ミミズ
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ミミズは落ち葉や土を食べ「フカフカな土」をつくり出します。植物の成長を助ける、森に欠かせない存在です。
土づくりの大名人
自然科学者のダーウィンは40年以上にわたりミミズの研究を続け、最後の著書は「ミミズ本」でした。その結論は「世界中の土壌のほとんどは、ミミズのフンで出来ている」という驚くべきものでした。実は現在の最先端の研究も、その結論をおおむね支持しています。
ミミズは、体内に消化酵素をほとんど持っていません。そのため、落ち葉分解菌によってある程度分解が進んだ落ち葉と、根の周囲にある微生物に富んだ土を一緒に食べています。体内では、微生物の酵素による発酵(消化)が進み、ミミズは、その栄養を吸収しています。
排出されたフンの中でも発酵は進行し、最終的には、最も分解されにくい腐植成分が、粘土や砂などの粒を接着した強固で壊れにくい構造をもつ団粒になっていきます。
こうして出来た土壌は、スポンジのように隙間が多いため、大雨の時には水はけがよく、雨が降らない季節にも、団粒内に蓄えられた水が植物を支えてくれます。ミミズがつくる土壌は、植物にとって理想的な土なのです。
「天然水の森」の取り組み
ミミズに土づくりをしてもらうためには、ミミズが棲みやすい環境をつくる必要があります。ミミズの棲みやすい環境とは、まず、落ち葉がたくさん積もる森であること。そして、土の中に、落ち葉の消化を助ける微生物がたくさん棲んでいることも重要です。
微生物は木や草の根からの滲出物に呼び寄せられるので、多様な草や低木が地表を覆っている森を、ミミズは好みます。
反対に、ミミズが棲むことで、森の多様性や健全性は高まります。「天然水の森」で行っている「生物多様性」を再生するためのさまざまな整備活動は、そのまま、ミミズを呼び寄せる活動でもあるのです。
この活動に携わる専門家
金子 信博
横浜国立大学 名誉教授