SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT
#16 「うまくなりたい、勝ちたい、強くなりたい」
陸上競技(短距離) 佐々木 琢磨選手
「サントリーチャレンジド・アスリート奨励金」第1~3期対象
Q.競技との出会いは?
中学1年で聾学校の陸上部に入りました。陸上部しかなかったので、仕方なくでした。子どものころから走るのは速かったのですが、苦しいから嫌いでした。でも、中学3年の時に聾学校の東北大会に出て、200mで目標タイムを突破して優勝し、喜びを味わいました。「頑張れ」と励ましてくれた先生に感謝したいです。
Q.困難に直面し乗り越えた経験は?
ひとつはケガです。高校で腰を痛め、大学に入ってからはデフリンピック(ろうあ者のスポーツ世界大会)も含め8回も太ももの肉離れを経験しました。接地が下手だったのです。3年間友人やコーチに繰り返しフォームを見てもらって走り方を変えました。もう一つは、健常者と一緒に出るレースではピストルの音が聞こえにくいということです。周りが静かならピストルの音がかすかに聞こえるのですが、ちょっとでも話し声などがあると、人の声なのかピストルの音なのかが分からなくなってしまいます。
Q.挑戦の中で大切なことは?
うまくなりたい、勝ちたい、強くなりたいという気持ちを大事にしています。ピストルの音に反応できなくて悔しいという思いも、ずっと持ち続けています。
仲間や、親、先生、周りの人々への感謝の気持ちも常に持つようにしています。
Q.夢、目標は?
来年のデフリンピックで世界一を取ることです。100mは10秒75の日本記録を出して代表に選ばれました。リレーでも代表入りしています。前回は200mに出ましたが、けがが治らないまま出場し予選で敗れたので、リベンジしたいです。
テレビで見たリオ五輪では山縣亮太選手がすごかったです。100mの準決勝の時、あの大観衆の騒然とした中で集中してピストルの音に反応し、スタートのリアクションがとても素早かったです。興奮しました。
Q.読者の皆さんへメッセージをお願いします!
人生にはいろいろなことがあります。あきらめないで挑戦するという気持ちを大切にしてほしいです。僕もいろいろ失敗しましたが、反省しながら生かしてきました。陸上に出会わなかったら、今の僕はないです。来年のデフリンピックでは絶対にリベンジしたいです。
佐々木 琢磨選手TAKUMA SASAKI
「サントリーチャレンジド・アスリート奨励金」第1~3期対象
●1993年11月30日生まれ
●青森県出身/宮城県仙台市在住
●聾学校中学部で陸上部に所属したことを機に、競技を開始
●第13回日本聴覚障害者陸上競技選手権大会にて100m優勝・日本記録更新(2016)
●2016ジャパンパラ陸上競技大会にて100mで大会新記録更新