実は先日日本のウイスキーのふるさと山崎で、初めてウイスキーの蒸溜釜を見て来た。酒の蒸溜法を発見したのはかのアラビアの錬金術師だそうだ。原理は今も変わらない。ポットスチルと呼ばれる巨大な銅の蒸溜釜は漏斗を逆さまにしたような形をしているのだが、実はこの昔ながらのネックのクビレと胴ぶくれが重要で、蒸発したモロミはここで複雑な対流を起こし、その具合でモルトの味が違ってくるのだ。頑固なスコットランドの古蒸溜所など、釜を換えるとき前のが凹んでたりすると、新しいのもわざわざ同じように凹ませるのだという。山崎の蒸溜釜に凹みは見当たらなかったが、このシンプルな釜の形も創業以来というから、頑固さではヒケをとらない。
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