ちょうど今頃はあちこちで菊花展が開かれて、見事な大菊が溜息を誘う。中でも菊といえば厚物、厚走りといわれ、厚物は豊かな花弁の一枚一枚が花心に向かって大きく盛り上がった雄大な一輪。厚走りは花の下のほうから走り弁とも剣走りとも呼ぶ長い花弁が四方に伸びて、これまた華麗。ところで菊作りのコツは水やりにあらるという。秋によい花が咲くも咲かぬも水次第。昔から「水やり三年」といいなかなか難しいものらしい。ベテランは鉢を揚げただけで水の過不足が判るというからすごい。と感心するうち「大輪の白菊の辺がまづ暮れぬ」。こちらはそろそろ「水わり三年」。山崎を水で割るのもなかなかなのだ。ピュアモルトの香りは澄んだ秋に似合う。
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