SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT
#13 「互いに負けたくない気持ちがぶつかり合う」
車椅子バスケットボール 中澤 正人選手
「サントリーチャレンジド・アスリート奨励金」第1・2期対象
サントリーオフィシャルパートナーチーム「宮城MAX」所属
Q.競技との出会いは?
20歳のとき、バイクの事故で左大腿部を切断しました。高校まではサッカーをしていましたが、入院した病院の談話室で、車椅子バスケを題材にした井上雄彦さんの漫画「リアル」を読んで、こういうスポーツがあると知りました。リハビリをして、またスポーツをしたいなと思うようになって、「宮城MAX」の練習を見学し、チームに入りました。
Q.困難に直面し乗り越えた経験は?
車椅子バスケを始めたころは衝撃でした。車椅子を思うように操作できないし、障がい者の中では自分は軽い方に入る。なのに、自分より障がいの重い人にも追いつけない。それが悔しかったし、もっと頑張らなきゃなと思わされました。
でも、困難とまでは思わなかったですね。ここ(宮城MAX)に来ると自分が障がい者ということを忘れて楽しくプレーできる。練習に来られない時も続いたのですが、チームメイトが頻繁に声をかけてくれました。居場所ができたという思いでした。
Q.挑戦の中で大切なことは?
とりあえずやってみるということですね。やらずに後悔するより、やってみた方がいい。今、新しくアンプティサッカー(主に上肢、下肢の切断障害を持った選手が松葉杖を使ってプレーするサッカー)に取り組んでいます。「車椅子バスケでパラリンピックに出た実績があるのに」とも言われましたが、サッカーへの思いが断ちきれなかった。体験してみたら楽しかったです。ボールを足で蹴る感覚を思い出したというか。これも挑戦ですね。
Q.夢、目標は?
2012年ロンドンパラリンピックに出て9位。リオで雪辱をと思っていましたが、代表から落ちてしまいました。じゃあ次は東京?とは思えないです。ちょっと遠すぎる感じですね。宮城MAXでも日本選手権8連覇を達成し、やり切った感じがあります。今の目標はサッカー。「二刀流」じゃないですけど、アンプティサッカーで、日本代表入りを目指したいです。
Q.読者の皆さんへメッセージをお願いします!
車椅子バスケの魅力は「激しさ」です。健常者のバスケも激しいと思いますが、こちらは金属の乗り物に乗ってスピードがあり、コンタクトもあります。「障がい者のスポーツ」ではなく、「普通のスポーツ」なんだと思って見てほしいです。お互いに負けたくない気持ちのぶつかり合いは、どんなスポーツも同じだと思うんです。
中澤 正人選手MASATO NAKAZAWA
「サントリーチャレンジド・アスリート奨励金」第1・2期対象
サントリーオフィシャルパートナーチーム「宮城MAX」所属
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●1982年9月27日生まれ
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●新潟県上越市出身/宮城県仙台市在住
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●車椅子バスケットボールチーム「宮城MAX」(サントリーオフィシャルパートナーチーム)所属
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●20歳のときにバイクによる交通事故で左大腿切断(持ち点4.0、ポジションはセンター)
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●2010年世界選手権日本代表
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●2012年ロンドンパラリンピック日本代表
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●日本選手権では「宮城MAX」の史上初8連覇に貢献
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●プライベートでは妻・子どもの3人家族、趣味は読書と睡眠