものも上手くは行かないんです。だからやってみることです。
球根植えないと、種蒔かないと、苗買わないと、花は育たないんです。先行投資です。それが元手になって、投資したからこそ実るのです。
つぼみができて花が開く。園芸とは、素敵なことの連続だと思います。それに、何かに取り組むことは脳の活性化を促しますから、健康で過ごせることにもつながります。

私のモットーは「花から始まるライフスタイル」「花は心のビタミン」、寝て、起きて、食べて、仕事して、帰ってきてちょっとくつろいでという生活のリズム、その中に花を取り入れ心を癒し、日々の活力にしようという思いです。常々これをもっともっと多くの方に広めて行きたいという使命を感じています。


全3回でお届けした假屋崎省吾さんのインタビュー、いかがでしたでしょうか。華道のみならず、様々なデザイン分野に活躍の場を広げている假屋崎さんの根本には園芸がありました。これにはスタッフ一同驚くばかりです。
ぜひ皆さんもこの機会に、少しずつでもいいので、生活にお花を取り入れて頂ければと思います。

ページの先頭へ

ページの先頭へ