木の根
地中に広がる木の根は、森の生態系を支える大切な基盤です。地中深くまで根を張り、土壌や斜面を安定させる他、透水性に優れたフカフカな土づくりにも貢献しています。
森の生態系を支える縁の下の力持ち
木の根は土砂崩れや斜面崩壊を防ぐ役割を果たします。根の形は樹種ごとに異なり、深くまっすぐ根を伸ばし「杭」となる木や、横に根を張り土を抑える「ネット」となる木もあります。
さまざまな樹種が入り混じる森林ほど、根が隙間なく張り巡らされて土が固定されます。その結果、雨に流されにくい安定した土壌や、崩れにくい斜面が形成されるのです。
木の根は透水性に優れた「フカフカな土」の基盤にもなります。細根と呼ばれる細い根は、冬に枯れ、春にまた新しく伸びるというサイクルを繰り返します。こうして土が柔らかく耕されるだけでなく、冬に枯れた根がパイプのように空洞化し、地下水を通す通り道になっていくのです。
また、土壌生物の多様性を維持・向上させる役割も担います。植物の多くは土の中の菌根菌と共生することで、水やミネラルを吸収しています。植物の根は積極的に栄養分を浸出し、菌根菌やバクテリアを呼び寄せるのです。
根の種類によって呼び寄せる微生物が異なるので、植生が豊かな森ほど、土の中の微生物の多様性も高まります。新しい根と、その周りに集まった微生物たちは、ミミズなどの恰好の餌になり、「フカフカな土」のもととなる土壌の団粒化(※)も促します。
土が小粒の団子状になること。適度な隙間ができ、通気性や保水性に優れた土になる
「天然水の森」の取り組み
植物の種類が少ない森林では、土壌の生物多様性が失われ、地下水を育む力の大きいフカフカな土が育まれにくくなります。このため「天然水の森」では、生物多様性に富んだ森づくりを進めています。
木のDNAにまで考慮した植樹
森に生えている植物の種類は地域によって異なり、さらに、同じ樹種でも地域が異なればDNAも違ってきます。そのため地域外の植物を持ち込むと、DNAの攪乱につながり、森の生態系に悪影響を及ぼしかねません。
「天然水の森」では、それぞれの森や、その周辺地域で種を採取し、そこから育てた苗を植樹しています。このようにDNAにまで考慮した植樹を行うことで、その地域ならではの生物多様性を守っています。
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