何年か前、友人が個展をやるというので出かけて行ったら、会場に大小さまざまな小石の小鳥が並んでいた。見るとそれぞれに名前が付いている。ユトリ、セキトリ、イロドリ、ビクトリー・・・。多くは河原や海岸で拾った石だそうで、まあるく、すべすべしている。その石ころに太い針金で嘴と脚を付けた。表情が何ともいえないのである。石なのに温もりがある。お願いして二つ頂いてきて窓辺に並べた。小石の鳥でも一羽では淋しかろうから一対。オットリ君とサトリさんである。その一対が少しずつ光を増す陽射しの中で、居眠りしながら春を待っている。ただの小石に吹き込まれた生命が綺麗だ。山崎のグラス片手にそれを眺めながら、私はヒトリ、ウットリ。
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