SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT

#20 「つらいときこそ、頑張る。そして笑ってみる」

#20 「つらいときこそ、頑張る。そして笑ってみる」

車椅子バスケットボール 大和田 洋平選手

「サントリーチャレンジド・アスリート奨励金」第1~3期対象選手
サントリーオフィシャルパートナーチーム「ラッセル岩手」所属

Q.競技との出会いは?

2014年2月、スノーボード中の事故で脊髄(せきずい)を損傷して入院中、地元の車椅子バスケットボールチーム「ラッセル岩手」の選手から「一緒にやらないか」と誘われました。ちょうどソチパラリンピックの頃で、いろんな競技をテレビ見て、そのすごさが分かりました。「足を使わずにここまでやっているのか!」って。車椅子バスケを最初に見たときも、激しいプレーに圧倒されて声が出ませんでした。何だろうこの世界、挑戦してみたい、と思いました。

Q.困難に直面し、乗り越えた経験は?

事故後、歩けないことが本当にショックで、これからどうやって生きていけばいいんだと1カ月ほど毎日泣いていました。人生で一番泣いたのはこの時です。当時は食事もできなくて、どんどんやせ細っていきました。親も泣いていましたね。大けがをしたことではなく、自分が落ち込んでいる姿を見てのことだったようです。
 今思うと、自分で自分をさらに悪くしてしまっていたなと思います。落ち込んでいても良くなるわけじゃない、これ以上悪くしたくないなと思うようになって、前を向くようになりました。歩ける体も今の体も両方、親からもらった大切な体。もう悲しませるような思いはさせません。

Q.競技の魅力は?

車椅子バスケには、それぞれの選手の障がいの程度によって点数をつけるクラス分けがあり、5人で合計14点以下とするルールがあります。僕は比較的重い方の「2」です。でも、(障がいが重い)低い点数の選手ができることもいっぱいある。点数によって役割が違うところもおもしろいですね。そして、仲間との連係がうまく決まった時のハイタッチが好きですね。
 そうそう、車椅子バスケを描いた「リアル」という漫画があります。仲間内で貸し借りをして読んでいます。内容がまさしく「リアル」で、思わずうなずいてしまいます。

Q.夢、目標は?

夢はふたつ。ひとつは秋にある東北選抜大会に呼ばれたいですね。もうひとつは、本業は大工なので、その道をがんばることです。
 大けがをした時、勤務先の社長からは「手が動くから、できることはいっぱいあるぞ」と言われました。先輩からは「まず大工なら自分の車椅子を作ってみろ」って言われて、ちょっとずつ仕事に挑戦しました。体の踏ん張りが利かないので力の加減が難しかったり、上半身でバランスを取るのが難しかったりで戸惑いましたが、自分の夢だったこの仕事に戻ることができてうれしかったです。
 退院するとき、大工仲間は僕の自宅をバリアフリー仕様に改造してくれたんです。いつもと変わらず接してくれた仲間にすごく支えられました。感謝の気持ちを伝えるために、もっと仕事もがんばろうと思います。

Q.読者の皆さんへメッセージをお願いします!

車椅子バスケを始めてから、自分はすごく元気になった。スポーツってやっぱり楽しいって感じました。つらいときこそ、頑張る、そして笑ってみてください。すぐにうまくいかなくても、気持ちがほぐれるし切り替えにもなりますよ。

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大和田 洋平選手YOHEI OWADA

「サントリーチャレンジド・アスリート奨励金」第1~3期対象選手
サントリーオフィシャルパートナーチーム「ラッセル岩手」所属

  • ●1990年3月15日生まれ

  • ●岩手県盛岡市出身/岩手県滝沢市在住

  • ●車椅子バスケットボールチーム「ラッセル岩手」(サントリーオフィシャルパートナーチーム)所属。持ち点は2.0点。

  • ●23歳のとき、スノーボードの転落事故により脊髄を損傷し車椅子生活となる。「ラッセル岩手」の選手に誘われて、車椅子バスケを開始。

  • ●日ごろは大工として働くかたわら、「ラッセル岩手」の選手として各大会に出場。

PASSION FOR CHALLENGE
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