SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT

vol.11「2020年はゴールではなく通過点。その先も"チャレンジド・スポーツ"をさらに発展させていきたい」 パラトライアスロン 谷 真海選手(後編)

vol.11「2020年はゴールではなく通過点。その先も"チャレンジド・スポーツ"をさらに発展させていきたい」 パラトライアスロン 谷 真海選手(後編)

前編では、走幅跳からトライアスロンに転向し、自身4度目の世界大会出場をめざして取り組んでいる新たな「チャレンジ」について語ってくれた谷 真海。この後編では、サントリーホールディングスの社員として情熱を注いでいる「チャレンジド・スポーツ プロジェクト」にかける思いを聞いた。彼女のあくなきアスリート魂は、競技以外の面でも存分に発揮されている!

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── 今回はご自身がサントリーホールディングスの社員として携われている「サントリー チャレンジド・スポーツ プロジェクト」についておうかがいしていきます。まず、プロジェクトがスタートした経緯からお聞きできますか?

「チャレンジド・スポーツ プロジェクト」は、正式には東日本大震災以降にサントリーの復興支援活動の一環として始まったのですが、実はそれ以前から私個人としては会社の中で草の根運動的な活動として行なっていたことなんです。アスリートとしての営みの中で、少しずつですが、競技活動以外にも自分ができること、伝えられることに取り組もうと。それが徐々に軌道に乗ってきて、多いときには年間1万人くらいの子どもたちと触れ合う機会を作ることができました。まさかそれが会社の重要なプロジェクトになるとは思っていなかったので、今こうして、震災復興やパラスポーツの普及・発展、アスリート育成のためにより広く活動できていることに私自身すごく感慨深いものがあります。

── 現在、谷さんは現役のアスリートとしての活動と並行しながら、プロジェクトの推進や普及活動においてどのような役割を担っているのでしょうか。

会社の力を借りながらではありますが、毎年チャレンジド・スポーツの機会をたくさん作ることができていますし、また今では自分が競技スケジュールなどとの兼ね合いで参加できない場合であっても、活動そのものをたくさんの方に知っていただける環境が整っていることはすごく嬉しいですね。そして自分がホストとして参加するときは、以前にも増してたくさんの方々と一緒にスポーツを楽しんだり、話をするよう心がけています。そういうとき、とくに子供たちの目の色がどんどん変わっていく姿を見るとチャレンジド・スポーツには伝えられるメッセージが本当にたくさんあるなあと感じますし、そこが最もやりがいを感じている部分でもあります。

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── どのようなところにプロジェクトの手応えを感じていますか?

活動のボリュームが年々増えているというのがいちばんですね。接する方々の数が増えているということは、当然より多くの方にチャレンジド・スポーツについて知っていただけているということになりますので。子供たちから障がいのある方々まで、さまざまな方にチャレンジド・スポーツの取り組みから得た経験を力に変えていただいたり、日々の生活の支えにしていただけていると実感しています。

── プロジェクトを今後も定着・発展させていく上での課題や、新しいビジョンはありますか?

今後は東北地方以外にも活動の幅を広げ、これまで培ってきたことをさらに広い範囲で発揮したいという思いがあります。おそらく、来年の大舞台を機に、パラスポーツそのものがもっと多くの方々から興味を持っていただけるはずですので、いいきっかけにしたいという思いは強いですね。

── 2020年以降が非常に大事ということですね。

とても重要だと思っています。2020年をゴールではなく、通過点にしなければ。これはサントリーのプロジェクトだけではなく、社会全体で考えても現在のムーブメントを途切らしてはいけないと思っていますし、だからこそ私自身がメッセージを発信し続けないといけないと自覚しています。

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── 競技者視点ではいかがでしょう? 選手たちが来年以降も現在のようなパラスポーツへの関心を継続させるために心がけなければいけないこととは。

いちアスリートとしては、何もせずに今のように大きく注目される状況が今後もコンスタントに続くと思ってはいけません。来年の大舞台を前にした現在の状況というのは、ある意味選手たちにとっても非常に恵まれているんです。いろんなサポートのもと競技に集中できていると思いますので。ただ、それが当たり前だと思ってしまうと危険です。来年以降は、よりよい環境で競技を続けるためにも、選手たち自身がアスリートとして世の中に何を発信すべきかをしっかり考えて、行動に移せるように意識しておかないといけないと思います。

── ちなみに谷さんご自身は、来年以降、現役のアスリートとして"4年後"を視野に入れているのでしょうか。

今のところは考えていないですね。パリでの大会、というのは素敵だなと感じますし、まだまだ次も!と言ってくださる方も周りには多いのですが...(笑)。自分でも「いい加減やめたら?」と思うこともありつつ、どこかに続けたい気持ちもあります。そのあたりは来年の大舞台に出場できたとして、終わってからしっかりと考えたいですね。ただ、現役を続けるにしてもそうでなくても、その先も「チャレンジド・スポーツ プロジェクト」を通してアスリートが競技を長く続けられる環境を作るために貢献していきたいと思います。

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PROFILE

たに まみ●サントリーホールディングス株式会社
コーポレートサステナビリティ推進本部CSR推進部
1982年3月12日生まれ、宮城県気仙沼市出身。旧姓・佐藤真海。早稲田大学在学中に骨肉腫によって右脚膝下を切断。卒業後サントリーに入社し、走幅跳でアテネ、北京、ロンドンと3大会連続で世界最高峰の舞台を経験。2013年にはIOC総会の最終プレゼンテーションで招致スピーチを行う。2016年からパラトライアスロンに転向し、2017年の世界選手権で優勝を飾る。

Photos:Takemi Yabuki[W] Composition&Text:Kai Tokuhara

PASSION FOR CHALLENGE
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