SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT
#10「『ここに進むぞ』と決めたら、ひたすら進んでいく」
陸上競技(100m・200m) 佐藤 智美選手
サントリーチャレンジド・アスリート奨励金第1~2期対象
Q.競技との出会いは?
盲学校の中学部のとき、体育の先生に声をかけてもらい、東北地区の大会に出場しました。それまで陸上の経験はありませんでしたが、100メートル走で優勝することができました。「なんで速く走れるんだろう」と疑問に思いながらも、「私はこんなにも走れるんだ」といううれしさがこみ上げてきました。
それが私の陸上の原点であり、今の自分があるのはそのおかげだと思っています。
Q.困難に直面し、乗り越えた経験は?
東邦銀行の陸上部に入り、本格的に陸上競技と向き合うようになりました。実際の走り方と自分のイメージが食い違い、正しい走り方を身につけるには非常に苦労しました。それまでより練習量は増え、ついていくのもやっと。けがをすることもあり、自分はまだまだだと痛感しました。
それでも続けてこられたのは、世界で戦いたいという思いからです。目標があり、みんなの支えがあったから乗り越えてこられました。応援には本当に感謝しています。
Q.挑戦のなかで大切にしていることは?
座右の銘は「努力あるのみ」です。2009年に初めて世界大会に出場しましたが、悔しくも3位で終わってしまいました。ライバル選手に負けないためには努力しかない―。そのとき胸に誓いました。
努力をしてもいい結果が出るとは限りません。最終的には自分との戦いだと思います。「お前はどうなんだ、ここで終わるのか」。苦しいとき、自分自身に問いかけると「佐藤智美は負けたくない」という答えが返ってきます。結果を出して少しでもランキングを上げるためにも努力は欠かせません。
Q.夢、目標は?
世界を舞台に各国の選手と戦いたいです。国際大会にでると空気感や選手のレベル、自分自身のモチベーションなど、国内大会とは全く違うものを感じることができます。
競技をしていく上で、調子のいいときもあれば、悪いときもある。でも、「ここに進むぞ」と決めたら、ひたすら進んでいく性格です。たまに頑張りすぎてしまってコーチからストップがかかってしまうこともあるくらいです。最後はやはり自分との戦いですね。
Q.読者の皆さんにメッセージをお願いします!
障がい者スポーツの世界をもっと知ってもらえたらと思います。大会などに足を運んで頂いてこんなスポーツだと分かってもらえたらうれしいです。
健常者の選手と同じように、私たちも熱い心をもって競技に取り組んでいます。実際に見たり、体験したりすれば驚きや発見があると思います。アスリートとはこうなんだ、というのを知ってもらって、応援してくれたら気合の入り方も変わってきます。歓声は本当に支えになっているんです。
佐藤 智美選手TOMOMI SATO
サントリーチャレンジド・アスリート奨励金第1~2期対象
●1990年2月28日生まれ
●福島県二本松市出身・在住
●未熟児網膜症による視覚障がいで福島県立盲学校に通うなかで、中学生のときに体育の先生の薦めで陸上競技を開始し初出場の東北地区大会で優勝。その後、数々の国内外の大会に出場し、日本記録を更新している。
●「サントリーチャレンジド・アスリート奨励金」第1~2期対象選手(奨励金は遠征費や練習用具購入費などに活用)
●陸上競技100m・200mの日本記録保持者(T13クラス:視力は0.03から0.1、または視野20度以内での視力も0.03から0.1)※2016年10月時点
●IBSA世界大会代表(2011)・IBSA世界大会ソウル100m 第2位(2015)
●IPC世界選手権代表(2013)
●アジアユースパラゲームズ代表(2009)
●ジャパンパラ競技大会100m 6年連続1位(2011~2016)
●日本パラ陸上競技選手権大会 100m/200m 1位(2016)