SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT
#53 「様々な障がいを抱えている人が、みんなで楽しんでいるパラ競技大会が好き」
陸上競技 桑折 洋也選手
サントリー・チャレンジド・アスリート奨励金第3期 対象選手
Q.競技との出会いは?
僕は軽度の知的障がいで、小学5年のときに特別支援教室に入りました。運動は好きで、中学時代は部活で剣道をやっていました。相馬養護学校高等科1年のとき、福島県総合体育大会が開催されました。その時、卓球と陸上のどちらかを選ぶことになり、卓球は苦手だったので陸上を選びました。もともと足は速いほうで、走るのは好きでした。その後、その年に長崎で開催された国体にも出場できることになり、福島パラ陸上競技協会の練習に参加させてもらえるようになったんです。
Q.陸上競技の面白さ、始めて良かったことは?
自己ベストを目指して練習を積み重ね、大会での緊張感を乗り越え、いい記録が出せたときの喜びはとても大きいです。練習はつらいときもありますが、その先に大きな喜びが待っていると思うと頑張れます。僕は今でも忘れものが多く、読み書きや計算が苦手です。でも、そんな僕が陸上の大会で表彰され、自分にもこれだけのことが出来るんだと、すごく自信がつきました。
Q.様々なパラ競技大会に参加して感じたことは?
陸上のおかげで長崎や和歌山、大分、愛媛など日本全国に行くことができました。最初は遠いところへ行くのは不安でしたが、慣れると楽しくなりました。パラ競技の大会では、他の人の競技を観るのもすごく楽しいです。大会には、僕のような知的障害者だけでなく、視覚障害の人、義足の人など様々な方が参加します。障がいの軽い人も、重い人もいます。僕より重い障がいを持ちながら、僕よりうんと速く走る人もいます。視覚障害の方がまっすぐ走っているのを見て、すごいと感動したこともあります。大会では色んな人から刺激をもらっています。みんな障がいのことなんてまったく気にせず、競技を純粋に楽しんでいます。みんな元気でとても明るいです。レース前でも和気あいあいとおしゃべりをしている人が多くて、もう少し静かにしてほしいと思うことがあるくらいです(笑)。
Q.印象に残っている大会は?
やっぱり去年、400メートルで54.80の自己ベストを出せた関東パラ陸上競技選手権大会ですね。すごく嬉しかったです。また岐阜の長良川陸上競技場で開催された、知的障がい者のみの大会、日本ID陸上競技選手権大会も印象に残っています。この大会では絶対勝ちたかったけど、まわりのみんなが速くて負けてしまいました。悔しかったけど、すごく勉強になりました。
Q.今後の目標は?
僕はもともと100メートル、200メートルの短距離から始めましたが、昨年から200メートル、400メートルの中距離にも挑戦しています。200メートルは23秒台、400メートルは50秒台で走りたいと思っています。そのためにも今は、「上体をあげずにスムーズにスタートを切り、足の回転の速さを意識するように」とのコーチからの指摘を常に意識して、練習に励んでいます。
Q.将来の夢は?
今、仕事は農業をしている家の作業を手伝っています。とくに仔牛の飼育が楽しくて、やりがいがあります。これからも陸上とともに仕事を続けて、しっかり家を継いでいきたいと思っています。
桑折 洋也選手HIROYA KORI
サントリー・チャレンジド・アスリート奨励金第3期 対象選手
●1999年1月9日生まれ
●福島県南相馬市出身/福島県南相馬市在住
●福島パラ陸上競技会所属
●相馬養護学校・高等科1年生の時に県総体へ出場。
その年の長崎の国体にも出場したことがきっかけで本格的な練習を開始。●競技開始時は100メートルと200メートル
去年から200メートルと400メートルに取り組んでいる●2014年 第69回国民体育大会(長崎) 100m、200m、リレー出場
2015年 第70回国民体育大会(和歌山)100m、200m、リレー出場
2017年 第72回国民体育大会(愛媛) 200m、400m、リレー出場●2017年実績
大分パラ陸上 :100m 12.22秒、400m 55.14秒
福島県総合体育大会 :200m 、400m 58.25秒(優勝)
関東パラ陸上競技選手権大会:100m 12.26秒、400m 54.80秒
北海道・東北パラ陸上選手権大会 :200m、400m 出場
日本ID陸上競技選手権大会 :200m 24.68秒、400m 55.36秒
ジャパラ競技大会 :200m 25.68秒、400m 56.21秒
第72回国民体育大会(愛媛):200m 25.09秒、400m 55.81秒