サントリー ワイン スクエア
2024.06.20記事: 岩田渉(アンバサダー)
皆様、こんにちは!サントリーワイン・ブランドアンバサダーのソムリエ 岩田です。今回も以前訪れた塩尻ワイナリー訪問の続きとなります。前回は主にこのエリアで栽培されるメルロにスポットを当てて、塩尻・岩垂原メルロを紹介させていただきましたが、今回はサントリーでますます力を入れて取り組んでいる、「甲州」と「プティ・ヴェルド」の今、それらの品種が持つ未来への可能性、そしてその期待感を、この場で語らせていただければと思います。
登美の丘ワイナリーの栽培技師長
まずは甲州に関してですが、今回もサントリーのぶどう栽培における現場責任者でもある、栽培技師長の大山さんに塩尻ワイナリーでお会いすることができ、現在サントリー内で取り組んでいる甲州のお話を、テイスティングを交えてお伺いすることができました。
甲州栽培の歴史を振り返ってみると、実際に登美の丘ワイナリーにて開園当時の1900年代前半から植えられていたことの記載が確認されており、100年に近い栽培の歴史を持っています。その中でつくり手の皆様のたくさんの技術開発とともに発展を続けている甲州。それらが少しずつ実を結んでいき、数多くのコンクールでの受賞にもつながっていき、世界にも誇れる日本ワインの一つになっています。
垣根栽培の甲州の収穫
そんな輝かしい実績もあるサントリーの甲州ですが、大山さん曰く、「まだまだ品質は良くなる、甲州はもっと美味しくなる。」と、現状には全く満足していない様子で語られている姿が印象的でした。現在は、甲州という品種のポテンシャルをさらに引き出し、最高品質の「登美 甲州」を生み出すべく、日々ぶどう畑と向き合っています。
目指すべき品質は、密度が高く、複雑さのある果実感。そして味わいの柔らかさとそれに溶け込む緻密な甲州らしい渋味が長い余韻を生む、まさに「気品」が感じられるワイン。
この実現へ向けて、様々な取り組みに挑戦している真っ只中であり、ぶどうの系統選抜や、栽培方法、そして徹底した収量制限をかけることで、さらなる高い熟度を得て、熟した果実の多層的な香りと心地よい凝縮感のハーモニーが味わいの中で感じられるようになります。
2023年はそれらの取り組みと恵まれたヴィンテージが重なったことで、ぶどうの糖度もしっかりと上がり、まさに登美クラスと評価されるようなアロマの充実感と味わいの凝縮感が得られたことで、将来に向けてとても期待が持てる結果となりました。このようなぶどうの品質向上に対する技術開発や産地多様性を進めて、ぶどうの品質を上げることが、甲州を更なる高みへ持っていくキーとなる、と大山さんが力強くその想いを述べている姿が、とても凛々しく、つくり手としての役割と責任感から来る一つ一つの言葉の重みを実感しました。
※この取材の後、登美 甲州の記念すべきファーストヴィンテージである2022年が、今年の秋に発売される事が発表されました。この「登美 甲州 2022」は、インターナショナルワイン&スピリッツコンペディション(IWSC)2024で金賞、デカンター・ワールド・ワイン・アワード(DWWA)2024で日本のワインとしては初となるベスト・イン・ショー(プラチナ賞の中からさらに厳選される最高賞)に選出される言う栄誉に恵まれました。
収獲を待つプティ・ヴェルド
またプティ・ヴェルドに対しても、サントリーは長年そのぶどうに対して並々ならぬ熱い情熱を注いでいます。プティ・ヴェルドといえば、フランスのボルドーでも栽培されている品種ですが、そこではカベルネ・ソーヴィニョンやメルロにブレンドされる補助品種として使われています。しかしながら、登美の丘ワイナリーでは、ここ数年、「登美 赤」でも、最も高いブレンド比率でこのプティ・ヴェルドが採用されており、登美の丘のテロワールを表現できる非常に高い期待感と将来へのポテンシャルを秘める品種として注目されています。
「登美」として求めるべき味わいや品質としては、緻密で凝縮感のある強さ、柔らかさ、まろやかさのある味わい。そこにぶどう本来の自然な甘さとビロードのように滑らかなタンニンが溶け込む、「上品さ」が表現されたワイン。
プティ・ヴェルドの品種としての特徴はやや荒々しさが出やすい、パワフルな品種となるので、それをいかに抑えながら、求められるボリューム感を出していくか。その中で最も大切な取り組みの一つとして、最適なタイミングで収穫するということ。 つまりは「糖/酸度」と「フェノール化合物」の成熟時期がベストなタイミングで収穫することであり、もちろん区画ごとにその最適なタイミングが異なるため、それを見極める必要があるなど、より畑と向き合った緻密なぶどう栽培が必要となります。
萌芽から開花、そして着色に至るまで、一つ一つのステップで各畑におけるぶどうの特徴を把握し、最適な栽培管理をしていくことで、今までにないクオリティのプティ・ヴェルドを収穫することができるようになるのです。
この10年間でサントリーのプティ・ヴェルドに対するワインづくりのアプローチは変化、そして進化しており、故郷のボルドーを模倣するようなものでなく、その中にサントリーらしさが徐々に表現されるようになってきているようです。このプティ・ヴェルドを世界のワイン地図に載せるということにつくり手としての使命を感じている、と言われた大山さんの言葉は、先ほどの甲州と同じように、「ものづくり」におけるつくり手としてのプライドや存在意義を表している深みのある、そして責任感あふれるメッセージだと改めて実感しました。
登美の丘ワイナリーのフラッグシップである登美 赤
この秋に初登場となる登美 甲州。記念すべきファーストヴィンテージは2022年。
サントリーのワインづくりに携わる皆様は、まさにこの部分に焦点を当てて日々ぶどうと向き合い、畑と向き合い、そしてその土地の水、土、そして人と関わりながら、世界の最高峰を目指しています。「FROM FARM」というように、その土地の恩恵を受けながら、日本らしい、そしてサントリーらしいワインが、今まさに、そしてこれからの未来に向けてつくられていくんだろうな、と体験することができた貴重なワイナリー訪問となりました。
ソムリエ 岩田渉
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