SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT

#48 「どんな相手にも気持ちで負けない、自分に何ができるかを常に考える」

#48 「どんな相手にも気持ちで負けない、自分に何ができるかを常に考える」

車いすバスケットボール 加藤 芳博選手

サントリーオフィシャルパートナーチーム「宮城MAX」所属

Q.競技との出会いは?

21歳のとき、スノボのジャンプで誤って腰から落ちてしまい、脊椎を損傷しました。そして病院で、車いす屋さんから「一度、車いすバスケを見てみないか」と誘われたんです。
初めて見たのが宮城MAXの試合でした。とにかくスピードと迫力に圧倒されました。藤井新悟選手のパスのうまさに驚きました。とくに藤本怜央選手がインサイドに入ったときに、ピンポイントで送るパスの精度には感動しました。宮城MAXはダントツに強くて、僕もこのチームで車いすバスケをやってみたいと思ったんです。
もともとスポーツ好きで、中学のときはバスケ部でした。でも車いすバスケは、普通のバスケよりも難しい。手だけで、移動もボールさばきもしなくてはならないわけですから。最初の2年ほどは、なかなか練習についていけませんでした。

Q.プレーするうえで心がけていることは?

車いすバスケはスピード感があり、ぶつかりあいが激しい競技です。とくに強いチームほど、ぶつかりあいも激しくなります。そこでどんな相手にも絶対に気持ちで負けない、といった姿勢が大事です。宮城MAXはポイントゲッターが多いので、へたをするとそういう選手に任せきりになってしまう面があります。そのなかで、自分はどういう役割を果たすべきか。いつも考えながらプレーしています。

Q.課題としていることは?

今は仙台で公務員として働いているのですが、2、3年で部署の異動があります。新しい職場に移ったばかりのときは、業務に慣れないためどうしても帰りが遅くなり、練習に参加できないこともあります。仕事とバスケをいかに両立するか。それが自分にとっての大きな課題です。プレーにおいては、ディフェンスのためのチェアスキルを磨き、もっとパワーをつけたいですね。僕は持ち点3のミドルポインターなので、求められるプレーは多くなりますが、まずはチームとの連携を大事にしながら個人的にはスリーポイントの精度を強化していきたいです。持ち味を活かしてチームの勝利に貢献していきたいと思っています。

Q.今後の目標、夢は?

日本代表は年齢的にもう厳しいので、宮城MAXでの試合出場時間を少しでも増やしたいです。そのためにも連携プレーなど、自分らしいプレーをアピールしていきます。将来の夢は、普通に結婚して、家でも建てることですね(笑)。できればこれからも、ずっと仙台で暮らしながら、何らかのかたちでバスケを続けていきたいと思っています。

Q.読者へのメッセージをお願いします。

車いすバスケは連携プレーが非常に多いスポーツだと思います。宮城MAXの試合では強力なハイポインターが安定してシュートを決めるという強みがあります。でもその影では必ずローポインターの選手が道をつくり、シュートをしやすい状況を生み出しています。
車いすバスケではハイポインターを活かかすために、ローポインターの動き、支えがすごく重要で、強いチームには必ず優れたローポインターがいます。このような選手ごとの役割分担も、車いすバスケの醍醐味で、奥深いところです。そんな車いすバスケの魅力を、もっともっと多くの人に知ってもらいたいです。

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加藤 芳博選手YOSHIHIRO KATO

サントリーオフィシャルパートナーチーム「宮城MAX」所属

  • ●1984年7月30日生まれ

  • ●青森県弘前市出身/宮城県仙台市在住

  • ●障がい名:脊椎損傷(T12)

  • ●怪我をして入院していた時、車いす屋さんの紹介で車いすバスケの試合観戦に行く。それをきっかけに、22歳から本格的に競技を開始。

  • ●主な大会出場実績
    2008年~2012年 北九州チャンピオンズカップ国際車いすバスケットボール大会
    2017年 日本選手権車いすバスケットボール大会 優勝(大会9連覇)

  • ●趣味:旅行、ドライブ、スポーツ観戦

PASSION FOR CHALLENGE
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