陶芸を始めてから、山の形が気になるようになった。峰の尖った山の近くで短形の谷のあるところにはいい土があるという。果樹園のように低い木しか生えない土地もいいそうだ。いい土かどうか舐めてみることで名人は見当がつくらしく、舌触りが滑らかなのはいい土だとか。素人はなかなかそうはいかないが、自分で見つけてきた何でもない土が、意外に味のあるものに仕上がったりすることもあって、何も高い土買うばかりが能ではない。但しこういう土はどうも轆轤に馴染まないらしく、指跡がそのまま残っているような手ひねり「作品」がわが家の棚を占拠することになるのだが、それを眺めながら山崎のグラスを舐めるのが、目下のところ無上の楽しみ。
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