SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT
#21 「スポーツの魅力を知ったとき、わくわくが止まらなかった」
アルペンスキー(座位) 安倍 紀希選手
「サントリーチャレンジド・アスリート奨励金」第1期対象選手
Q.競技との出会いは?
小6の時に遊び程度でしたことがありますが、本格的に始めたのは4、5年前です。車椅子仲間に誘われたのがきっかけですね。仲間の滑る姿を見て、かっこいいなぁ、自分もこうなりたいなと思いました。最初はひとりで滑ることができなくて、後ろから支えてもらったり、ロープで引っ張ってもらったりしながらの滑走でした。だから、ひとりで上から下までスイスイと滑ることに憧れていました。ひとりで滑れるようになった時は、「やっとここまで来た」と思いました。
以前はチェアスキーを借りていました。もちろん借りられない時もあるから、なんと1シーズン1回しか滑りに行けないこともあったんですよ。いただいた「サントリーチャレンジド・アスリート奨励金」で自分専用のチェアスキーを作ってもらって試したら、滑りやフィット感が全然違う。こんなに滑るのが楽しいなんて。昨年は7回滑りに行きました。今年は雪が少なくてまだあまり行っていませんが、これからが楽しみですね。このチェアスキーは私の相棒です。さらにこの競技が好きになりました。
Q.スポーツを始めたのはいつ?
生まれつき足の感覚がなく、小学生のころは「自分はスポーツができない」と決めつけていました。中学に入学した時もスポーツをするという選択肢は思い付かなくて、吹奏楽部にしようかなって。そうしたら突然、担任の先生から「バスケ部のマネジャーをやってみないか」と誘われたんですね。
悩んだ末、先生の勧めもあってマネジャーをやることに決めました。そうしたら、すごい楽しかった。もちろん試合とかには出られなかったけど、シュートしたら入って。その時ですね、スポーツの魅力を知ったのは。わくわくが止まりませんでした。それから様々な競技に挑戦するようになって、今は、夏は陸上、冬はスキーに落ち着いています。
Q.チェアスキーの魅力は?
チェアスキーに座っているというだけで、ほかは健常者のアルペンスキーと変わらないんですよ。速い人だと100キロ近いスピードが出ます。車と同じくらいですよね。スリルがたまりません。天気や雪の積もり具合によって山が変化するのもおもしろいし、リフトから降りて見下ろす景色も格別。滑る前は「よし、行くぞ!」と気持ちが引き締まります。
Q.日々大切にしていることは?
後ろを向かず前を向いて取り組むことです。スキーと同じですね。雪山に登れば、もう前を向いて下りていくしかありません。これができない、あれができないと言い出したらそこで終わり。生活、仕事、スキーにも、いつもそれは心にありますね。
Q.夢、そして読者の皆さんへメッセージをお願いします!
まだ選手として経験が浅いので、チャンスがあればどんどん大会に出ていきたいですね。そして、50歳ぐらいになったら、子どもにチェアスキーを教えたい。私が知ったスポーツの楽しさを知ってもらえたらうれしいですね。自分でも体を動かせる、障がいがあってもいろんなことにチャレンジできるんだよって。それに、私が教えるころにはもっとこの競技を知っている人が増えたらいいなと思っています。
安倍 紀希選手NORIKI ANBAI
「サントリーチャレンジド・アスリート奨励金」第1期対象選手
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●1989年12月11日生まれ
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●岩手県奥州市出身/岩手県盛岡市在住
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●先天性の二分脊椎症。小学生のころに始めてチェアスキーを体験し、知人の紹介を機に約4年前から本格的に競技として開始。
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●趣味は、スポーツ・スポーツ観戦。