SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT

#11 「震災乗り越え、やり投げで東京パラリンピックへ」

#11 「震災乗り越え、やり投げで東京パラリンピックへ」

陸上(やり投げ・砲丸投げ) 加藤 由希子選手

「サントリーチャレンジド・アスリート奨励金」第1~2期対象選手

Q.競技との出会いは?

中学の陸上部に入ったのがきっかけです。担任の女性の先生が部の顧問で、元砲丸投げの選手でした。クラスでドッジボールをしたときに「肩が強いね」と声をかけられ、砲丸投げを始めました。私は生まれつき左腕のひじから先がないのですが、片腕でもできる種目だなと思って練習してみたら、全国中学大会に出られた。はまりましたね。

Q.困難に直面し乗り越えた経験は?

中学2年の冬に原因不明の腰痛になり、入院しました。一時は歩けないぐらいつらかったです。その影響で中学3年の大会では成績を出しきれず、高校でも続けようと思いました。高校2年の時は東日本大震災にあいました。気仙沼の自宅が津波で流され、4カ月間避難所で暮らしました。避難所から山に向かって砲丸を投げる練習もしましたが、全国高校総体には出られなかった。まだ競技はやめきれないなと思い、仙台大学に進んで競技を続け、パラアスリートの大会にも出るようになりました。

Q.挑戦の中で大切にしていることは?

人との「出会い」や「つながり」を大切にしています。例えば全国障害者スポーツ大会に出たときに知り合ったスタッフの方には、震災のときにTシャツや物資を送ってもらいました。私は健常者の大会にも、パラの大会にも出ているので、両方の仲間からアドバイスをもらったり、両方の目線で行動したりすることができる。ありがたいことだなと思います。

Q.夢、目標は?

自分が持つ砲丸投げの世界記録を更新し続けること、円盤投げの世界記録を取ること、そしてやり投げで東京パラリンピックに出ることですね。パラリンピックに出るには、私の障がいのクラスでは砲丸や円盤ではなく、やり投げになるのですが、世界ランクが低くてリオパラリンピックには出られませんでした。「パラリンピアン」になるには、パラリンピックに出ないといけないので、出てみたいですね。

Q.読者の皆さんへメッセージをお願いします!

投てき種目は競技場の隅っこでやっている印象がありますが、実は穴場です。世界大会やパラリンピックなど大きな大会では、次々に世界記録が更新されていきます。パラ種目の投てきに注目してください。そして、私の記録にも目を向けてください。私も頑張って日本に明るい話題を届けたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。

a-72_pf.jpg

加藤 由希子選手YUKIKO KATO

「サントリーチャレンジド・アスリート奨励金」第1~2期対象選手

  • ●1993年8月2日生まれ

  • ●宮城県気仙沼市出身/柴田町在住

  • ●生まれつき左腕の肘から先がなく、生後6ヵ月から義手をつける。中学生時代に砲丸投げを始め、大学入学後には本格的にやり投げも開始(クラスはF46)。

  • ●砲丸投げ世界記録保持者、円盤投げ・やり投げの日本記録保持者 ※2016年10月時点

  • ●2013年IPC陸上競技選手権大会では、女子やり投げで銅メダル獲得

  • ●2014年仁川アジアパラ競技大会では、女子砲丸投げで金メダル獲得

PASSION FOR CHALLENGE
PASSION FOR CHALLENGE