SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT
#6 「つらいことや壁から逃げずに立ち向かう」
ウィルチェアーラグビー 庄子 健選手
サントリーチャレンジド・アスリート奨励金第1~2期対象
Q.競技との出会いは?
22歳だった2002年、内装解体の仕事中の落下事故で首を骨折。退院直前に当時仙台で活動していたチームの関係者から誘いを受けて、退院後に練習に参加しました。ウィルチェアーラグビー特有の激しいタックルが印象的だったのはもちろんですが、それ以上に、初めて乗った競技用の車いすが日常生活用の車いすとは全然違うことに感動しました。小回りがきいて速くターンができる。自由に動けることがとにかく楽しかったんです。
Q.困難に直面し乗り越えた経験は?
競技の上では指の骨折などケガで練習できないことはしょっちゅう。でもそれは困難とはあまり思っていないんです。ケガを治している間にもできることはあるので。だから強いて挙げるなら、海外との実力差を痛感する時でしょうか。初めて代表に選ばれたのが2010年。それまでも「もっとうまくなりたい」と常に向上心はありましたが、それでは全然足りないと気づいた。もっと追い込まないといけない、と。どうしたら追いつけるのか悩むという意味での困難は今でも常に感じています。
Q.挑戦のなかで大切なことは?
「逃げないこと」です。つらいこととかちょっとした壁とかから。練習ってどの練習もきつくて、嫌になることばっかりなんですよ(笑)。でもそこで手を抜いたらずっと逃げるし、癖がつく。どの練習もつらくなってからのもう一歩が大事。逃げずに立ち向かおうと常に自分に言い聞かせています。
Q.夢、目標は?
リオで金メダルを取ること。当然ですけど。残りの時間でできることは限られているけど、その中でも向上できることはあります。個人としてはボールのハンドリングを良くしたい。チームとしてもプレー中のコミュニケーションを向上させることなど課題はあります。何よりも日本代表としての責任を意識してやっていくことが大事だと思っています。
Q.読者の皆さんへメッセージをお願いします!
ウィルチェア―ラグビーに注目してもらえるチャンスはパラリンピックくらいしかない。たくさんの人にウィルチェアーラグビーを見て、知ってもらいたいです。見ればぜったい楽しいと思うし、僕たちは見てくれる人たちの心に留まるようなプレーをぜったいします。そして見てくれた人たちが、同じ障がいを持っている人たちに「こういう競技がある」と勧めてくれたらうれしいです。
庄子 健選手TAKESHI SHOJI
サントリーチャレンジド・アスリート奨励金第1~2期対象
●1980年5月11日生まれ
●宮城県仙台市出身・在住
●「サントリーチャレンジド・アスリート奨励金」第1~2期対象選手(奨励金は競技用車椅子購入費などに活用)
●仕事中の落下事故により頚髄を損傷し、車椅子生活となる。
●2002年にウィルチェアーラグビーを開始し(クラスは2.0)、現在は千葉のチーム「RIZE CHIBA」に所属。
●数々の世界大会に出場し、2015年10月にはアジアオセアニア選手権で主将として日本代表を優勝に導いた。
●2012年ロンドン・2016リオパラリンピック日本代表。リオパラリンピックでは、銅メダル獲得。