カブトムシ
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「昆虫の王様」と呼ばれ、子どもたちからの人気が高いカブトムシ。キノコや枯れ木など、森の生き物たちと深く関わりながら暮らしています。
樹液酒場の夜の主役
かつて炭や薪を採るために育てられていた里山には、今でもクヌギやコナラの木がたくさん残っています。それらの木々は、しばしば幹の傷口から樹液を浸みださせています。そして、その甘い樹液に多くの虫たちが集まります。その繁盛ぶりを見て、樹液酒場という名前が生まれました。
人間の世界でも同じお店が昼はカフェ、夜は酒場になることがあるように、樹液酒場の客層も、昼夜で異なります。昼間はさまざまな種類の蝶やカナブン、スズメバチなど。夜は蝶の代わりに蛾の仲間が集まります。
そして夜の部の主役はカブトムシとクワガタです。樹液酒場には、虫だけでなく、その虫を食べるクモや鳥、カナヘビなども集まってきます。樹液酒場は、里山の生態系のとても重要な一画を占めているのです。
幼虫の餌はキノコが分解した朽木
カブトムシの幼虫は、枯れ木そのものではなく、キノコなどの菌が分解した朽木を好んで食べています。
枯れ木自体は、炭素ばかりで窒素やミネラルなどの栄養分がほとんどありません。キノコなどの菌は、そんな枯れ木を分解しながら、呼吸で炭素を追い出したり、空中の窒素を固定する微生物と共生したり、地中に伸ばした菌糸で窒素やミネラルを吸収し、カブトムシの幼虫に最適な餌に変化させていきます。キノコ屋さんが、カブトムシの飼育用に、廃菌床を売っているのはそのためです。
「天然水の森」の取り組み
「天然水の森」では、地元の子どもたちと共に「カブトムシの森プロジェクト」を進めています。
カブトムシの森プロジェクト
「天然水の森 天王山」の一画に、拡大竹林を伐採し、地元の小学生と一緒に、かつての薪炭林(クヌギ林)を復活させている場所があります。活動の目的は、「里山」的な生物多様性を復活させるためです。
ただ、子どもたちにとって「薪や炭のための林を作りましょう」では、少し魅力が足りません。そこでこの森に「未来のカブトムシの森」という名前をつけました。それだけでなく、大きな木製の囲いの中に竹のチップを積み込み、キノコなどの菌で分解させ、カブトムシの産卵床にしました。
「天然水の森 天王山」の活動を見る